騎士団長様からのラブレター ーそのままの君が好きー

agapē【アガペー】

文字の大きさ
上 下
138 / 544

あれも王女の仕業?

しおりを挟む


ぎゅうぎゅうと抱きしめ、レティシアの胸に甘えていたウィルフレッド。


「ねぇ、ウィル・・・思ったんだけど」

「何だ?」

「出会ったあの夜会・・・媚薬、盛られたじゃない?」

「あぁ、そうだな」

「もしかして・・・それって、王女殿下が企んだ事だったのかしら?」


レティシアにそう言われ、しばし考える素振りを見せたウィルフレッド。


「今思えばそうかもしれんな」

「媚薬を盛って、どこかに引き込んで自身を襲わせるつもりだったって事?そんな危険な事するかしら・・・」

「自分の身体を使ってまでと思うと、なんだか怖いものがあるな」

「では、王女殿下ではない・・・?」

「いや、あの時の夜会は、数多の貴族がいたが、王城で開かれる夜会の参加者は厳重にチェックされる。騎士や従者、メイドに至ってもそうだ。何なら、王女殿下の手の者が実行犯だと考えた方が自然だ」

「あの時、私がウィルを見つけてなかったら・・・大変な事になっていたわね」

「あぁ・・・見つけてくれたのがシアでよかった。今は、感謝してるぐらいだぞ?」

「感謝?」

「あぁ、だって、あの事があったからシアに出会った。もし、あの時出会わなければ、会場でシアを見て、美しい令嬢だな・・・で終わっていたんだから。あんな事があったからとは言え、シアを知る事ができてよかった。出会いがあれとは・・・少しばかり格好がつかないがな・・・」

「ふふっ、子どもには言えない馴れ初めね」

「全くだ・・・だが、俺は夜会でシアに一目惚れしたんだろう?」

「ふふっ・・・そうだったわね」

「あぁ、美しいシアに一目惚れして、忘れられなくて、探し当てて・・・辺境まで追いかけた。それが馴れ初めだ」

「そうしておきましょうか」


レティシアはウィルフレッドの髪を梳くように頭を撫でる。


「ご褒美欲しいな・・・」

「ご褒美?」


ウィルフレッドはゆっくり起き上がり、レティシアを寝台へと押し倒す。


「ご褒美・・・貰うぞ」


そう言うと、ウィルフレッドはレティシアの唇にキスをする。


「やっとおはようのキスできた・・・うっ・・・痛い・・・」


背中を押さえながら、レティシアの隣に横になるウィルフレッド。


「もう、無理はダメって言ってるでしょう?」


レティシアはウィルフレッドを覗き込むと、自ら唇を重ねた。


「・・・キスは私からしてあげるわ」

「・・・嬉しい・・・もっと」

「えぇ・・・」


二人は何度も唇を重ねた。安心したウィルフレッドは、薬の作用も相まって、穏やかに眠りに落ちていった。




ーーーーーーーーーーーーーーー

次回

そのままでいいだろう?




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

結婚式に代理出席したら花嫁になっちゃいました

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
美希は平日派遣の事務仕事をしているが、暇な土日に便利屋のバイトをしている。ある日、結婚式の友人の代理出席をする予定で式場にいたのに!? 本編は完結してますが、色々描き足りなかったので、第2章も書いています。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

もう一度あなたと?

キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として 働くわたしに、ある日王命が下った。 かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、 ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。 「え?もう一度あなたと?」 国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への 救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。 だって魅了に掛けられなくても、 あの人はわたしになんて興味はなかったもの。 しかもわたしは聞いてしまった。 とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。 OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。 どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。 完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。 生暖かい目で見ていただけると幸いです。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

これは未来に続く婚約破棄

茂栖 もす
恋愛
男爵令嬢ことインチキ令嬢と蔑まれている私、ミリア・ホーレンスと、そこそこ名門のレオナード・ロフィは婚約した。……1ヶ月という期間限定で。 1ヶ月後には、私は大っ嫌いな貴族社会を飛び出して、海外へ移住する。 レオンは、家督を弟に譲り長年片思いしている平民の女性と駆け落ちをする………予定だ。 そう、私達にとって、この婚約期間は、お互いの目的を達成させるための準備期間。 私達の間には、恋も愛もない。 あるのは共犯者という連帯意識と、互いの境遇を励まし合う友情があるだけ。 ※別PNで他サイトにも重複投稿しています。

処理中です...