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1章 

7話 お父さんが…

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「おはよー!」

「あら、リュークちゃんおはよう♪」

「あれ? お父さんは?」

 僕が起きて来る頃にはいつも新聞を読んでいるお父さんの姿が見当たらない…。

「お父さんなら庭にいるわよ~そうだ! リュークちゃん、顔を洗うついでにお父さんを呼んできてくれない?」

 お母さんは両手を叩き僕に『お願い♡』をしてくる…もし、ここに若い男性がいたら簡単に堕ちていたに違いない…。

「うん! いいよ! じゃあ呼んでくるからねー!」

 僕は外に出る為ドアを開けると…

「風が私を呼んでいる…」

 見たことの無い長い茶髪を生やした男の人が庭に立っていた…上半身は裸で…。

「む? そこにいるのは私の愛息子、リュークではないか…どうだ? ここは父と一緒に朝の光を浴びようではないか!」

 水っぽい液体が半裸の男の筋肉したたりテカテカな男の人が近づいてくる…ので、僕は…。

「エクスプロージョン」

「グボワァ!」

 僕は爆撃魔法の上位魔法『エクスプロージョン』を半裸の人めがけて撃ち放った…。


 土煙が辺りに広がり通常なら周りに被害も出るだろうけど、家の周りには結界を張ってあるから問題ないよね!

「ゴホッゴホッまったく酷いじゃないか…だが…たまには愛息子と全力でぶつかるのも悪くは…ない…か…。
 よし…来い! リューク! 父の本気はこんな物ではないぞ!!」

「えっ!? 嘘! 直撃したのに変態さんはどうして動けるの…⁇」

「今の私達には会話は無用! 語るのは拳や技だけだ! では私…レギオンいざ…まいる!」

 庭に置いてあった木剣を片手に変態さんは僕に迫ってきた…

 僕はアイテムボックスから木剣を取り出した頃には変態さんは既に振り下ろしており、僕は急いで下から打ち上げ…

「アナタ~リュークちゃ~ん何をしているの~朝ごはんが冷めちゃうわよ~」

「ご飯!!」

 僕は靴を残し…テーブルの僕の椅子にテレポートをした。

「……息子よ…それはないだろう…」

「アナタも早く体を拭いて来てね。じゃないとまたリュークちゃんと私でおかずを全部食べちゃうわよ♪」

「ま、また白米と味噌汁だけって勘弁してくれ…」

「フフフ♪ 早くね?」


 ………


「ふぅ…食べた食べた~ご馳走さまでした~♪それにしてもお父さんが若くなってて分からなかったよ~。」

「分からなかったよ~じゃないんだが…息子よ…しかもいきなりエクスプロージョンを打ってくるとは…。
どこで育て方を間違えたのか…ハァ…」

「ねぇ~アナタ♪ そんな事よりそろそろ元の口調に戻ってね。
 リュークちゃんが旅に出るのよ? 親としてちゃんと見送ってあげないと駄目でしょ?」

「…そうだな…。」

 お父さんはそう言って立ち上がり外に出て行った…

「じゃあもうすぐ行くね!」

「はい、これお弁当よ♪」

 お母さんはそう言ってを持たせてくれた。
 昔、山に登り花を見ながら食べたよりもとても大きく黒い重箱にぎっしと入っているのか…重い…。

「ありがとう! お母さん! これは大事に食べるよ! 楽しみだな~♪」

 僕はお母さんから受け取った重箱と用意していた旅の荷物をアイテムボックスに入れた。

「お父さん…帰ってこないね…」

「リュークちゃん…大丈夫よあの人ならきっと、もうすぐ…」

「リューク! …ハァ…ハァ…間に合ったか…」

 靴を履きドアの前に立っていた僕は突然空いたドアに驚き倒れそうになったけど…何とか持ち直した…まったく! 驚かさないでよね!

 僕は頬を膨らませお父さんを睨むけどお父さんはそんな僕を気にせずいつのまにか持っていたナイフを僕に差し出した…。

「お父さんこれは?」

「抜いてみろ」

 僕はお父さんに言われるがまま渡されたナイフを鞘から抜いてみると銀色に光り輝く刃渡りが12㎝ほどの美しいナイフで僕は興奮を隠せず、色んな角度から見て楽しんでいると…。

「そのナイフはな、俺が冒険者の現役時代に愛用していたミスリルナイフだ。
これをお前にやろう! 旅の餞別だ」

「アナタ…いいの?」

「ああ…今の俺には必要のないものだ。…それに使ってやった方がナイフも喜ぶだろう…」

「そう…」

 お母さんはお父さんに優しく微笑み、次に僕を見た…真面目な顔で

「リュークちゃん。このナイフはお父さんの宝物といっても過言じゃない物よ…大事に使ってね? もし…無くしたら…」

「えっ…! 無くさないよ~そんなにおっちょこちょいじゃあもん!」

「…無くしたら…もうご飯作らないからね!」

 その時…一瞬世界が止まったように見えた…。

「………」

「リュークちゃん?」

「リューク?」

 目を開けたまま、反応しない息子が心配になり2人は近き…。

「アナタ…リュークちゃんが…リュークちゃんが!」

「おっおい! しっかりしろ! どうしたんだ!?」

 わなわなと震えながら夫を見る。

「リュークちゃんが息をしていないわ…」

「…嘘だろ…⁇」








 その後、ご飯の匂いで息を吹き返したレアルの旅立ちは明日になるのだった…。
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