67 / 70
2章
レイムさん視点③
しおりを挟むリュークさんが、悪魔界に行ってから数日が立ちました。
私は桜花さんに、リュークさんの弱点になる。と…言われ、桜花様と稽古の真っ最中です。
桜花さんは、武術や魔法を巧みに使います。
流れるように動きは、1つの芸術と言ってもいいのではないでしょうか?
そして、桜花さんのレベルは300を超えたばかりといってました。
私のお爺ちゃんは、小さい頃聞いた時は250と教えてくれました。
今、こうして凄い人に鍛えてもらえるなんて幸福な事なのかもしれません。
私のレベルは32…。
考えてみれば、私はリュークさんに甘えていたのだと思います。
リュークさんだって、人間です。
ある日、急に私の前からいなくなる可能性もあります…。
私はリュークさんが好き。
それはきっと、桜花さんも私と同じ気持ちなんだと思います。
好きだから…好きだからこそ、私は貴方と、これからも同じ時間を過ごしていきたい。
その為には、力がいります。
隣に立てなくてもいい。
でも、決して貴方の弱点にはなりたくない!
「ハァーー!!」
両手に持った、短剣を振るう。
「うむ、良いぞ! その調子で魔力を練り全身に行き渡せ…五感を鋭くさせよ!! さすれば不意打ちなど、其方には通用せぬ! だが、その道は遥か遠い。
集中せよ、心を鎮めるのだ。
さすれば、おのずと其方が望む力を身につけようぞ」
「はい!」
そうだ、集中。
これからも、貴方と一緒にいる為に、私はどんな険しい道のりでも乗り越えてみせる!!
「ハァーー!!」
………
「ハァハァ…」
空が赤い。
桜花さんが、倒れた私の顔を上から覗いてる。
今日も、桜花さんには、一撃も当たる事ができませんでした…。
きっと桜花さんなら、リュークさんの隣に立ち…支える事が出来るんだと、頭によぎる。
心にチクリ…と嫌な気持ちになる。
貴方の側にいたい気持ちに嘘はありません…。
ですが…。
「桜花さん、私は貴女が羨ましいです」
気がつけば、そんな事を口走っていた。
慌てて口を閉じるが、桜花さんの耳に入ったみたいです。
「ふむ、それは妾の力の事を言うておるのか?」
「そう…なのかもしれません」
桜花さんは、真剣に私の眼を見て話を聞いてくれました。
「確かに妾は、天使や悪魔といった者を除けば…負けぬ事はないであろうな…」
「……」
それに比べて私は…。
「焦るでないぞレイムよ、今の其方は蕾にすぎん。花が咲くまで耐えることしかできぬ…」
「はい…」
もしも…その間に何かあったら…。
「…其方はリュークを信じておるか?」
「え…?」
それは、もちろん
「はい、信じてます。
私を助けてくれたリュークさん。私に笑顔をくれたリュークさん」
そんな貴方だからこそ私はーーーー
「好いておる…か?」
「!!」
私は急に言われた言葉に、びっくりして、桜花さんを見た。
そこには、赤く染まった空を見上げた桜花さんの姿が…。
顔が赤く見えるのは、夕空のせいでしょうか…。
「さて、稽古を再開するとしようぞ」
「はい!」
桜花さん…私は負けません。
だからー
見ててください。リュークさん。
私はいつか、貴女に頼ってもらえるような女性になります。
それまで待っていてくださいね。
それから数日後…リュークが、知らない女性を連れてきて荒れるのは、まだ先の話。
----------------------------------------------------------------
更に宣伝。
『孤高の英雄は温もりを求め転生する』は2話から面白くなるので、1話でやめてしまった方は、2話を読んでくれると嬉しいです。
0
お気に入りに追加
918
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

転生しても山あり谷あり!
tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」
兎にも角にも今世は
“おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!”
を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる