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危険なのはあなたよ!
しおりを挟む「はぁ・・・夜会って疲れる・・・もう、帰ってもいいかしら」
辺境伯令嬢であるレティシアは、王宮で開かれている夜会に参加していた。そろそろ婚約者でもという、有無を言わさずな態度の父の勧めにより、今回ばかりは逃げることはできなかった。これまで夜会に参加したのもデビュタントの一回きり。王都にも足を踏み入れた事さえなかった。
レティシアの銀の髪は珍しくとても目立った。その見た目もあり、初めて見かける令嬢に会場中の男達が浮き足だった。ひっきりなしに声がかかり、ダンスの申し込みでうんざりしていた。
一息つこうと、夜会の会場のフロアから遠ざかった王宮の通路を歩いていると、どこからかうめき声のような苦しそうな声がする。声のする方に近づいていくと、明かりのない通路の暗がりに、一人の騎士が壁にもたれかかって床にうずくまっていた。
「あなた、どうされましたの?」
レティシアは、体調が悪のかと思い騎士に近づき声をかけた。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・離れてくれ、近寄るな」
浅く辛そうな息遣いで、距離をとれと言ってくる騎士。
「どこか具合が悪いのではなくて?」
再度声をかけるが離れろと言うばかり。暗がりに段々と目が慣れてくると、それまで見えなかったものがうっすらと見えてきた。レティシアは気付いてしまった。騎士の足の付け根あたり、不自然に布地を持ち上げている存在を。
「立てるかしら?」
レティシアは騎士に手を差し伸べる。
「近寄るな・・・はぁ・・・危険だ!・・・早くっ・・・離れてくれ!」
騎士は必死に訴えるが、レティシアは引かない。自分も座り込んで目線を合わせる。
「このまま放置すれば、あなたの方が危険よ?とりあえず人目のつかない場所に行きましょう?ここは人通りはないけど、誰が通るかわからないわ。しかも、今日は夜会。普段王宮に来ない貴族や、令嬢達もいるでしょう。誰に狙われたか知らないけれど・・・さぁ、行くわよ!」
騎士の手を強く引き無理矢理立ち上がらせる。近くの部屋に人がいないかを確認すると、騎士の手を引っ張り引き込んだ。部屋に入り騎士をソファに座らせるなり、部屋の明かりはつけないまま、ドアに鍵をかけカーテンを閉めた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
【レティシアside】
あぁ・・・そういう事ね
恥ずかしがってる場合じゃないのおわかり?
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