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青空の下で
しおりを挟む長女のマリーリアのお茶の誘いには、疲れているからとすぐに断りを入れた。なのに、ヴィンセントはレティシアが気になり、すぐに連れてこいと言う。ウィルフレッドは、気乗りしないままレティシアがいた屋敷裏の庭へと重たい足を運んだ。
レティシアは、先ほど見かけた場所からほど近い、少し開けた野原のような場所に仰向けに寝転んでいた。
「失礼する。辺境伯の娘、レティシア嬢で間違いないか?」
「えぇ、そうですが・・・私に何かご用ですか?」
「・・・第一王子ヴィンセント殿下が視察に来られていてな・・・君と話をしたいとおっしゃっている」
「・・・私は特に話す事はありませんが」
「とにかく挨拶だけでもどうだ?」
「殿下の案内などの世話役は、姉のマリーリアが引き受けているはずです。面倒事に巻き込まれたくはありませんので、マリーリアお姉様にお声がけいただけません?」
「その・・・殿下は、マリーリア嬢の誘いを断ったのだ。なのに君と話がしたいと言っててな・・・」
「まったく・・・面倒ですね。振り回してくる男は嫌いです。地位や見た目がいいと、女は誰でも自分に惚れるとでも思っているのでしょうね」
「・・・全くだが・・・俺も殿下に振り回されている」
「大変ねとでも言ってほしいの?私には関係ないわ」
ここまで頑なに拒否するとは思わず、ウィルフレッドは返す言葉が見つからなかった。ヴィンセントと言えば、ホワイトブロンドの髪に青い瞳で見目麗しい容姿を持つ、この国の第一王子だ。王子は22歳。まだ婚約者がいたことがない。そのため、未婚で婚約者のいない令嬢からは、大人気で引く手数多なのである。しかし、ヴィンセントは、これまでに会った女性には興味がないと言わんばかり。常に王子様スマイルで優しく丁寧に接しはするが、深い関係には絶対ならない。チャンスとばかりに狙っている令嬢も多く、姉のマリーリアもその一人。ウィルフレッドは、ヴィンセントの命とは言え、レティシアを引き合わせることに躊躇いがあった。しかし、レティシアの反応を見る限り、ヴィンセントにはさほど興味もないようだ。ウィルフレッドは、少しだけ踏み込んでみる事にした。
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次回
【ウィルフレッドside】
こんな誘いなんてしたくないのに・・・
興味がない・・・のか?
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