騎士団長様からのラブレター ーそのままの君が好きー

agapē【アガペー】

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【マクシミリオンside】あの蝶を捕らえたい

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美しい蝶だ
気高く凛としていて目を奪われた
あの夜会で彼女は数多の令息達の視線を集めていた
欲しい
そう思った時には彼女に近づこうと歩き出していた
しかしその歩みはすぐさま止めることになった


ヴィンセント殿下・・・
どのご令嬢にも気のある素振りを見せたことのなかったあの殿下が
一人の令嬢を追いかけている
令息達が声をかける中、追い払っている様子もあるな


そして一人の令息が彼女の腕を引き、どこかへ連れて行こうとした
あの令息ぐらいならどうとでもなったものを・・・
邪魔が入った
まさかアバンス団長が助けに入るとは・・・
たまたま目についただけなのか?
それとも・・・


それはすぐに明らかになった
殿下が彼女に声をかけていると段々と声を荒げ、とうとうフロアの全員の注目するところとなった
そんな中、殿下がどんなに食い下がろうと、彼女は色良い返事はしなかった


そして迎えた結末は・・・


「誰なんだ!」


「・・・そんなに知りたければ教えて差し上げますわ」

「彼を夫にすると決めましたの」

「私の未来の夫を紹介しますわ。ウィルフレッド・アバンス騎士団長様ですわ」


周りも驚く中、一番信じられないという顔をしていたのは、誰でもなくアバンス団長その人だった


そして少しずつ驚きとは違う感情が湧いてきたことき気付いた


悔しい


同じ公爵位の子息なのに、あいつは極上の女に選ばれた
負けたくないと思う気持ち、純粋に彼女が欲しいと言う気持ち・・・


夜会はモヤモヤした気持ちのまま幕を閉じた




「マクシミリオン様、数日後に我が屋敷で茶会が行われるようです」

「どうせ、いつものメンツだろう?王女様のご機嫌伺いの」


俺に話しかけてきたのは、同じくヴィンセント殿下の側近を務めるオリバー
オリバーは侯爵家の次男ではあるが、宰相の息子でもある
俺の妹のイザベラと、侯爵家の令嬢ミリアがよく茶会を開く
そこに王女がよく参加しているのはいつもの事


「そうなのですが、今回は少々違うようですよ?」

「?そう言うという事は何か理由あっての事か?」

「えぇ、先日夜会で気になっていたご令嬢がいたでしょう?あのご令嬢を妹が茶会に招待したらしいのですよ」

「何?・・・参加すると言うのか?」

「そのようですね」

「・・・そうか」

もう一度見たい
あわよくば接触したいものだな


そして茶会当日、オリバーの屋敷にて彼女がくるのを待った
そして彼女は現れた
やはり誰よりも美しい
そして・・・欲しい




「うん・・・やっぱりあの銀の蝶は美しいね。ますます欲しくなったよ・・・オリバー」



俺は彼女から視線を外す事もなくオリバーに声をかけた



「オリバー、茶会が終わる時に偶然を装って彼女に接触をするには・・・ちっ・・・どこまでも騎士ナイトでいるつもりか・・・目障りだ・・・」



アバンス団長が来たな



「アバンス団長はもう、婚約者となったのでしょうかね?随分と距離も近いですね」

「・・・邪魔だ」



本当に邪魔だ
まぁ、いい
いつしか手に入れてやるさ
歳の離れた男より若い男がいいに決まっているさ
あぁ、待ち遠しいな
君を早く捕らえたい
その笑顔を、声を・・・
君を私の全てで淫らに鳴かせてみたいものだ





--------------


次回

そう、ただ教えただけ
それだけなのだ





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