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2章
9話 ドロドロ
しおりを挟むなんだろう…、何かムズムズする…。
僕は眠気を我慢しつつ、違和感を感じる方に意識を向けると…おうちゃんの胸に、ドロドロした何かがあるのが分かった。
僕は、眠りそうになりつつも、右手をおうちゃんの胸に手を置いた。
「ん…。すぅ…」
僕は、右手をスライムに変え…おうちゃんの体内へと、ズブズブと沈んでいく。
「んん! はぁはぁ…」
おうちゃんは、額に汗をかきながら苦しそうに、体を震わせていた。
眠い…。
でも、おうちゃんに酷い事をする子は許さないんだから~~
僕は、さらに手を沈めていくと…ドロドロに触れた。
触れた所から、スライム状態の手を通じて…僕の体内に移していく。
うげぇ…美味しなぁ~い。
僕は、食欲が無くなりそうになるのを我慢しつつ…全てのドロドロを食べた。
後は、最後に光魔法で浄化して…。
うん。もうドロドロした物は完全に無くなったね……。
おうちゃんから腕を抜き…眠気が限界に近づいていた僕は、おうちゃんの上にゆっくり倒れ込み…抱きつくように眠りについた。
そして、夜が明けた!
「…れ……ぬ…」
「これ……お…ぬか」
ユサユサ…と誰かに体を揺すられるのを感じる。
「いい加減に起きぬか!」
パシリ! と頭に衝撃が走り…重たい目蓋を開けると、おうちゃんが僕の掴んでいた。
「ん~、まだ眠いよ~もう少し寝かせて~」
昨日の夜、中途半端に起きてしまったせいか…まだまだ寝足りなくてしょうがない。
僕は、おうちゃんに、すりすりと顔を擦りつけると…柔らかく、いい匂いの物に顔が挟まったのが分かった。
「な! こ、この…いい加減に離れぬか!!」
「んぇ?」
リュークは頭を掴まれ…そのまま投げられ、壁にぶつかった。
「いたたた…う~ん…。むにゃ…、あっ! おうちゃんおはよう!!」
少し、衣服が乱れ…頬を赤くしたおうちゃんに挨拶をすると、おうちゃんは拳をプルプル震わせ…ため息を吐いた。
「はぁ…イムは人間になっても変わらんな…。いや、人間になったからこそ、たちが悪い」
え? 僕何か悪い事したかな?
「それにしても、この感じ…イム…妾に何かしたか?」
おうちゃんは、自分の体を確かめるように見渡し…手を開いたり、閉じたりを繰り返していた。
「うん? えっと~確か、昨日の夜におうちゃんの体から違和感を感じて~、腕を体の中に入れたら、ドロドロした不味い物があったから取っちゃったよ?」
そう言うと、おうちゃんは、フッ…と笑みを浮かべ…少しふらつきながら立ち上がり、ゆっくりと抱きついた。
「おうちゃん?」
「ありがとうイム…これで妾はまだ戦える…」
「えっ? おうちゃん何て言ったの?」
僕は聞き返すも、「何でもない…」と笑い頭を撫でられる。
おうちゃんに、撫でられるのが懐かしく…自然とふにゃりと笑みが浮かぶ。
「桜花様失礼します。お食事を……」
「リュークさん、起きていま……」
おうちゃんに、撫でてもらっていると…引き戸が開き、狐のお姉さんとレイムとチロがやってきた。
2人とチロは、その場で固まり…レイムさんは泣きそうな顔で「やっぱり胸なのかな」と小さな声で呟いた。
「ご飯!」
僕は、直ぐに匂いがする方に走り出した。
後ろから聞こえる、レイムさんや、おうちゃんの声は、今の僕には届かなかった…。
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