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王子と騎士団長

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レティシアが去った後、ヴィンセントが話し出す。


「ウィルフレッド、彼女、いいな・・・本当に妃として欲しくなった」

「そう・・・ですか・・・」

「あのような自分の意志を持ち、しっかりと意見を言う令嬢は少ない。今まで私の知る令嬢と言ったら、私の地位と見た目にすり寄ってくる女が殆どだった。常日頃辟易しているんだよ・・・お前だってそうだろう?ウィルフレッド」

「殿下ほどではありませんよ」

「ふっ、謙遜するな。して、お前、最近噂になっているそうじゃないか。王都中の令嬢を見て回っているらしいな?ついにお前も身を固める気になったか?」

「そういうのではありません」

「そうか?私はお前がどんな令嬢が好みなのか興味があるがな」

「女性は苦手です。殿下、明日の視察の警備の件で打ち合わせをするのでそろそろ失礼しますよ」

「あぁ、わかった」


ウィルフレッドは他の騎士と交代し、部屋を後にした。そのまま会議室として使用する部屋に足を踏み入れた。他の騎士達に明日の警備と護衛の計画の確認をとると、自室にと割り当てられた部屋に向かった。部屋に入り、寝台に仰向けに身を投げ出した。


「くそっ・・・何故殿下まで・・・」


ウィルフレッドは自身が視線を向けた先にいたレティシアに、ヴィンセントまでもが惹かれていた事に頭を抱えた。


「あの時・・・俺がつい見惚れてしまっていたから・・・」


探し求めた令嬢が目の前にいたという事に舞い上がり、その事に気付けなかった自分に腹がたった。半年も求め続けた気持ちが前のめりになっていた事に今気づいた。


「奪われたくない・・・俺がこの半年どれだけ彼女を探していたか・・・どれだけ彼女を求めていたか」


ウィルフレッドも、ヴィンセントが言ったように、好意を持ってすり寄ってくる令嬢達に辟易していた。そんな中で出会ったレティシア。ウィルフレッドは半年の間ずっと、たった一目見たレティシアの、意志の強い紫の瞳が脳裏に焼き付いて離れなかった。




ーーーーーーーーーーーーーーー


次回

まだ・・・足りない・・・

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