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1章
3話 極上のお肉
しおりを挟む「ん~♪ おじさん! このお肉美味しいね!」
「お! お嬢ちゃんいい食いっぷりだね! そんな嬢ちゃんにもう1本サービスだ!」
「本当に!? いいの! ありがとう~♪」
「お、おう」
僕は何でか顔がだらしなくなっているおじさんからサービスの串肉を食べながら『選定の儀』であった事を思い出した…。
僕が無職と言われてから空気が変わった…あざ笑う者に哀れむ者ととてもじゃないけど、いこごちはよくない。
「さぁ…戻りなさい。無職なら余り無理をせず慎ましく生きる事をお勧めする」
その場から動かなかった僕を司教のホーリンさんが僕の手を取り魔法陣から離れた…。
皆が哀れみ笑う中僕は…。
(ここの名物って何だろう?最初に王都に来た時、美味しそうな匂いがいっぱい漂っていたし…お金足りるかなぁ?)
ご飯のことで頭がいっぱいだった…。
その後もずっとご飯の事を考えていたせいかいつのまにか『選定の儀』は終わっていて、司教のホーリンさんによると僕の後に魔法陣に入った女の子が勇者に選ばれたらしい…。
全然気がつかなかった…ごめんね?
「モギュモギュモギュ」
「そこで美味しそうに食う嬢ちゃん! こっちにも美味いんもんあるよ! 食っていかねぇか!?」
「本当に! 食べる食べる~♪」
…………
「ふぅ…お腹いっぱい! お父さんとお母さんのお土産もいっぱい買ったし帰るかな!」
僕は少し膨らんだお腹を撫でながら王都の門に向かって歩き出した…。
「フンフンフーン♪ オヤツ♪ オヤツ♪ 美味しいなぁ~♪ もっと食べたい甘いもの~♪」
「そこのお嬢さん?俺と一緒にお茶でもいかがかな? そこには美味し~いパンケーキもあるよ?」
肩を叩かれ振り向くと…片手をポケットにいれたお兄さんがいた。
「美味し~いパンケーキ!? 行く行く!」
「よしっ! 決まりだ! では行こうか!」
…何でガッツポーズしたのかな…? ハッ…この人もパンケーキが楽しみなんだね! 分かるよ! 美味しい食べ物は幸せにするもんね!
「お嬢さん? どうしてそんなに生暖かい目をしているんだい…⁇」
「ん~ん! 何でもない!! それと僕はお嬢さんじゃないよ! 男だよ?」
ッッピッキィィィ!!
ん? あれ? 何で周りの人固まっているんだろう? それにしても皆の面白いなぁ~遊んでいるのかな?
「ンンッ! 聞き間違いかな? 君が男と聞こえたんだが…」
「聞き間違いじゃないよ! 僕は男だよ! こう見えても筋肉あるんだから!」
僕は腕をまくり…力こぶを見せた。
「「「「「「oh…」」」」」」
う、嘘じゃないからね、ちょっとはあるんだから!
周りにいた人も美味しいパンケーキの場所を教えてくれるって言ったお兄さんも全く動かなくなったので、残念だけど…諦めた…。
うぅぅ…パンケーキぃ…。
「おっ『選定の儀』を受けに来た子か終わったのか?」
「あれ? 宿を案内してくれた兵士さんだ! こんにちはー! うん。今から帰る所だよ!」
「帰るたって…荷物はどうしたんだ? それに…馬車に乗るならあそこに名前を書いてからお金を払わなくちゃ乗れんぞ⁇」
兵士さんは頭をかきながら指をさしてくれた方向には何十人もの行列が見えた…
(ん~ご飯の為に並ぶなら待てるけど…それ以外の為に並ぶのは苦手なんだよなぁ~)
「早く並ばないと今日は無理でも、もしかしたら明日の馬車に乗れるかもしれないぞ⁇」
「えっ⁇ あ! 大丈夫だよ! おじさん!僕歩いて帰れるから!」
つい考え事してて兵士さんの話を聞いてなかった…ごめんなさい!
「歩いて帰るって…そんなに嬢ちゃんの家は近いのか?」
「うん! 急げば3時間で着くよ!」
「急いで3時間か………分かった。だがくれぐれも道中気を付けろよ?」
「うん!」
僕は心配してくれる兵士さんに手を振りながら感謝をのべると兵士さんは恥ずかしいのか片手にを上げるだけだ…
「よし! 帰るぞ~」
僕はいつものように魔力を使い…一気に地上から10メートルは離れた…。
《…は?》
ん? 皆僕を見てどうしたんだろ…⁇ そんなに口と目を大きく開いて…にらめっこかな⁇ じゃあ僕も!
僕は両手で顔を左右から挟んだ!
すると何故か皆が顔を赤くする人や、女の人に殴られている人もいる…どうしたんだろ⁇
「いけないいけない! 早く帰ろっと!」
まず僕を中心とした空気抵抗を無くしてドンドン加速していき…あっ…というまに王都が見えなくなった…
「なぁ…あの子…大魔法使いか⁇」
「いや…あの子の年齢からすると今日『選定の儀』を受けた子供だぞ?そんな事が出来るのは…」
「賢者か勇者ぐらい…か…」
「フンフンフ~ン♪ お家に帰ろう♪ 美味しいご飯が待っている~♪」
「ギュオオオオオオオ!!!!」
「!?」
空を飛んでいると突然翼を生やした3メートルはあろうドラゴンが襲いかかってきた…。
ドラゴンを相手にするなら兵士を1000人でやっと勝てるかどうかの相手だ、とてもじゃないが1人じゃただの餌となる…普通なら
「あ~!! 美味しいお肉だ!!!! 絶対に逃がさないぞ!!」
僕は何も無かった場所から剣を取り出した時…極上のお肉が火を吹こうとしているのが見えた。
「ギュオオオオ!!!!」
「グラドニー!食べちゃえ~」
目の前に迫っていたブレスをまるで元から何も無かったように消失した…
「ギュア!?」
「フッフッフッ…よそ見してて良いのかな?これで終わりだよ!」
僕は一気にドラゴンとの距離を詰め鞘から剣を抜き放った。
「一閃!」
ズズ…ズ…ドスン!!
「よし! これでお母さんに美味しいご飯作ってもらお~と!!」
僕は極上のお肉のみを歪んだ空間に放り込んで再び空を飛び家に向かった…。
その場に残ったのはドラゴンの首だけだった…。
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