孤高の英雄は温もりを求め転生する

モモンガ

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28話 武具屋

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 (そこだな)

 冒険者ギルドから、歩いて数分の所にある、武具屋が眼に入った。

 なんでも、冒険者になったばかりの者は、殆どここで買っているらしい。

 昨日も、武器を片手に店から出る者がいたしな。

 「お邪魔すにゃー!」

 「おう」

 店に入ると、髭を生やしたおっさんがカウンターに肘をつけ、眠るように眼を閉じた。

 一瞬、俺と眼が合ったが…何も言わなかったな。

 「にゃ~ご先祖様ぁ~どれがいいかにゃ?」

 (知らん。と…言いたいが、お前の魔法に合った武器しろ。そこら辺の量産品だと、直ぐに壊れるぞ)

 「にゃ~」

 実際…。


 **********

 ショートソード

 品質 3

 **********

 **********

 ロングソード

 品質 3

 **********


 全部似たような奴ばかりで、品質も良くない。

 それなのに、見た目がいいからか…余計に、たちが悪い。

 ネロは直ぐに壊れると、言われたせいか…剣などを見るのを止め、爪や付いたグローブや、殴る所を鉄で固められたグローブを手に取って唸っていた。

 ふむ…いい線はいっているが、初心者が余り接近しすぎて、痛い眼を見る事がありそうだな。

 …となるとーー

 「嬢ちゃんは(棍棒だな)」

 「にゃ?」

 あ? おっさんも同じ考えか。

 ネロが、俺とおっさんを交互に見て、口に指を当てている。

 何してんだお前?

 「最近の若ぇ奴は、見た目を重視しやがる。品質が良くねぇのにな! その点嬢ちゃんは分かってるじゃねぇか!! ここに置いてある剣は、はっきり言って使えねぇ! だが! 棍棒だけは違う! 木の固い部分を固めた自慢の一品だ! 中には鉄も加えた物もある! だが初心者にはお勧めしねぇ!! 最初はこの棍棒からだ! この棍棒が壊れた時は、またここに足を運びな! その時は中級者用の、鉄入り棍棒を売ってやろう!!」

 「にゃぁぁぁ~」

 馬鹿が、この馬鹿ネロにそんな勢いで喋っても理解出来ねぇぞ?

 見ろ。

 現に、コイツは眼を回して、頭がショートしてるじゃねぇか。

 要は、ここの剣はクソ。棍棒は品質が高いって事だな?

 


 **********

 黒樹の棍棒

 品質 8

 **********


 なるほどな…確かに、そこら辺に置いてある剣よりは、いくつかマシだろう。

 (オラ、いい加減戻ってこい)

 「にゃ!」

 はっ! と眼を大きく開いたネロに、おっさんは黒樹の棍棒を渡した。

 「振ってみろ」

 「にゃ? にゃ! にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!!」

 「うお! 危ねぇ!!」

 お前振りすぎだろ…危なくおっさんに当たる所だったぞ?

 まぁ、俺は別に構わんが。

 すると、ネロが振るのを止めて、棍棒を上に掲げだした。

 「これ凄いにゃ! 手によく馴染むにゃ!!」

 「おう! そりゃあ自慢の一品だからな!! 当たり前だろ!! 次は防具だなちょっと待ってろ!!」

 そう言って奥に入っていく、おっさんを眺め、付き合いけれなくなった俺は…姿を移して棚の上で眠りについた。




 その後…おっさんが持ってきた、動きやすさを重視しの革鎧を買ったネロが、俺を大きな声で呼び、ネロと一緒に店を出たのだった。

 
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