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一年半ぶりの夜会
しおりを挟む「おかしくないかしら?」
「えぇ、お嬢様、よくお似合いですよ。以前よりおすすめしていたように、お嬢様には青がお似合いです。しかし、今まで一度も仕立てられた事はないのに、急にどうなされたのです?」
「今回の為に仕立てたのよ。だって、皆青が似合うって言ってくれるんだもの」
「えぇ、レティシアお嬢様は、旦那様のお色を引き継がれているので、青はとってもお似合いになられます。第一王子殿下の瞳の色も青でしたわね。きっと、お嬢様の美しさに虜になられて、妃にと望まれますやもしれませんね」
「そうかしら」
レティシアは王都のタウンハウスにいた。一年半ぶりに夜会に出るため、準備の最中。王都のタウンハウスの使用人達と会うのは一年半ぶり。もちろん、辺境であった事は知らない。貴族達は、第一王子と第二王子のどちらともに婚約者がいない事に、娘を妃にできないかと躍起になっている家もある。辺境伯はその点では、娘を妃にとは考えてはいない。レティシアにもマリーリアにも婚約者はいないが、これは単にいないというわけではなく、辺境という特殊な土地柄故に、王女のいない王家のかわりに、娘を友好の為に他国に差し出すという、政治の駒になり得る可能性もあるからだ。
今回の夜会は、辺境伯当主、姉のマリーリアも参加する。夜会は、婚約者がいる者はパートナーとして伴う事が良いとされる。婚約者がいなく、パートナーとなるものがいない場合は、当主の付き添いでの参加、または代理として参加する。婚約者や恋人のいない者達にとって、夜会は出会いの場でもある。もちろんそこには王子二人も含まれる。婚約者のいない未婚の令嬢が多いのも、王子二人に婚約者が決まらない為だと言われており、夜会では我先にとアピールする。第一王子であるヴィンセントはこれに辟易しているのである。
「レティシア、今日の夜会では、絶対にヴィンセント殿下に近寄らないでよね!」
姉のマリーリアが牽制をしてくる。
「私はどうでもいいんです。興味がないですから。ですが、向こうから寄ってくるもはどうにもしようがありませんので、お姉様がしっかり捕まえておいてくださいませね」
ただ、ただレティシアは面倒だと思っているだけだった。
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次回
君がレティシア嬢か
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