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翌日も再びの訪問者
しおりを挟む毎日恒例となっている、朝の出勤模様。今日も今日とて、ウィルフレッドが屋敷から出るのにだいぶ時間がかかった。何とか屋敷から出たかと安堵していると、また訪問者が来ていると使用人が伝えきた。次から次にと、前もって伝えるという人はいないのだろうかとレティシアは呆れていた。
「レティシア嬢、お初にお目にかかります」
目の前で恭しく挨拶をしているのは、宰相閣下だ。
「宰相様、本日はどのようなご用件でしょうか?」
「実は、昨日のヴィンセント殿下の突撃の件で、陛下がお詫びをしたいとおっしゃっておりまして」
「別にお詫びなどいりませんが」
「そう言わずとも・・・公爵家の屋敷には、亡きクリスティア様の妹君であられるクラウディア様もいらっしゃるし、当主も・・・ですね」
先の夜会で、ウィルフレッドの母であるクラウディアの姉、クリスティアの末路を聞いた。そのクリスティアは、アバンス公爵であるディアルドを想っていたという。公爵とクラウディアが結婚したことで、諦めがついたのか、かねてより求婚されていた王子殿下、今の国王との婚姻の話に首を縦に振ったとのことだった。その公爵家に、直々に国王自らは立ち入りにくいのだろう。
「それで?私に何をお望みなのでしょうか?」
「どうしても・・・聞いてみたい事があると」
「それは、宰相様伝いではダメなのでしょうか?」
「私も何も聞かされておりませんゆえ・・・」
「と言うことは、登城をお望みなのでしょうか?」
「えぇ、左様です」
レティシアはため息をつきながらも、外出する準備をした。公爵のディアルドも、夫人のクラウディアも、ルシアンも、皆不安そうな顔で見ている。
「大丈夫ですわ。陛下とお茶をしてくるだけです」
そう言って、レティシアは宰相と一緒に出かけて行った。
「レティシア嬢、急に呼び出してしまってすまないな」
「本当ですわ。私は毎朝の日課で疲れておりますので、少々休みたかったのですが・・・」
「日課?疲れるほど何をしているのだ?」
「騎士団長を王宮に出仕させる事ですわ」
「・・・そんなに疲れる事か?」
「玄関での攻防が小一時間続くもので」
「・・・中々だな・・・」
「離れたくないの一点張りなんですよ。帰ったらご褒美があるわと言って、毎日送り出すのに苦労しているのです」
「そうか・・・そうか・・・ウィルフレッドが一人の女性にこんなにも夢中になるようになるとはな」
「・・・ところで、陛下、私は何故ここに呼ばれたのでしょうか?」
静かな庭園。王族しか立ち入れないエリアで、その上、誰にも立ち入らせないあの庭園。テーブルセット上で湯気を立たせる紅茶を前に、国王レオナルドの瞳を見つめてレティシアは返答を待っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
どうしても聞いてみたい事があってな
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