騎士団長様からのラブレター ーそのままの君が好きー

agapē【アガペー】

文字の大きさ
上 下
180 / 544

忍び寄る魔

しおりを挟む




【ウィルフレッドside】


シアは・・・レイバンが近くにいるな・・・
さっそくか・・・
くそっ、あれは・・・
レイヤーズ侯爵家の嫡男か
後で覚えていろよ




「陛下、ご挨拶に伺いました」

「おぉ、アバンス団長か。ん?婚約者殿はどうした?いつも一緒にいるものだと思ったが」

「本当は片時も離れたくはないのですが、ちょっとワケがありましてね」


ウィルフレッドの視線に気付いたのか、国王レオナルドが真剣な顔になる。


「ほぉ、訳ありとな。何か企んでおるのか」

「企んでいる・・・というより、企みに乗って悪事を暴こうとしている、の方が正しいですね」

「悪事だと?」

「陛下、御無礼を承知で申し上げます。今宵の夜会で、御息女・・・ミシェリア王女殿下が人に危害を加える可能性があります。命をとまではいいませんが、ご自身の欲の為に人を使ってまで他人を貶めようと画策しておられるようです」

「何だと?・・・ミシェリアが・・・」

「はい・・・ランドルスト公爵令嬢の事件は記憶に新しいと思います。確かな確証は得ておりませんが、もし関わっていらっしゃるなら・・・人を駒に使うような真似をされるなど・・・」

「・・・信じがたいが・・・あれは私も甘やかして育ててしまった後悔がある。信頼しているお前が言うのだ。間違い無いだろうな」

「信用して頂き嬉しく思います。陛下におかれましては心苦しい結果となるかもしれませんが・・・」

「いや、構わん。民は皆大事な国の財産だ。いくら自分の身分が高かろうとやってなはらん事もある。お前に任せる」

「・・・はい、承知しました」






【レティシアside】



「その辺にしておいたら?」




ミシェリア王女殿下・・・
敵が真っ向勝負を仕掛けに来たのかしら?
先程のご令息は・・・随分と静かに去ったわね
これも王女殿下の差金・・・ということかしら



「ミシェリア王女殿下、ご挨拶申し上げます。助けていただいてありがとうございます。中々引き下がってくれずに困っておりましたの」

「このくらい・・・まぁ、今宵は夜会・・・楽しみましょう」


ミシェリアは通りかかった給仕からワインを受け取る。


「さぁ、乾杯しましょう?」

「えぇ」


レティシアはグラスを受け取ると、杯をあげ、口元に持っていく。ちらりと視線を外すと、先程言い寄ってきていた令息が少し離れたところからこちらを伺っていた。視線を戻し、グラスに口をつける。


「このワイン、どうかしら?私のお気に入りでしてね。気持ちよく酔えるのよ」

「えぇ、とても美味し・・・っ・・・うっ・・・あっ・・・はぁ、はぁ・・・」

「あら?どうしたのかしらレティシア嬢?たったそれだけで酔ってしまったのかしら?随分と弱いのね。まぁ、仕方ないわ。これ、随分と強力なものが入っているらしいの。ふふっ・・・ははっ・・・我を忘れるまで楽しめばいいわ」


レティシアの身体がぐらついた。自身の身体をきつく抱きしめるようにして震えている。顔は次第に紅潮し出してきた。倒れる。床に身体が打ち付けられる寸前、誰かにしっかりと抱き止められた。





ーーーーーーーーーーーーーー

次回

こんな熱に侵されたシア・・・色っぽすぎて見せられないな








しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【14万PV感謝!!】異世界で配合屋始めたら思いのほか需要がありました! 〜魔物の配合が世界を変える〜

中島菘
ファンタジー
 電車で刺された男・タイセイは気づけば魔物が人間と共に堂々と道の真ん中を闊歩するような異世界にいた。身分も何もかもない状態になってしまい、途方に暮れる彼だったが、偶然取り組み始めた配合による小魚の新種の作成を始めた。  配合というアイデアは、画期的なアイデアで、ある日彼が転生した大都市ホルンメランの美少女首長がそれに目をつけ、タイセイを呼び出す。  彼女との出会いをきっかけとして、タイセイの異世界生活は大きく動き出しはじめた!   やがてタイセイの数奇な運命は異世界全体を巻き込んでいく……

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。

さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。 許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。 幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。 (ああ、もう、) やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。 (ずるいよ……) リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。 こんな私なんかのことを。 友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。 彼らが最後に選ぶ答えとは——?

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

遠くの光に踵を上げて

瑞原唯子
ファンタジー
敗北を知らない18歳の少年と、一族から蔑まれてきた10歳の少女の、出会いから始まる物語。

敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!

桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。 ※※※※※※※※※※※※※ 魔族 vs 人間。 冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。 名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。 人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。 そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。 ※※※※※※※※※※※※※ 短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。 お付き合い頂けたら嬉しいです!

処理中です...