32 / 70
1章
30話 恋愛相談
しおりを挟むお爺さんからレイムさんのお父さんの話を聞いた翌日…約束通りお爺さんから白金貨10枚とイシュタム家のエンブレムコインを貰った僕とチロは、レイムさんとお別れする事になった…。
元々僕は食べ歩きの旅をするつもりだったし、いつかは離れるつもりだった…。
でも…何でだろう…レイムさんと離れたくない気持ちがある…。
もっとレイムさんと一緒に食べ歩きをしたり、色んなお店を巡ったりしたい…。
なんなんだろう…この気持ち…分からない…。
胸が苦しくてどんぶり6杯しか食べられない…
…そういえばレイムさんも寂しそうに手を振っていた…もしかして、レイムさんも同じ気持ちだったのかな…?
分からない…いつも美味しいご飯が味がしない…分からない…。
今まで感じたことない感情が僕の中でぐるぐると回り視界がよく見えなくなってきた…
ドン!
「あっ…ごめんなさい」
「ん?私の方こそ…ってどうしたの?」
「えっ?」
「貴方…泣いてるわよ?」
手を顔に当たると…目から涙が出ている事に始めて気がついた…。
「えっ…なんで?」
「キュ~」
チロは僕の涙を掬うように尻尾で拭き取ってくれる…
「貴方…ちょっと私についてきなさい」
「あっ…」
蝙蝠の翼と細くて先がハートの形の尻尾が生えたお姉さんは僕の手を取り歩き出した…。
ガチャ…
お姉さんがどこかキラキラとしたお店の裏口からお店に入ると…ドレスを着た魔族の女性が何十人いた
「あら…アンナ…ってそのお嬢ちゃんどうしたの?」
「ああアンナ先輩が誘拐ですか!? 駄目ですよ! 今ならまだ間に合います!! 私と一緒に…フギヤァ!」
白い肌の人と、手を握っている人と同じように蝙蝠の翼と尻尾が生えた小さめの女の子に、ゲンコツをした。
小さな女の子は頭を抑えてプルプルと震え涙目になった
「それで? お嬢ちゃんをお店に連れてきてどうしたの? 流石に子供はお店で雇うことは出来ないわよ?」
「ララティーナさん…私をなんだと思っているんですか…。こんな小さな子を働かせるわけにはいかないじゃないですか…それに、この子は男ですよ?」
《えっ?》
遠巻きで話を聞いていた人達も驚いたように、僕を見た…。
「やっだな~! 先輩! こんな可愛い子が男の子なんてないじゃないですかー、先輩目が節穴になったんじゃないです…フギヤァ!」
「ふ~ん…間違いないわね…。それで? どうしてその子を連れてきたの?」
白い肌の女性が足を組み直し、ドレスから白い太ももが見える。もし、ここにリューク以外の男性がいたなら、唾を飲み太ももを凝視していたに違いない…。
「それが…この子が泣いていて…流石に放っておくのは罪悪感が…」
「はぁ…アンナ…貴女、前も同じような事を言って魔猫を拾ってきたじゃない…」
「う…」
「まっ…いいわ、じゃあ君…とりあえずお姉さんに話してみない? 相談に乗るわよ?」
自分でいくら考えても分からなかった僕は…お姉さん方に、レイムさんからの出会いと別れを話していった…。
「ふぅん…それは恋ね、それも、その様子からして初恋」
「初恋?」
「そうよ、初めての感情で同様しちゃったのよ」
恋…僕がスライムだった頃、ご主人様が女の子と一緒に幸せそうにくっついていたけど…これがそうなんだ…。
ご主人様と同じ人間って実感があって少し嬉しい…でも…
「どうすればいいか、分からないって顔ね」
「えっ!? どうして分かった!?」
「仕事柄、相手の気持ちが何となく分かるようになったのよ、ここで働けば誰でも出来るようになるわよ。」
「それが出来るのはララティーナさんだけですよ…」ボソッ…
「ん? メイ? 何か言ったかしら?」
「ヒエッ…ななななんでもないですー!」
逃げようとする、蝙蝠の女の子が白い肌のレイナさんに捕まり、首筋を噛まれた…
「キャアアァァ……あう…。」
噛まれた、蝙蝠の女の子は顔を赤くして、体をピクピクさせた
「ララティーナさんもっとぉ~」
「貴女達メイを片付けちゃって」
レイナさんが手を二回叩くと、遠くで見ていた女性2人が近づき両脇を持った
「ララティーナさぁ~~ん~~」
蝙蝠の女の子がズルズル…と引きずられて行く中、ララティーナさんは何もなかった…ように話し出した
「それで、貴方がどうするか…だったわね。
そんなの簡単よ、欲しい物は奪えばいいのよ、勿論相手の気持ちも大事だけど…魔族も獣人と同じように強き者に惹かれるものよ? 獣人国の新しい王様?」
「えっ!?」
《えっ!?》
「あんな可愛い子が獣人国の王様!?」
「えっ!? 嘘!?」
「でも、でも、ララティーナさんが言うんだから間違いないわよ!」
「素敵! 抱いて!」
「凄い! ララティーナお姉さん、どうして分かったの?」
「フフ…私は耳がいいのよ」
へぇ~お姉さん大陸も離れているのに、いったいどれだけ耳がいいのかな? 耳が痛くならないか心配。
「だから、貴方がすることは、その子の気持ちを聞いて強引に攫っちゃえばいいのよ?」
その後も、ララティーナお姉さんから色々と話を聞いてもらって、僕は外に出た…。
明るかった空も、いつのまにか空が赤く染まっていた。
0
お気に入りに追加
918
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

Link's
黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。
人類に仇なす不死の生物、"魔属”
そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者”
人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている――
アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。
ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。
やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に――
猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。
なつめ猫
ファンタジー
公爵令嬢のエリーゼは、婚約者であるレオン王太子に婚約破棄を言い渡されてしまう。
二人は、一年後に、国を挙げての結婚を控えていたが、それが全て無駄に終わってしまう。
失意の内にエリーゼは、公爵家が管理している辺境の地へ引き篭もるようにして王都を去ってしまうのであった。
――そう、引き篭もるようにして……。
表向きは失意の内に辺境の地へ篭ったエリーゼは、多くの貴族から同情されていたが……。
じつは公爵令嬢のエリーゼは、本当は、貴族には向かない性格だった。
ギスギスしている貴族の社交の場が苦手だったエリーゼは、辺境の地で、モフモフな動物とスローライフを楽しむことにしたのだった。
ただ一つ、エリーゼには稀有な才能があり、それは王国で随一の回復魔法の使い手であり、唯一精霊に愛される存在であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる