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信頼のおける部下だった

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レイバンの愚行を止めようと必死だったヴィンセントの行動は裏目に出てしまった。レオナルドの視線は、父親ではなく、国王だった。


「親子喧嘩なら後でやってくれますか?いや・・・後ではもうないですね」



その時だった。



バァァン!!



「レイバン!」

「・・・団長・・・」

「これはどういう事だ?何故こんな事をしている」


国王の部屋に入り、状況を確認したウィルフレッドはレイバンを睨みつける。


「・・・早かったですね。陛下を亡き者にしてから捕まえて貰おうと思ったのに、無駄話が過ぎたようです。少しだけ待ってて貰えます?」

「待つわけないだろう」

「そうですよね、今日は大事な婚約者殿との結婚式ですからね。早く帰りたくて仕方ないでしょう」

「それを知っててなんでこんな事を」

「こんな日だからですよ。幸せになろうとしているのを邪魔してやりたかった。一生悔いに残ればいいと思っていました。そして、私の事を一生憎んで覚えていてくれればと」

「レイバン・・・お前を忘れるわけないだろう。お前は誰よりも努力していた。周りに気を配り、一人の脱落者もなく若い騎士達を育てている。そんなお前が騎士団には必要だ。俺はお前を誰よりも信頼している」

「・・・団長・・・」

「剣を下ろせ」

「いえ、それは聞けません」

「そうか」


微かな動きだった。ウィルフレッドが騎士達にしかわからない程の微かな頷きを見せると、後ろに控えていたアイオロスがヴィンセントを捉えていた男達に、ウィルフレッドは刃先を国王に当てているレイバンに飛びかかった。ヴィンセントを捉えていた男達は何の合図もなくアイオロスが向かってきた事に驚いてたじろぎ、いとも簡単にのされてしまった。そしてウィルフレッドは、レイバンの腕を掴み、剣を払い除けた。


「レイバン、終わりだ」

「えぇ、そうですね・・・」

「気付いたのに避けなかった。何故だ?」


ウィルフレッドがアイオロスに合図した微かな動き、レイバンは気付いていた。長年この男の側にいて、その合図はいつでも自分に送られてきたものだったのだから。


「あなたに捕まりたかった。陛下の命を奪っても何も返ってこない。生きる意味さえ無くしていた私に光を見せてくれたのは団長でした。あなただけは・・・団長だけは・・・私を一人の男として認めてくれたんです。周りが孤児だ、平民だと蔑む中、団長だけは私の実力を、努力を認めてくれました。私の最後は団長の手でと思ったんです。誰でもなくあなたに」

「こんな事をせずとも、俺の隣にずっといればよかっただろ!俺がいつお前を見放した?俺がいつお前をいらないと言った!」


ウィルフレッドも、レイバンも、瞳にはうっすらと涙が滲んでいた。







ーーーーーーーーーー

次回

これからのこの国を見ていてくれぬか。そしてまた間違いを起こそうものなら、またこうやって私の命を奪いに来い



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