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【クラウディアside】美男子の涙
しおりを挟む「クラウディア嬢!お願いだ、僕の話を聞いてくれないか!」
屋敷の外から声がする
夜会の夜助けてくれた、長年恋してきた愛しい人の声がする
幼い頃、歳の近い令息令嬢を集めたお茶会で私は彼・・・
ディアルド・アバンス公爵令息様に恋をした
だけれど、ディアルド様はとても人気で近づくことさえできなかった
なのに、お姉様はいつも話しかけられていた
きっと、ディアルド様は、お姉様が好き
お姉様の名を、クラウディアだと間違って覚えていらっしゃるんだわ
自然と涙が出てきた
悔しい
悲しい
辛い・・・
バタン!
「クラウディア嬢!」
えっ!?
驚いた私は咄嗟に泣き腫らした顔を隠すためにそっぽを向いた
どうしてディアルド様がここに?
使用人達に止めておいて欲しいとお願いしたのに・・・
彼が公爵令息だから?逆らえないから?それとも・・・お姉様のお願いほど効力がないのかしら・・・
「・・・クラウディア嬢・・・泣いている・・・のか?」
どうしてあなたはそんなに優しいの?
忘れられなくなるからやめて・・・
「すまない・・・想ってもいない相手からの求婚など辛いだけだな・・・こんなに君を傷つけていたなんて・・・なんて僕は愚かんだろうか・・・君に愛されたいなど・・・願っていい男ではないな・・・」
どんどんと彼の声が暗くなっていく
そうよね、彼は今、お姉様に嫌われていると思っているんだもの
教えてあげなくちゃ・・・
あなたが好きなのは、恋しているのは、クラウディアではなく、クリスティアよと・・・
「あ、あの・・・」
顔なんて見れないから、このままごめんなさい・・・
「何だろうか・・・」
「お間違いではないですか?あなたが求めてらっしゃるのは姉だと思いますが?」
「姉・・・僕が求婚したのはクラウディア嬢だが?」
やはり名前を間違ってらっしゃるんだわ・・・
「えっと・・・私の名がクラウディアで、姉の名はクリスティアです」
「知っている」
・・・え?
「間違えて名を覚えられていたのでは・・・」
「何故愛しい者の名を間違えて覚えるんだ?」
「いつもお姉様と一緒に・・・」
「!?・・・誤解させたのなら済まない・・・」
「ご、誤解・・・?」
そこ言葉に私はディアルド様の顔をそっと見る
そこには悲痛な、今にでも泣き出してしまいそうなほどに瞳を潤ませたディアルド様・・・
美男子が瞳を潤ませるなんて、ズルイわ・・・
「僕が求婚したのは間違いなく君だ。クラウディア嬢だ。クリスティア嬢と良く話してたのは・・・学園でクラスが一緒だったし、その・・・好きな人の姉だからな・・・クラウディア嬢とどうやって接点を持ったらいいか相談をしていたんだ・・・君とは、政略結婚などと思われたくなくて・・・出会って恋に落ちたと・・・したかったから・・・」
嘘・・・
信じられない・・・
しかし、私は見てしまった・・・
少しだけ空いたドアのむこうで、お姉様が涙し、両親が慰めていたのを
ーーーーーーーーーーーーー
次回
【クラウディアside】
僕だって長年想いを寄せていた女性がいるんだ
簡単に諦めるなんてできない
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