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嫁?の無事を確認する
しおりを挟むウィルフレッドは、自身にかけられていた掛布をめくると、手元にあった枕を放り投げた。
「ちょっと、ウィル!?」
「困ったなぁ・・・支えがなくなったな」
「え、えぇぇ?」
ウィルフレッドは自身の隣をポンポンと叩く。
「ほら、空いたぞ?早く無事を確認させろ。抱きしめさせろ・・・来ないなら俺が行くぞ?」
ウィルフレッドが起きあがろうとする素振りを見せると、レティシアが慌てて抑えようとする。
「ダメよ!動いてはダメ!」
ウィルフレッドを止めようとして手を伸ばしたレティシアだったが、その手はウィルフレッドを抑えることもできず、そのまま前のめりになった。ウィルフレッドが、レティシアの腕を掴んでそのまま寝台に引き上げたのだ。
「きゃぁっ!!」
レティシアが目を開けると、目の前には服がはだけたウィルフレッドの鍛えられた身体があった。
「はぁぁぁ・・・シアだ・・・シアがいる・・・腕の中にシアがいる・・・」
頭の上から安堵した声がする。
「シア、無事でよかった・・・どこにも行くなって言っただろう?なんで勝手に連れ去られそうになってるんだ・・・シアは俺のものなのに・・・俺以外の男がシアに触れるなんて・・・許せんな」
いつもに増して厳しい取り調べがとか、どんな仕置きがいいだろうなとか物騒な言葉が聞こえてくる。
「ウィル・・・助けてくれてありがとう」
「ん?何、当たり前の事にお礼言ってるんだ?嫁を守るのは夫の役目だろう?」
「嫁じゃないわ」
「嫁だ。もう、夫婦も同然だ」
「・・・違うと思うけど?」
「違わない。嫁だ・・・だからシアはもう誰にもやらないし、俺から逃げられない」
「逃げると思っているの?」
「シアは男を虜にさせすぎるんだ。いつ攫われるか不安だ。強引に迫ってくる男もいる。はぁ・・・もう、早く結婚したい。本当に嫁にしたい」
ウィルフレッドはレティシアを抱きしめて頭に頬を擦り付けていたが、背中にあてていた手を下へと滑らせていく。次第にウィルフレッドの手は、お尻や足に触れていく。
「ウィル!あっ、ダメ!」
「なんでダメなんだ?俺は嫁の無事を確認しているだけだぞ?」
「そんな場所確認する必要ないでしょう!・・・あっ」
そんなやりとりをまさか誰かに見られているなんて。
「・・・兄様・・・大胆・・・」
ウィルフレッドの声が聞こえ、目が覚めたのかと部屋に出向いたルシアンだったが、少しだけ開いたままの部屋の扉の隙間から中を覗き込んで顔を真っ赤にしていた。ルシアンは、二人が今から事に至るのだと思い込み、静かにその場を去った。自室に駆け込むと、寝台に飛び込みシーツにくるまりプルプルと震えていた。
「兄様・・・こんな昼間の明るいうちから?・・・お義姉様の声・・・いつもと違って・・・掛布がモゾモゾ動いてて・・・あれって・・・何か変な想像をしてしまうっ!!・・・しかし・・・お義姉様・・・可愛い声だった・・・もっと聞いていたいような・・・なんだか変な気分だ・・・お義姉様・・・お義姉様っ!お義姉様っ!!!あぁぁぁ・・・」
二人は全くもってそんな展開には至らなかったのだが、勝手な思い込みにより、ルシアンが初めて性を意識した瞬間だったのかもしれない。まだ性教育の施されていないルシアンにとってはなんとも言い難い時間で、ただただ悶えるしかない時間だった。翌朝、ルシアンは寝不足なのか、うっすら目元にクマができていた。
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次回
甘えたい・・・うん、甘やかされたい
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