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騎士達の動揺
しおりを挟むマクシミリオンの企て、レイバンの裏切り、国王の怪我、師と慕っていた辺境伯の怪我。様々な事が一夜にして起きた。いろいろありすぎた。騎士団の詰所に戻ると、騒然としていた。
「団長・・・」
ウィルフレッドが騎士団に姿を表すと、ざわついていたのが嘘のようにしんと静まり返った。
「・・・みんな・・・聞いてくれ。この度の事件、もう聞き及んでいると思うが、緘口令が敷かれることとなった。今後、これに関することを口にすると罰せられる可能性もあるから気をつけろ」
感情のない静かな口調で話すウィルフレッドに、騎士達は静かに話を聞いていた。
「後で知ることになると思うが・・・先に言っておく。この事件の首謀者は・・・レイバンだ」
早番で出勤したばかりだった騎士達は夜中に起こった事をまだ詳しくは知らない。ただ、国王が何者かによって襲われた事実のみ知らされていた。部屋中からレイバンが・・・副騎士団長がと囁く声がする。
「とにかく、事は収束をしたが、計画にない動きを課せられた者もいる。稼働の計画を変える。カール以下第二隊は陛下の護衛に。キルシュ以下第四隊はヴィンセント殿下の護衛に。ダートン以下第五隊はアルバート殿下の護衛にそれぞれついてくれ。ベリス以下第九隊は、第七隊の勤務まではミシェリア王女殿下の離宮の警備だ。それぞれの任務についてくれ。あとはまた追って連絡する」
ウィルフレッドはそう言って、執務室に篭ってしまった。ただ落ち込んでいるのではない。事後処理をする為だ。こんなところでも、ウィルフレッドは真面目なのである。しばらくすると、第二隊と交代して騎士団に戻ってきていたアイオロスと第一隊の騎士達が執務室に訪れる。
「団長、アイオロス以下第一隊、第二隊と交代し、只今戻りました」
「あぁ、ご苦労だった。陛下が緊張を強いられた事で疲れただろうと休みをしっかり取るようにと言われている。第一隊は三日の休日をとれ」
「はっ」
「アイオロス以外は下がっていい。休息をしっかりとって休み明けまたよろしく頼む」
「承知しました」
騎士達は執務室を辞して行った。
「団長・・・」
「・・・今回は流石に疲れたな・・・何も考えず剣だけを奮えばいいのがどれだけ楽だろうか・・・」
「副騎士団長は」
「レイバンは副騎士団長としては復帰は絶望的だ。俺がよくても騎士達の中には認めない者も出てくるだろう。それに、罪を犯したというのに許されるなんて事があったら、下にも貴族連中にも示しがつかないからな」
「そう・・・ですか」
「アイオロスはレイバンに可愛がってもらったんだったな」
「えぇ、脱落しそうになった事は一度や二度ではありません。その度に導いてくださいましたから・・・」
「辛いな・・お互い」
「えぇ・・・」
一消沈してしまった二人の間に沈黙が流れた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
俺は・・・全て失うのか・・・
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