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オリバーは共犯者?
しおりを挟むマクシミリオンと長話をしていたが、ウィルフレッドの心境は複雑だった。早く帰ってレティシアを安心させたい。つまらない欲のせいで、愛しいレティシアから離れて王宮に来なければいけなかった事に、ウィルフレッドはイラついていた。だが、それを見せたところで、余計長引かせる事になるだろうと予想もつき、表情に出さないようにしていた。
「イザベラは・・・泣いていなかったか?」
「出立時は泣いてはいなかったようだ。己の境遇と現状をしっかり理解していたのだろう。不安そうな表情ではあったが、最後には覚悟を決めたようだったと、支度をしたメイドが言っていたそうだ」
「・・・そうか・・・」
「お前も、ちゃんと兄なんだな。妹の事を心配する程度には」
「あいつは昔からヴィンセント殿下に恋をしていた。振り向いて欲しくて頑張っていた。だがそういう相手としては見て貰えなかった・・・俺はあいつに何もしてやれなかった・・・兄・・・失格だな」
「そう思うなら、全て吐け。長引かせては悪い方にしか向かない。イザベラ嬢の未来を明るいものにしたいなら、この状況はよくない」
「・・・そうだな・・・俺にできるのはそれしかないな・・・」
マクシミリオンは、静かに寝台に腰を下ろすと、ウィルフレッドの顔を見上げる。
「オリバーも謹慎中のはずだが、屋敷から抜け出している。オリバーは王都の街のある屋敷に滞在している。だが、あいつはこの計画には対して何も関わっていない。そしてあいつを匿っている屋敷の主も、家族も、一切関与していない。だから、悪いようにしないと誓ってくれたら全て話す」
「あぁ・・・だが、オリバー自身は謹慎を抜け出した事には多少お咎めはあるな・・・」
「・・・俺のせいで、オリバーにまで迷惑かけたな・・・オリバーは、自身の婚約者である、レイズヴェル伯爵家のアリシア嬢の所にいる。屋敷から抜け出した俺は、宰相の息子であるオリバーの伝手を使って、他国の貴族に繋いで貰った。オリバーの関与はそこまでだ。俺の計画や、行動は一切知らない」
「他国とは?」
「ソハナス国だ」
「・・・そうか・・・」
ソハナス国は、この国レヴァイユの北に位置する国だ。北の大地は険しく、作物が育ちにくい土地で、レヴァイユを通らなければ他国に行くことさえままならない。そんなソハナスは、常々レヴァイユに侵攻をかけてきていた。北の辺境領は、二十年前の戦争で武功をあげ、レオナルドの妹であり王女であった、ナタリアが、前王によって褒美として差し出され降嫁した領地だ。なんとも物のような扱われ方が話として広まっているが、実のところ、恋愛結婚である。北の辺境伯を務めるクレイドルは、元は王都にほど近い子爵家の次男。王都の学園を卒業後、辺境の騎士団に自ら志願。そこで武勲を立て、辺境の後継であった子息が、城で文官になりたいと継ぐ意識がなく、そのあとを、当時の辺境伯が、クレイドルに任せたのだ。ナタリアとは、学園で恋仲であったものの、結ばれない身分違いと互いに諦めていたが、戦争の武勲により、辺境伯当主になることが決まった事がきっかけで、ナタリア側から申し出したものだった。
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次回
や、やるわけないだろうが!!
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