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今日はこれにてと帰るはずだった
しおりを挟む婚約の書面を交わし、二人は晴れて婚約者になった。結局最後までウィルフレッドの膝からはおろして貰えなかった。用事も済み、帰ろうかという事になったが、どうにも雲行きが怪しい。
「シア、このまま屋敷に住んでくれないか?」
「そうです、お義姉様、兄上と結婚するんでしょう?もう住んでください!」
「そうよ、レティシアちゃん、もうここはあなたのおうちよ?」
「レティシア嬢、君がよければこのままどうかな?」
怒涛の勢いで引き止められるレティシアは、困惑してギルベルトの顔を見る。
「レティシア、ここまで言われて帰るのも気が引ける・・・いいんじゃないか?」
「お義父上!ありがとうございます!」
「だから、なんでウィルが返事するのよ・・・」
もうなし崩しもいいところだ。家族総出で大歓迎されてはそうせざるを得ない状況だ。結局ギルベルト一人がタウンハウスへと帰って行った。そしてレティシアは、ウィルフレッドに屋敷の中を案内され、ある部屋に着いた。
「シア、ここが君の部屋」
「・・・もう用意されてるの?」
「すぐにでも使えるように、昨日のうちに整えさせたんだ」
「そう・・・なのね」
「こっちが寝室で、その隣が」
「ちょっと待って、なんで内扉があるの!?」
「えっ?夫婦の寝室だから」
「・・・へ、へぇ・・・」
「だから、今日から一緒に寝よう?」
「い、一緒に!?さすがにそれは・・・」
「嫌だ、ちょっとでも一緒にいたい。同じ屋敷の中にいるのに、何故別々にいないといけないんだ?もう離れたくないんだ。離れたらまた手の届かないところに行ってしまいそうで・・・怖くて眠れない。もちろん変な事はしない!ただ・・・抱きしめて眠るのだけは許して欲しい・・・」
「ダメに決まっているでしょう!」
「ダメじゃない!だったらもう離さないだけだ!」
その後、辺境伯のタウンハウスからレティシアの荷物が運ばれるも、お茶の時間も夕食の時間もべったり、部屋にいても離してくれず、湯あみまで一緒に入ろうとする始末。女に興味のなかった騎士団長はどこへ・・・結局夜は寝台へと引きずり込まれ、後ろ抱きで離してくれないまま眠りにつくことになってしまった。
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次回
【ウィルフレッドside】
シアが座るのは俺の膝の上だ
もうここは指定席だな
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