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32話 ネロの初戦闘
しおりを挟む毒を飲み込んだネロは、顔を青くさせ…ふらふらと床に座り込んだ。
「あちゃ~飲んじゃった」
「何か眼がぐるぐるするにゃ~」
頭をぐるんぐるん回し…やがて、頭も床についたネロを見たアリーは、満足げに頷いた。
「ふむ…次の日は、今の毒より1割増にした物を飲み、それを続けていけば、ちょっとやそこらの毒は効かなくなるだろう」
確かに効果はあるだろうな…危険すぎるが。
€€€€€
少し休憩し…ネロの顔色がだんだん戻ってくると、暗闇の中から複数の足音が聞こえてきた。
「ギャッギャ!」
「魔物だな」
「ですね、この声はゴブリンかな?」
(みたいだな)
空間支配の領域に入った事で、ゴブリンが3匹やってくるのが分かった。
ふと、ネロを見てみると…緊張した様子で棍棒を構えているのが眼に入った。
まぁ、初めての実践だからな…分からなくもない。
なら…。
(ここはネロにやらせてもいいか?)
俺はアリーとエルフにそう言うと、頷いた。
「殺し合いには、早めに経験しておいた方がいいからな」
「確かにね、人間ならまだしも魔物は倒せないと…ね」
(できるよな?)
そうネロに問いかけると、座り込んでいたネロが側に置いてあった棍棒を手に取り…ゆっくりと立ち上がった。
「出来るにゃ!」
「「「ギャギャギャ!」」」
ふむ…いきなり3体は危険か?
一応数を減らしておくか。
俺は2体のゴブリンの魔石回収し…口に入れた。
バリボリ…。
んむ、不味いな…もうゴブリンの魔石は食わねぇ。
「にゃ!? 急にゴブリンが倒れたにゃ!!」
(ほら、後1体残ってるだろ? やっちまえ)
「ハッ! そうだにゃ!! にゃぁぁあああ!!」
「ギャギャ!?」
ゴブリンは急に倒れた仲間に気を取られ…見事にネロの棍棒が頭に炸裂。そしてーー
グチャア!
ゴブリンの肉片がそこら中に飛び散った。
もちろん、1番近くにいたネロはと言うと…。
「うにゃ~臭いにゃ~汚いにゃぁ~」
べったりと…血と肉片で汚れていた。
どうやら口にも入ったみたいで、ペッペッぺ! 舌を出しながら唾で何度も床を濡らした。
チラリとアリーを見てみると、腕を組み眼を閉じていた。
「動きは単直だが、力は計り知れないな…」
「いやぁ~これで魔法レベルが4か~将来はどうなるんだろうなぁ…」
エルフはどこか遠い眼をしていた。
とりあえず、ネロに付いた血や肉片を移動させるか。
俺は空間支配を利用して、ネロに付いていた血や肉片を壁際にずらした。
「にゃ! 綺麗になったにゃ!! でも…汚いにゃ臭いにゃぁ~」
血や肉片はズラせても、衣服や体に染み付いた血や匂いは消せる筈もなく、その場で泣き始めた。
こういった事に慣れているであろう、エルフに任せ…俺はその場から離れた。
後ろからネロの『ご先祖様以外に肌を見せられないにゃー!』と聞こえたような気がしたが、気のせいに違いない。
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