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新しい居場所

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ウィルフレッドとレイバンが執務室で話をしていた数日前の事。ウィルフレッドがイザベラを貴族牢から出す許可を表明し、すぐに辺境伯であるゲオルグに連絡が入った。翌日、牢に捕らえられていた公爵令嬢イザベラは、とある部屋で、メイド達に湯あみをされ、身体を磨かれ、ドレスを着せられ、化粧を施されていた。


「・・・私・・・辺境伯に嫁ぐのよね・・・?」

「えぇ、そのように伺っております」


メイド達は表情を変えずにイザベラの身支度を進めていく。


「辺境伯様は・・・40過ぎておいでなんでしょう?」

「えぇ、アバンス団長様の前任の騎士団長様ですからね。そうですね、確か、42になっておいでだと思いますが」

「・・・そう・・・そんなに離れているのね・・・」


身支度が終わると、部屋から出るように案内され、入り口に停まっていた馬車に案内された。馬車の中には、男性が一人座っているのが見えた。


「待っていたぞ?」

「・・・辺境伯様・・・」

「さぁ、乗りなさい」

「・・・はい・・・失礼します」


イザベラを乗せると馬車は走り出した。見送りに出たのは、馬車に案内した侍従一人。公爵令嬢とは思えない程の対応に、これからの生活を思うと暗い気持ちになった。


「イザベラ嬢、不本意かもしれないが、君には私の妻になってもらう」

「・・・はい」

「婚約者という期間はない。陛下に進言して、アバンス団長に許可を貰って、君をそのまま妻にするなら、牢から出してもいいと言われた。だから、その・・・婚約期間を省くことになってしまったんだ・・・申し訳ない」

「・・・辺境伯様が謝る事では・・・」

「しかし、女性の輿入れとは、人生で一度きりだぞ?きちんと順を追ってだな・・・」

「そんな事できないくらいの罪を犯したのです」

「・・・それに・・・君を牢から出す条件がな・・・」

「まだ、何かあったのですか?」

「婚姻届にサインをしたらというものだった・・・君のサインはお父上の公爵が代筆なさった。私もサインしたのだが・・・本当にすまないが・・・君はもう、私の妻なんだ」

「・・・そう・・・ですか・・・」

「生活に不自由はさせない。だが、辺境から出ることは難しいと思ってくれ。君は王都では顔も知られているし、一度は罪人として扱われた。だから、今、王都で暮らすのは君にとって得策ではない。辺境領の中で生きていくことになる」


ゲオルグのその言葉に、イザベラは監視付きの幽閉とかわらないと、これからの人生を諦めた。


だが、ゲオルグの本心は違っていた。イザベラを己の手で守りたい。王都では身の危険も生じるだろう。辺境領ならイザベラの事を知る人間は少ない上に、領主である自身の妻となれば、誰も不埒な真似はしないだろうとの考えだった。







ーーーーーーーーーーーーーーー

次回

じゃあ、念願叶ったという事ね?



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