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【公爵夫人side】念願の娘ができた!
しおりを挟む私はアバンス公爵夫人クラウディア
侯爵令嬢だった私は、今の夫に幼い頃初恋をした
しかし、現在の夫であるディアルドの近くには常にクリスティアお姉様がいた
勝手に恋して勝手に失恋して、領地にこもって学園には通わず家庭教師をつけてもらった
誰とも結婚なんて考えてはいなかったけど、そろそろ婚約者をと両親からも迫られ、夜会に参加をした
そこでお姉様に好意を寄せていた令息に、庭園の隅で襲われそうになったところをディアルドに助けられた
襲おうとした令息も薄暗い中お姉様と勘違いし、ディアルドも姉クリスティアだと思って助けた事だろう
その現実を感じると、心が抉られるようだった
だが奇跡が起きた
なんとディアルドと私は両思いだった
夫婦になり・・・
そして子どもにも恵まれた
その子が結婚適齢期になった今、一つの悩みがあった
次期公爵で長男のウィルフレッドが、縁談を全て断り結婚しないと言っている事
周りのご令嬢達から熱のこもった視線で見られる事に辟易して、どのご令嬢も同じに見えるらしいのだ
しかし、その悩みは一夜にして解決したの
そう、あの夜会、自分の意思をしっかりと持って、周りとは違う空気を纏った彼女に、私も釘付けになっていた
銀糸のような美しい髪に、媚びない態度
あんなに王太子殿下に言い寄られても靡かない
珍しいご令嬢がいたものだわと思ったわ
王太子殿下の事をあんなに拒むの、他に誰かいい人がいるのかもしれないわ
そしたら・・・
「・・・そんなに知りたければ教えて差し上げますわ」
王太子殿下が声を上げて選んだ男は誰なのだと聞いている
ご令嬢は教えるといって歩き出した
誰なのかしら?
・・・その方向は・・・陛下?いや、それはない・・・でも、そっちには息子しか・・・いないけど?
「彼を夫にすると決めましたの」
私、夢を見ているのかしら・・・
息子が結婚をしないからと、願望が夢に・・・
「私の未来の夫を紹介しますわ。ウィルフレッド・アバンス騎士団長様ですわ」
「ディア、これは夢かな?」
夫のディアルドが声をかけてきた
私だって信じられない・・・
「夢であっては困るわ・・・でも、ウィルフレッドは・・・」
そのご様子を見ていると、ウィルフレッドの想い人は彼女だったようだ
国王陛下にずっと想い続けたいい女ですと言い放った
感激したのだけれど、息子が驚く事を言い出した
なんと、辺境に婿に行くと言い出したのだ
それはダメよ!
あなたは公爵家の嫡男なのよ!
下にはルシアンがいるけど、10歳。
まだ幼いわ・・・
しかし、陛下が次いでプロポーズ劇を行った第二王子のアルバート殿下を婿に、ウィルフレッドは王都にて騎士団長を継続とおっしゃったおかげでその話は流れた
そして、今日、とうとう義娘となるベルモンド辺境伯のご令嬢、レティシア嬢が・・・いや、レティシアちゃんが・・・我が屋敷にやって来る!楽しみでしかたないわ
「きゃー!可愛い!!」
先に抱きついていたルシアンごとレティシアちゃんを抱きしめてしまった
それにしても可愛いわ
ウィルフレッドが嫉妬しているわ・・・
そんなところがあったのね
でも、わざわざ引き離さなくてもいいじゃない!
「お兄様酷い!」
「そうよ、私だってレティシアちゃん愛でたいのに!」
ルシアンと一緒になって抗議してやったわ
「おいおい、玄関で何やってるんだ・・・」
しびれを切らしたディアルドが呆れながらやってきた
でも、その後また驚かされる事になるなんて・・・
ウィルフレッドが、レティシアちゃんを膝に乗せて辺境伯の隣に座ったのよ
びっくりしたわ
こんな事する子だなんて思わなかったもの
本当にこんなに可愛いお嫁さんが来てくれるなんて
家格の釣り合うご令嬢、もしくは少し爵位が低くてもと必死に探していた過去の自分に教えてあげたいわ
「お義姉様、あとで一緒にお茶しましょう!庭に綺麗な花が咲いているんです、僕が案内します!」
まぁ、ルシアン積極的ね・・・
まさかルシアンもレティシアちゃんに惚れてしまったの?
でも、それだけはやめてあげて
初めてウィルフレッドが望んだご令嬢なのですから
「あら、ルシアン様ありがとうございます。楽しみですわ」
「ちょっと待て!ルシアン、それは俺の役目だ、とるんじゃない!」
「兄上、少しぐらいいいじゃないですか!僕だって、お義姉様が欲しかったんですから」
「シアはダメだ!お姉様も俺がしてやる」
「ウィル、さすがにそれは無理よ・・・」
ウィルフレッド、嫉妬はいいけど、斜め上の発想に至ってるわね・・・
「レティシアちゃん、娘ができるなんて嬉しいわ。一緒に街にお買い物に行きましょうね!カフェでお茶もいいわね。そうだわ!私のお友達のお茶会に一緒に参加しましょう!嫁自慢ができるわ!」
これまでは、お茶会や夜会でも他のご夫人方に嫁自慢されて悔しかったのよ
どこの令息よりも秀でているというのに、ウィルフレッドには嫁が来ない
おかげで男色家なのか、性格に難があるのかなんて言われたわ
しかし、これで自慢できるわ!
「母上、勝手にシアの予定を決めないでください。シアの時間は俺で埋め尽くされていますからそんな時間はありません」
「ウィル、一日中屋敷にいても仕方ないわ。ウィルが騎士団にいっている間ならいいでしょう?」
「ダメだ!シアが街に出てみろ?男達が群がってくる。それに夫人達のお茶会に参加でもすれば、シアを気に入って自分の息子をと薦めてきかねん。敵は男ばかりとは限らない」
「考えすぎよ・・・」
信じられない・・・
ウィルフレッドが本当に嫉妬しているわ・・・
そのあとディアルドが自分もレティシアちゃんを膝に乗せてみたいと言った時には、父を他の男扱いするんだもの
本当に驚いたわ
「シア、このまま屋敷に住んでくれないか?」
あら、いい事言うじゃない!
だから昨日あんなに急いで部屋を整えさせていたのね
「そうです、お義姉様、兄上と結婚するんでしょう?もう住んでください!」
「そうよ、レティシアちゃん、もうここはあなたのおうちよ?」
「レティシア嬢、君がよければこのままどうかな?」
辺境伯は許可をくれるかしら?
「レティシア、ここまで言われて帰るのも気が引ける・・・いいんじゃないか?」
「お義父上!ありがとうございます!」
「だから、なんでウィルが返事するのよ・・・」
渋々といった様子だけれども、嫌がっている様子はないし、ここに住んでくれるみたい
嬉しいわ!
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
娘というのは知らない境地だ
私もやってみたいものだな・・・
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