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2章
15話 悪魔
しおりを挟む「悪魔?」
悪魔なんて人…初めて見た。
僕がスライムだった頃でさえ、見た事ないんだから、どこかに隠れていたのかな?
「見ての通り、此奴は悪魔と言われる種族。妾も見たのは初めてゆえ…正直、出来るだけ情報を引き出しておきたい」
おうちゃんが神社に戻ろうとする前に、おばぁちゃんが思い出したように…口を開いた。
「悪魔という名前なら、聞いたことがあるよ。と…言っても昔の言い伝えみたいな物だがね」
「本当ですか! お婆様!!」
桜花は狐耳をピン! とさせ…結弦葉から「なんだい大きな声を出して」と声を小さくさせるように…言った。
「ああ、アタシが知ってるのは…悪魔というのは魔神が小間使いの為に生み出した種族と言われておるのさ、魔王も悪魔だったのでは? と…記されていたのさ」
「へぇ~」
魔神なんているんだ~、悪い人なのかな?
「なるほど…、ならお婆様? そのような種族がいたのなら、何ゆえ今まで姿を見せなかったのかえ?」
「それは…確か…。ああ…思い出した。
遠い昔、悪魔によって、世界は滅亡の1歩手前になったと言われている。
そして…天界に住む、複数の神と大勢の天使によって、地上の悪魔を殲滅し、2度と地上に出ないように…悪魔の門を封印したと言われているのさ」
「へぇ~、そうなんだ~」
「なるほど…、その悪魔が今になって姿を見せたと言う事は…その封印に異常が起った。ということかえ?」
「さぁ? アタシには詳しくは分からんよ。所詮言い伝え…それが真実なのかは分からんさね」
「ふむ…」
おうちゃんが顎に手をあて…何か考えているみたい。
分からないなら、本人に聞けばいいのに…。
「ねぇねぇ、怪しい人は悪魔さんでいいの?」
僕の縄で動けない、怪しい人に近づき…視線を合わせるように膝を折った。
「ククク…答える義務が無い…と言いたい所ですが…、私の身動きを封じた貴方には特別答えてあげましょう…。
そう、私は貴方がおっしゃる通り悪魔でございます」
「だって~」
ニヤリと笑う、悪魔さんに話を聞いて…振り返ると、頭を押さえたおうちゃんがいた。
ん? どうしたんだろう? 頭が痛いのかな?
*違う意味で痛いです。
「リュークよ…。いや、もうなにも言うまい」
「はぁ…アタシにはお前は眩しすぎるさね」
変な顔をしている、2人に首を傾げつつ…悪魔さんをもう1度、視線を向けた。
「ねぇ、悪魔さん! どうしておうちゃんを傷…つけたの?」
「ヒィ!!」
そうだ…この悪魔さんはおうちゃんを傷つけたんだった…。
リュークから発せられる圧に…悪魔は無意識に体が震え、冷や汗が止まらなかった。
「ハ…ハハ…残念ですが、これ以上…貴方の質問に答えるつもりはありませんよ…?」
「へぇ~」
だんだん強まる、リュークの圧に悪魔は苦しそうにしながらも…口を開こうとする様子は感じられない。
「分かった」
僕がそう言うと…悪魔は、静かに息を吐き出した。ような気がした。
「じゃあ直接聞いちゃうね?」
「ちょ…直接…? 貴方いったい何を…?」
「むか~し、ご主人様に言われて禁止されたけど…どうしてもの時はいいよ。と言われた事を今からするんだよ…?」
僕は人差し指をスライムの触手に変える。
「ま…まさか…」
そして…悪魔の耳から脳まで伸ばしていく。
「あ…あが…ががが…」
脳まで到着したら…その1部を捕食し、食べた所をスライム細胞で埋める。
こうする事で相手を殺す事なく情報を引き出すことができる!
「ふぅ~おうちゃん! この悪魔の事分かったよ!!」
振り返って見た、おうちゃんとおばあちゃんの顔が引きつっているように見えたのは気のせい?
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