上 下
164 / 543

【クラウディアside】2番目でしかない私

しおりを挟む


「お嬢様、本日も素敵ですわ。きっとこれで素敵な殿方のお心を射止めることができますわ!」


メイドの賛辞が飛ぶ
褒められて嬉しくない訳ではないけど、特に嬉しくもないわね
私はクラウディア・レバノール
レバノール侯爵家の次女だ
綺麗で優秀な姉のクリスティアと一つ違いで、いつも比べられて育ってきた
いつだって皆、クリスティアを一番に褒め、クラウディアと付け足すように褒められてきた
本当の意味で誉めてくれたこと、認められた事などなかった
姉のクリスティアはその美しさと、優秀さとで、昨年社交界にデビューすると、瞬く間に華となった
第一王子のレオナルド殿下に見染められ求婚されている
だが、想う人がいるのだといつも断りを入れる
お姉様の想い人って誰なんだろう・・・




そんな事を考えて馬車に揺られている
目の前には輝くほど綺麗に着飾られたお姉様がいる
なんだかデビュタントの私が霞んでしまうわ・・・
そんな事を考えていた




王宮で開かれる夜会は、少しだけ、いや、随分と心躍った
そして現れた王子殿下を見た時、何故お姉様は断り続けているのだろうと、疑問に思うほど殿下は美形だった
たくさんのご令嬢に囲まれるも、その瞳はお姉様だけを捉えていた
そんなに想ってもらえるなんて、羨ましいと思ったほどだ
私のデビュタントはお姉様に霞められて終わるのね・・・
私はいつも脇役でしかない
ここにいても惨めだわ
外の空気でもあたろうかしら
庭園が綺麗だって聞いたから、行ってみよう
どうせ、私が一人になろうがどこへ行こうが気にする人なんていないわ



えっ!?な、何!?



庭園をゆっくりと歩いていると背後から力強く地面に押し倒された
ドレスを捲り上げられ、裾から手が侵入してきて、足を撫でられた
き、気持ちわるい!




「あぁ、嬉しいな。僕を誘うために一人になってくれたのだろう?君とこうして触れ合いたかったんだ・・・高嶺の花である君に近づく機会が中々来なくてね。でも、君は僕に分かりやすく合図をくれていたよな?嬉しかったよ・・・あぁ、すぐに気持ち良くしてあげる。僕を受け入れてくれるかい?」



背後から気持ちの悪い声で囁き続けられる



「や、やめてください!」

「どうして、そんな事を言うんだい?僕に視線を送ってくれていたじゃないか。王子に求婚されたって、僕を想ってくれて断り続けてくれていたのだろう?早く孕ませたいよ。僕だけのクリスティアになってくれよ」




そ、そんな・・・
こんな時でさえ、お姉様なんだわ・・・
私はお姉様と間違えられただけ
私に好意を寄せての事ではなかった
振り返って顔を見れば、相手はマンティス伯爵家の次男、ロータス様だった




「き、君は・・・クラウディア嬢・・・僕はなんて事を・・・間違うだなんて!いや、君に誘われたんだ、君が悪い!クリスティアと違って君は身持ちが悪いんだな!あぁ、そうだ、君に嵌められたんだ!」



私を地面に縫い付けるよに押し付けたまま、ロータス様は、嵌められたと大声で叫んでいた
一体、何が起こっているの・・・





ーーーーーーーーーーーーーーー

次回

【クラウディアside】

お姉様のお名前をクラウディアだと勘違いして覚えてしまったという事ではないのですか?




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!

はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。 伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。 しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。 当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。 ……本当に好きな人を、諦めてまで。 幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。 そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。 このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。 夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。 愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。

恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。 パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。

石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。 ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。 それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。 愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

処理中です...