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ウィルフレッドの手紙10
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君は花は好きだろうか?街の花屋の前を通るたびに、君はどの花が好きだろうかなどと考えてしまう。何を贈ったら君は喜んでくれるのか。考えて、悩んで、結局決める事もできず。君に受け取ってもらえるわけでもないのに、贈る事を考えてしまっている自分がいるんだ。もっと距離が近ければ。たくさんの贈り物で君への愛を伝える事ができるのにな。今は、この距離が俺と君の心の距離のようだ。もっと近付きたい。すぐにでも会いに行けるなら・・・何度も何度も君に会いに行くのだろうな。君に嫌われたくはないが、きっと面倒な男だと思われるほどには君に執着しそうな俺がいる。
I like you just the way you are.
(そのままの君が好き)
ウィルフレッド・アバンス
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【ウィルフレッドside】
花を見るたびに、辺境の花屋にいたレティシア嬢を思い出してしまう。あの光景は、奇跡を見ているようだった。花が咲いているところに彼女がいたのではなく、彼女がいる場所に花が咲き乱れたような光景だった。そうだ、レティシア嬢が一番美しい花だった。君に花を贈りたい。花だけと言わず、たくさんのプレゼントを贈りたい。彼女は受け取ってくれるだろうか・・・。もっと近ければ・・・愛を請いに何度もレティシア嬢の元を訪れると予想がつく。何度も何度も君を好きだと伝えたい。面倒な男だと思われそうだが、きっと抑える事はできないな。
【レティシアside】
花ね・・・私は、派手な花は好きじゃないのよね。薔薇は確かに綺麗だわ。庭園なんかに沢山咲き乱れるところを見ると、素晴らしいと思うもの。でも、自分が手元で愛でたいと思うのは、育てられた綺麗な薔薇ではなく、野薔薇に咲いたささやかな花。だから私は庭で寝転んでみたり、令嬢らしからぬ事をするの。花なんて贈ってくれなくていいわ。摘んでしまえばあとは枯れるだけ。摘まれなければあと少し、ほんの少しお日様の下で咲き誇っていたんだもの。光に照らされる様が見ていたい。だから花なんていらない。近ければ何度も会いにくるつもりでいるのね。だったら、近くでもっといいご令嬢を探せばいいのに。私を気にかけるから、この距離を悩むのでしょう?本当に面倒な男だわ。
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次回
次はいつ王都にくるのだ?
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