孤高の英雄は温もりを求め転生する

モモンガ

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31話 ダンジョン攻略開始

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 (…で、どうしてお前までいるんだ?)

 ギルドマスターエルフを通じて、アリーに連絡を取ってもらい…言われた通り門の外に行くと、アリーとエルフがいた。

 「いやいや、とてもじゃないけど君達だけで行かせるわけにはいかないでしょ? いったいどんなトラブルを起こさないか不安で不安で…」

 「ほう?」

 (あ?)

 身の危険を感じとったのか、リスナールは吹き出た汗をハンカチで拭いた。

 「やだな~冗談だよ冗談!! アリーさんに何かあったら困るから僕も同行する事にしたんだよ!」

 「(……)」

 「……」

 「ご主人様? どうかしたのかにゃ?」

 その場で止まった俺達を不思議に思ったのか、眼の前で手を左右に振った。

 (命拾いしたな)

 俺はそう言って、エルフから視線を外した。

 しかし…。

 「探索が終わったら覚悟しておけ」

 どうやら、アリーは許さないみたいだ。

 この世の終わりみたいな眼をしたエルフを置いて、俺達はダンジョンがあるらしい森に入っていった。


 €€€€€


 「ここだ」

 アリーの案内で辿り着いたのは、森が1部だけ開けた場所に洞窟だった。

 ふむ…確かに魔力が感じるな。

 ただの洞窟ではないのが、よくわかった。これがダンジョンか…。

 「では行くぞ」

 「了ー解」

 (ああ)

 「行くにゃー!」

 アリー、エルフ、ネロ、俺の順番でダンジョンに入った。


 ダンジョンに入ると、俺の空間支配に引っかかる物があった。

 …罠か。

 それに気づいたのは、どうやら俺だけじゃなかったみたいだ。

 「あっ罠だね、ちょっと待って」

 エルフはそう言うと、アリーの前を通り、床を触る。

 すると…エルフの前を横の壁から、3本の矢が飛び出した。

 「うん、もう大丈夫だよ。ここは踏まないでね」

 床に赤い線を重ねたマークをし、そう言って振り返ったエルフは、何故か顔を硬直させた。

 「罠など破壊して行けばいいではないか。このようになー」

 罠をわざと踏んだアリーは、横から飛び出した3本の矢を切り飛ばした。

 「いやいや、罠の種類や場所が分かっていれば、上位な冒険者なら対応出来るに決まってるでしょ?」

 「なに?」

 アリーは剣の横を叩き、ゆっくりとエルフに近づく…。

 「え…? 何!?」

 思わず後ずさるが、やがて壁に追いやられた。

 「お前は私が罠程度に負傷するとでも? 随分軽く見ているようだな?」

 「いやいやいや、でも毒はどうするのさ!?」

 毒か…確かに、俺なら問題はないが、ネロが万が一にでも受けてしまうとまずいな。

 「毒など慣れれば、対して問題なかろう」

 「うわぁ…」

 「にゃ…にゃ…」

 コイツやべぇな…。

 見ろ。アリーのとんでもない発言で、エルフは引いてるじゃねぇか…。

 ネロに至っては、怯えてるときた。

 「お前達も慣れておけ、特にお前ネロ、これからもパンに同行するというのであれば、これくらいは必要なスキルだぞ」

 「にゃ……にゃ!!」

 何故か急にやる気を出したネロは、眼を大きくし、毒が入った瓶を受け取り…。

 「(あ…)」

 ゴクン…。
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