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【ウィルフレッドside】ま、待ってくれ!
しおりを挟むとうとう連れてきてしまった・・・
「殿下、ご令嬢を呼んでまいりました」
「レティシア・ベルモンドでございます」
庭で寝転んだりするのに、淑女としての備えはあるのか。綺麗なカーテシーに完璧な振る舞いだ。
「あぁ、呼び立ててしまってすまないね」
「何か御用でしょうか?案内や世話は、姉のマリーリアが承っているはずですが・・・」
迷惑と言ったところか?自分には関係ないとでも言いたげだな。
「用がなくては君と話をする事は許されないのかい?少なくともあの姉よりは面白い話ができそうだと思ったんだがな」
「殿下が何を求めていらっしゃるのかわりませんが、私に期待されても困りますわ」
「そうか・・・では、君に聞きたい事がある」
何を聞くつもりだ?
「君は、婚約者はいるのか?」
核心に迫ってきた・・・俺だって気になってはいたが・・・
「いえ、おりませんが」
いない・・・のか・・・。どこかに喜んでいる俺がいる。だが・・・殿下、まさか・・・
「奇遇だな。私の婚約者の座も空席だ。私の婚約者にならないか?」
「で、殿下!?」
あまりにストレートな言葉に大きな声が出てしまった。ま、待ってくれ!頼む・・・断ってくれ!
「レティシア嬢、どうかな?」
「その問いの答えとしては、現時点では何もお答えできませんわ」
現時点では・・・
「ほぉ・・・どういう事だろうか?私が婚約者というのは不満か?」
「不満・・・そうですね。殿下は地位も、女性が好む容姿も様々な才もお持ちでしょう。正直、一番の優良物件かもしれませんわね」
レティシア嬢もやはりそう思うのか・・・俺じゃ地位も見目も勝てるものは・・・ない
「ふむ、では何故即答せんのだ?喜ばんのだ?」
「何も知らないからですわ」
「何も知らぬわけないだろう?私は第一王子。知らぬ者の方が珍しい」
「それは子どもでも知っている事ですわ。私が申したいのは、中身の問題です。いくら見目がよかろうが、中身が伴っていないのなら価値はありません。婚約は結婚の約束なのです。結婚して生涯添い遂げる。その長い道のりを一緒に歩んでいける。そんな人を悔いのないように選びたいではありませんか」
レティシア嬢は見目より中身だと言いたいのか・・・俺にもまだ希望はあるのか?
「もっともだ。私もそう思うよ。ぜひレティシア嬢とは仲を深めたいものだな」
「お気持ちだけありがたく。私はそろそろ失礼しますわ。あまり長居すると姉に申し訳ありませんからね。それでは、失礼します」
「レティシア嬢、また話をしようではないか」
頼む、これ以上彼女に関わらないでくれ!
「機会があれば・・・ですね」
ーーーーーーーーーーーーー
次回
お前だってそうだろう?ウィルフレッド
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