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熱のこもる身体
しおりを挟む「シア、大丈夫か!?」
倒れる寸前、ウィルフレッドが駆け寄りしっかりとレティシアの身体を抱きとめた。何事かとフロアの参加者の視線が集まる。
「ウィル・・・はぁ、はぁ・・・ウィル・・・」
レティシアはウィルフレッドにしがみつき、服をぎゅっと掴んだ。
「シア、俺はここにいる、大丈夫だ。これは・・・媚薬か・・・」
「まぁ・・・媚薬だなんて。まさか、レティシア嬢は、これからどなたかの殿方とお楽しみのおつもりでしたの?こんなに素敵な婚約者がいらっしゃるというのに、性に奔放な方でしたのね?まぁ、幸運な殿方はどちらなのかしら?それとも、これから誰かお誘いになるつもりだったの?」
ミシェリアがレティシアを貶めようと言葉を紡ぐが、焦りが見えている。ウィルフレッドはそれに気付いていた。
「まぁ、そんな令息達・・・手を挙げるものは山のようにいるでしょうね。こんなに美しいシアだ・・・誰もが欲しがりますよ。ヴィンセント殿下だって手に入れようと必死だった。彼女を欲しがる男は山のようにいます。だが・・・誰にも渡しませんし、こんな熱に侵されたシア・・・色っぽすぎて見せられないな」
ウィルフレッドは自身の上着を脱ぐと、レティシアの頭からすっぽりと被せ、しっかりと抱きしめる。
「こうしているうちにも、男達が欲情しそうだ。誰かにはない色気でね」
ちらりとミシェリアを見やる。ミシェリアは自身が馬鹿にされてるのだと気付き、怒りを表情に見せる。
「それは私に対する侮辱ととるわよ?こんな観衆の前で・・・後には引けませんことよ」
「後に引けないはどちらでしょうね?」
「どう言うことよ」
「・・・ミシェリア王女殿下、あなたはとても可愛らしい姫だった。素直で、明るくて、無邪気で。あなたを護衛する役目を騎士達が取り合いしていたほどに。だが、今はどうでしょう。あなたの癇癪に、あなたのわがままに、皆、あなたの護衛は嫌がるんです。人を充てがうこちらの身にもなって頂きたい」
「なっ・・・いい加減にしなさい!それ以上言うなら、不敬罪で捕らえるわよ!」
「捕らえられるのはどちらだろうな?」
そこへ国王がゆっくりと歩み寄ってきた。
「お父様、あんまりだわ!どちらがって、私が捕らえられるような言い振りではありませんか!なぜ私が捕らえられるのです!私は王女です、この国唯一の王女なのですよ!」
「黙れ!」
「っ!?」
国王レオナルドの剣幕に、これまで喚いていたミシェリアもさすがにしまったとばかりに焦りを見せた。
ーーーーーーーーーーーーー
次回
ミシェリア殿下、あんまりです!あなたの指示で動いたんですよ!
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