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【ウィルフレッドside】幸せついでに言質を取りたい
しおりを挟む「ウィル、歩けないわけじゃないのよ。降ろしてくれる?」
「いーやーだー」
「もう・・・」
シアに触れていたくて仕方ない
だから、今はこうしていたい
「・・・おい・・・」
「はい?」
なんだ?誰だ?
あ・・・殿下・・・
「見せつけてくれるなよ」
「では、見なければよろしいのです」
「なっ!?」
そう、見なければいいんだ
シアが挨拶ついでに殿下に笑いかけるものだから、つい言ってしまった
他の男に笑いかけるなって・・・
シアは早く帰ろうと言ってきた
そうだな、早く帰って二人だけの時間を過ごしたい
シアはおかりなさいのキスをするのだろうと言ってきた
当たり前だ
もう日課にするからな
「・・・おい、なんだそれ?・・・一緒に帰るのではないのか?何故おかえりなさいのキスになるのだ!」
あ、そうだった・・・
殿下にはまだ一緒に住んでいる事は話していなかったな・・・
「おかえりなさいだけではないですよ?おはようもおやすみもいってらっしゃいも、そしてしたくなったらするんです。今も・・・」
「んっ・・・もう・・・」
つい見せつけたくなるな
殿下、シアは俺のものです
もう手に入りません
諦めてくださいね?
「くそっ・・・ん・・・んん?ちょっと待て・・・おはよう、おやすみってどう言う事だ!」
「えっ?そのままの意味ですよ?」
「待て、待て!まさか・・・一緒に住んでるとは言わないよな!?」
「そうですよ?あぁ・・・一緒に寝てますしね」
一緒に寝てますよ?
まあ、俺が無理矢理引きずり込んだんですが、シアは一緒に寝てくれます
いいでしょう?
あ、気付きました?
そうなんです!
シアとは愛称で呼び合っているんですよ
俺だけが呼ぶことを許された名です
殿下・・・
そうとう悔しそうだな
この際畳み掛けておくか・・・
「殿下も早く愛しい婚約者を見つけてくださいね。素晴らしいですよ?毎朝起きたら目の前に愛しい存在がいるんです。特にシアの寝顔と目覚めは天使かと見紛うくらい可愛いんです。目覚めの瞬間、目の前にシアがいて、自分の腕の中で眠っているんです。朝から愛しさで包まれるなんて、幸せのなにものでもありませんよ。頑張ったら頭撫でて貰えて、お昼はあーんもして貰って、膝枕もして貰いました。怖い夢を見て飛び起きたんですが、大丈夫よって抱きしめてくれるんです。他の男に囲まれているシアを見たときは血の気が引きました。でも、抱きしめてなだめてくれて・・・大泣きするような格好悪い私でも好きだって、大好きだって言ってくれるんです。わがままをたくさん聞いてくれて・・・それに、私は案外嫉妬深いようです。周りの目のあるところで抱き合っている男女なんて、頭がおかしいのかと思っていましたが、知らなかった自分が愚かだったと知りました。知ってしまったんです、周りの目など気にせず相手を求めてしまうものなのですね。この歳になって初めて知りました。愛しい人を目の前にすると・・・シア以外見えなくなるのです。ヴィンセント殿下・・・私は・・・とても幸せです」
「う、うるさぁぁぁい!!早く帰れ!!」
「えぇ、言われなくとも帰りますよ」
大声出して・・・
よほど悔しいと見える
トドメでも刺すか
「シア、今日の夕食、また、あーんってしてくれるか?」
「いいけど?」
「寝るときは抱きしめさせてくれよ?」
「いいわよ」
よし!
どうせだ、幸せついでに言質もとるか
「湯あみも一緒に入ろうな?」
「それはダメ」
「あっ・・・引っ掛からなかった・・・」
う・・・ん
うまくいかなかった・・・
残念・・・
「だぁぁぁっ!!!家でやれ!!」
あぁ・・・そうですね
はい、家でもやりますね!
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
【レティシアside】
何かウィルが語り出したわ・・・
これ・・・惚気てるって言うのかしら?
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