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【ウィルフレッドside】見つからない女神
しおりを挟む「・・・ん・・・はっ!・・・彼女は!?・・・いない・・・」
夢だったのか?それにしては鮮明で・・・感触だって・・・ん?なにか落ちている・・・
「これは・・・彼女のハンカチ・・・」
これは彼女が持っていたものだ!という事は、やはり夢なんかではない!眠ってしまってどれくらいが経っているのだろうか・・・とにかく探そう。服は・・・大丈夫だな。銀の髪、紫の瞳。手がかりはそれだけだ。見つける。見つけて抱きしめたい。どこにいるんだ・・・美しい彼女の事だ。きっと令息達が放ってはおかないな。声をたくさんかけられているに違いない・・・他の令息達になんか渡すものかっ!!・・・フロアには・・・いないな・・・
「アバンス団長様、警備の方はお手すきですの?よかったら、二人きりでお話がしたいですわ」
彼女は、ランドルスト公爵家のイザベラ嬢か・・・いつ見ても派手だな・・・
「人探しをしている最中で、失礼する」
今は君に構っている暇はないんだ。どこへ行ってしまったんだ。庭園か?それともまだ王宮内にいるのか?
・・・いない・・・馬車を停めている場所を探すか・・・ここにもいない・・・
幻なんかではないはずなんだ・・・このハンカチは確かに彼女のものだ。
「せめて・・・名前を聞けばよかった・・・」
このままでは、名も知らぬご令嬢に痴態を晒して奉仕をしてもらっただけではないか・・・騎士としてあるまじき行為だ。彼女に手を出したわけではないが、このままでは後悔しかない。最初部屋に入った時、鍵をかけたのにはなんて馬鹿な事をしているんだと思ったが、誰にも知られぬようにと、俺が気にせぬようにとする気遣いが有り難かった。
彼女の紫の瞳が、じっと俺を見てくるその視線が・・・もっと熱を帯びてくれたらと今は切に願ってしまう。媚薬を盛られていなければ、あんな事いくらだって我慢できた。しかし、いくら媚薬のせいだとはいえ、彼女の強い意志と、凛とした姿に惚れてしまった自分がいる。彼女の言葉が馴染むように、すんなりと俺の中に入ってきた。こんな事はじめてだ。女は面倒な生き物だとしか思えなかった俺が・・・一人の女性にこんなにも簡単に惹かれて欲してしまうなど・・・見つける。必ず見つけて彼女の心を手に入れる。初めてだ・・・こんなにも欲しいと思った女は・・・
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次回
団長、噂になってますよ?
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