騎士団長様からのラブレター ーそのままの君が好きー

agapē【アガペー】

文字の大きさ
上 下
212 / 544

興味か、それとも

しおりを挟む


「ミシェリア王女殿下に?」

「えぇ、殿下がレティシア嬢にと贈られた薔薇ですが、受け取れないとの事で、部屋で謹慎させられているミシェリア王女殿下が少しでも気が休まればとそのまま贈られたそうです」

「そうか・・・受け取っては貰えなかったか・・・」

「殿下、ミシェリア王女殿下の部屋付きで警護をしている騎士から伝言を預かったのですが」

「何だ?」

「私が頂いてしまってごめんなさい・・・と」

「・・・ごめんなさい・・・か」


セオドリックの従者はそう伝え部屋から辞して行った。


「何も姫君が悪いわけではなかろうに・・・」


何故だかセオドリックは、ミシェリアの事が気にかかった。まだ見ぬ王女。気付けば、彼女の事で頭がいっぱいになっていた。考えをまとめる。そして気付けば行動に出ていた。







「ミシェリアに?」

「はい、一度でいいんです、お話しする機会を頂けませんか?」

「・・・あれは・・・私の娘ではないんだぞ?」

「・・・それは、どういう・・・」

「あれはな、私の妻・・・幽閉されている元王妃が不貞の末に産んだ子だ」

「っ!?・・・なんと・・・」

「その不貞の相手は・・・そなたの国の前国王エドワード殿の息子であった、ブライアン殿だ」

「そう・・・ですか・・・」

「あぁ、そうだ。この事は、最近我が国でも公表したばかりでな・・・」

「誰かに懸想をして、婚約者を蔑ろにして問題になり、王位継承権を剥奪されたのは知っておりましたが・・・まさか相手が王妃様だったとは・・・」

「エドワード陛下は、ブライアン殿を廃嫡し、そなたの父君、当時公爵令息であったアレリオ殿を養子として迎えた。そしてそなた・・・セドリック殿下が産まれた」

「そんな事が・・・では、祖父だと思っていた前国王は・・・」

「他人だということになるな」

「そんな・・・」

「そなたには辛い話になったな」

「いえ、それで納得がいきました」

「何がだ?」

「自国の貴族の中に、父のことを認めない者も多いのです。父は、元より王族ではなかったということなのですね・・・」

「そういう事だな。だから、そなたがもし、ミシェリアを気に入って連れ帰っても、いらぬ火種を生む可能性がある」

「・・・でも、彼女を誰かが守ってくれるのですか?自国では陛下の子ではないと公表されたのでしょう?貴族令息達は彼女に旨味を感じていない。縁談なんて来ないのでは・・・」

「まぁ・・・そうだろうな」


国王レオナルドの言葉に、セドリックの顔に暗い影がかかった。





ーーーーーーーーーーーーーーー

次回

勝手に、恋してっ、失恋してっ!・・・馬鹿みたい・・・





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

邪魔しないので、ほっておいてください。

りまり
恋愛
お父さまが再婚しました。 お母さまが亡くなり早5年です。そろそろかと思っておりましたがとうとう良い人をゲットしてきました。 義母となられる方はそれはそれは美しい人で、その方にもお子様がいるのですがとても愛らしい方で、お父様がメロメロなんです。 実の娘よりもかわいがっているぐらいです。 幾分寂しさを感じましたが、お父様の幸せをと思いがまんしていました。 でも私は義妹に階段から落とされてしまったのです。 階段から落ちたことで私は前世の記憶を取り戻し、この世界がゲームの世界で私が悪役令嬢として義妹をいじめる役なのだと知りました。 悪役令嬢なんて勘弁です。そんなにやりたいなら勝手にやってください。 それなのに私を巻き込まないで~~!!!!!!

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...