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王妃カサンドラの罪
しおりを挟む「お前の母は・・・カサンドラだ・・・だが、お前の父は・・・私ではない」
「な、何を・・・」
「お前は不義の子だ・・・しかも当時他国の王子殿下だった・・・今は廃嫡され平民に落とされた男だ」
ミシェリアの顔から色がなくなった。自分は間違いなく王妃から産まれた実子。間違いなく王女だった。だが、今、この瞬間、目の前の国王レオナルドによって真実が語られた。
「当時王太子だった私は、父である前王から王位を継ぐことが決まっていた。戴冠式に、他国の賓客を招いた中、その男がいた。私の愛した女がカサンドラの手によって命を落としていたと知ってからは、カサンドラと子を成すことは考えることができなくなっていた。その折、カサンドラはその男と不貞を犯した。滞在している期間、何度も密会してな。だからミシェリア・・・お前は私の子では無い」
「・・・そんな」
「お前を身籠もっている事を知った私は、カサンドラに毒杯を飲ませようかと思った。だが・・・命に罪はない。お前を産んだすぐ、カサンドラを幽閉した。お前は私によって生かされたのだ。だから、このまま素直に育ってくれれば、皆から愛される王女になってくれれば・・・悪いようにはしないつもりだった。他国の王子もしくは高位貴族にでも縁組を進めるつもりだった」
レオナルドは苦虫を潰したような顔でミシェリアを睨む。
「誰が飲んでもおかしくないワインに媚薬を盛って、証拠などないと思ったか?その給仕の使用人も捉えておる。もう言い逃れはできん」
「そん・・・な・・・」
ミシェリアはその場に崩れるように座り込んだ。
「今回は未遂に終わったものの、お前は王家の信用を・・・失墜させてくれた。ミシェリアを部屋に閉じ込めておけ。見張りを立て、一歩も外に出すな」
「御意」
数人の近衛騎士達が、項垂れて力のないミシェリアを抱えフロアから出ていった。
「ロバート。未遂には終わったが、お前はこの事に加担した。危険な思考を持ち合わせておるようだな。貴族牢にて身柄を一時預かりとする。沙汰は追って出す」
青ざめたロバートも、近衛騎士によって連行されていった。
「皆のもの。この度は、娘ミシェリアのしでかした事で騒がせてしまった。今宵は私はこれにて辞する。あとは好きに楽しんでくれ」
国王レオナルドはウィルフレッドとレティシアの元に向き直る。
「この度は娘がすまなかった」
レオナルドは深くお辞儀をした。
「陛下、頭をあげてください」
「本当にすまない。レティシア嬢を早く休ませてやるといい」
「はい、そうさせて頂きます」
ウィルフレッドは自身の上着をかけたままのレティシアを横抱きにし、切なさげな表情でフロアから出ていき、そのまま馬車に乗った。
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次回
シア、それは俺だけにしろ!
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