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大人気ない兄と空気を読む弟
しおりを挟む「・・・どういう事だ?仲間?」
「えぇ、お義父様とルシアンには協力しても貰ったの。王女殿下が見舞いにくるって聞いてね。王女殿下はウィルが欲しい。だけど、ウィルが自分を見ていない。思うようにならない。きっと苛立ちを感じたはずね。また何か動きを見せるんじゃないかしら。手に入らないものほど欲しくなる。ウィルだってよくわかるでしょう?」
「・・・あぁ」
「私は、ウィルとずっと一緒にいたいわ。王女殿下と言えども、ウィルをあげるつもりはないの。ねぇ、ウィル・・・何があっても守ってくれる?」
「そんなの当たり前だ」
「ね?ルシアン、ウィルはこういう人なの。だから好きになったのよ。愛してしまったの。だって・・・私しか見えてないんだもの」
そういうウィルフレッドの顔を見つめるレティシアの表情はとても優しい目をしていた。
「当たり前だ。欲しくて、欲しくて・・・ずっと恋焦がれて、やっと手に入れたんだ。他の女が目に入るわけがないだろう」
「兄上には敵いませんね。でも、僕だってお義姉様と仲良くなりたいんです。いつだって兄上が一緒だと話もままならないですよ」
「シアは俺のものなんだ。その時間は全て俺のものだ。お前が仲良くなる必要なんかない」
「・・・お義姉様は、僕のお義姉様でもあるんです!」
「そんなの知らん!」
「・・・ウィル、弟相手に大人気ないわ」
「そうですよ・・・全く・・・今は僕が邪魔で仕方ないでしょうから、退散しますよ。お義姉様、お話楽しかったです、またお茶しましょうね」
「えぇ、楽しみにしているわ」
ルシアンは、やれやれといった感じで、手をふひらひら振りながら部屋を出て行った。ルシアンが退出したのを見て、ウィルフレッドは、再度レティシアを抱きしめる。
「ウィル、苦しいわ」
「・・・すまん・・・もう少しこのままで」
「・・・そんなに強く抱きしめなくてもどこにも行かないわ」
「シアがここにいるって確かめてる」
レティシアは、縋り付くように抱きついてくるウィルフレッドの背中をそっと撫でた。しばらくすると、ウィルフレッドがゆっくりと頭を上げる。
「なぁ、シア・・・今日も一緒に・・・寝てくれる・・・よな?」
「嫌だと言っても一緒に寝るんでしょう?」
「嫌・・・なのか・・・?」
ウィルフレッドはまた悲痛な表情を浮かべる。だが、それは稀有な事だと知った。
「私が大好きな騎士団長様は、甘えるのが大好きだもの。そのおかげで、私のほうが一人で寝るのが寂しいと感じるようになってしまったのよね。もちろん一緒に寝てくれるんでしょう?」
「あぁ・・・シア・・・大好きだ」
ウィルフレッドは、幸せを噛み締めるようにレティシアをぎゅうぎゅうと抱きしめた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
・・・この世の終わりが来た・・・
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