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2章
10話 怖い! 怖い怖い怖い!!
しおりを挟む美味しい匂いに辿りついた僕は、後から来たレイムさんに「そんなに大きいのがいいんですか!!」と何故か怒られ…チロには噛まれた。
レイムさんに、肩を掴まれ揺らされていると…ご飯が運ばれてきた事で、ようやく止まり、僕は美味しいご飯を口に運んだ。
「うん! 美味しい!!」
ただ…量が少なかったのは残念。
僕達は朝ごはんを食べ終わり…お茶を飲みながら一息つくと、僕はずっと、気になっていた事をおうちゃんに聞いた。
「ねぇ、おうちゃんはどうして、あんなドロドロした物を体に入っちゃったの?」
「そ、それは…! 恥ずかしながら薬と誤って飲んでしまっての~、いや~妾も疲れが溜まっておったに違いない」
それは酷い棒読みだった…。
レイムは眼をパチパチさせ、チロはくぁ~とあくびをする。
そして、リュークは…。
「も~う! 300年経っても、そんな間違いをしてるの? 変わらないねおうちゃんは!!」
全く疑問を持ってもいなかった…。
「では、妾はまだやる事がある故失礼する」
おうちゃんは、そう言うや否や早足で部屋から出て行った。
「おうちゃんも、おまんじゅう食べれば良かったのに~」
僕は行ってしまった、おうちゃんに寂しさを覚えながら…おまんじゅうを手に取ろうとすると、レイムさんが立ち上がり…僕の眼の前で止まった。
何故か笑っているのに、眼が怖い。
この眼は、お母さんが怒る時の眼だ!! 僕何かしたのかな!?
いつのまにか、チロは離れて、舌をチロチロ出してる…可愛い!
「リュークさん? どこを見ているのですか?」
「え!? いや、チロは可愛いなぁ~って」
バン!
レイムさんがテーブルを叩き…僕と遠くにいたチロでさえ、体が跳ねる。
「私を見て下さい」
「へ?」
「私を見てと言ったんです!!」
「はい!」
うぇぇええ…本当に、何でこんなにレイムさんが怒っているの~? 僕何もしてないよ!?
「いいですか、リュークさん!! 貴方は桜花さんにべったりくっつきすぎです!! そんなに大きいのが好きなんですか!? そんなに大人の魅力が溢れる人がいいんですか!?」
「…? おうちゃんは好きだよ?」
大きいとか、大人の魅力とかは分からないけど。
「そうゆう事を言っているんじゃありません!! 安易に抱きつくのは良くないって言っているんです!! そうゆうのは結婚してからする物なんです!!」
「えっ? じゃあ結婚? すればいいの?」
そう言うと…レイムさんの顔が、本物のお母さんみたいに迫力が、そこにはあった。
何で!?
「ふ…ふふふ…ふふふふふ…。
ええ、ええ、そうですね…結婚すれば…ね…。でも、リュークさんは桜花さんとは結婚出来ませんよ? 私がさせませんから…。
…もし、それでも結婚しようと、するならば…いっそリュークさんを閉じ込めてずっと2人一緒に…うふふふふふふふ…」
じり…じり…と少しづつ確実に距離を縮めてくる。
怖い! 怖い怖い怖い!! どうしちゃったのレイムさん!
「うふふふふ…さぁ、リュークさん私と一緒にーー「失礼」」
トン…。と静かな音が耳に届いた。
レイムさんを見てみれば、ゆっくりと倒れ…その後ろには、おうちゃんと会わせてくれた、黒い服の狐のお姉さんが、片手の指を合わてそこにいた。
確か…琉月さんだっけ?
レイムさんが眠ったことで、さっきの恐怖は消え…落ち着いた。
「ありがとう…何でか分からないけどレイムさんが、凄く怒っちゃって怖かったんだ…」
自分を抱きしめ震えていると、琉月さんの眼が冷たくなった。
「無自覚ですか…」
無自覚? 何それ?
頭を悩ましている僕に、琉月さんは特に気にせず口を開いた。
「リューク殿、貴方に1つ、お願いがあり…参った次第です」
「お願い?」
助けてくれたから、別にいいけど…何かな?
「桜花様を助けて欲しいのです」
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