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日常の変化
しおりを挟む第一王子ヴィンセントとウィルフレッド、護衛の騎士達が王都への帰路につき、辺境は元の日常へと戻っていた。相変わらずレティシアは街へと出ては、領民の手助けになる事をと顔を出している。そんな日常が、前とは違う事が三つある。
一つはウィルフレッドから手紙が届くようになった事。あの夜に、ウィルフレッドが背を向けて手紙を書くと言ったのを最後に会っていない。どの頻度で出すなんて考えてはいなかった。絶え間なく手紙が送ってくる。王都から辺境までどう急いでも三日はかかる。遅延が発生し、数日分一緒に届くなんて事もよくあることだ。手紙の数からして、これは毎日書いているのだろうと予想できた。
そして二つ目。元々姉妹の仲は悪くはなかった。ヴィンセントとの仲を深めることができなかった姉マリーリアの不機嫌がまだ続いている。辺境の滞在中は案内役をする予定だったマリーリアは、お近づきになりたいと目論んでいたが、ものの見事にかすりもせずに終わった。ヴィンセントが妹のレティシアに興味を持ち相手にされなかった結果、ヴィンセントが王都に戻った後も不機嫌は続いたままだ。
三つ目。第一王子ヴィンセントから手紙が届くようになった事。ウィルフレッドほど頻繁ではないが、届くたびにマリーリアの不機嫌は最高潮に達する。レティシアが邪魔をした、その手紙は私に届くはずだったと喚き散らすのだ。ヴィンセントからの手紙はいつも似たり寄ったり。王都へ来い。次の夜会には出ないのか?茶会を催すから来ないか?そんな内容ばかり。手紙と一緒に花も贈られてくる。
まわりが勝手に盛り上がり、勝手に悪者にされている。レティシアは面倒でしかなかった。
そんな中、ウィルフレッドの手紙だけは、何を求めるでもなく、何を押し付けるでもなく、ただ毎日の事と素直な気持ちが綴られていた。しばらくは、いつまで続くのだろうと思っていた。時が経つにつれ、彼からの手紙を読むことがレティシアの日常になっていた。
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次回
毎日君を想っている。
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