孤高の英雄は温もりを求め転生する

モモンガ

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プロローグ

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 新連載!!

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 「グゴォォォ!!…ォ…」

 20メートルはあろう巨大な赤黒いドラゴンが地面を揺らし崩れ落ちた。

 「ハァ…ハァ…フゥ…。」

 俺は張っていた筋肉を少しずつ、落ち着かせ…何度か深く息を吸い込み吐き出した。

 元々黒かった髪は白く染まり…やる気がないような眼をした青年が天を向いた。

 「流石に連戦はキツいな…覇王級の相手を続いて相手するなんて、何かの前兆じゃないよな?」


 この世界の魔物は
 『初級』
 『中級』
 『上級』
 『王級』
 『天災級』
 『覇王級』
 『終焉』と区切られている

 『初級』 は子供でも油断しなければ倒せない事はないレベルの魔物だ。

 『中級』 は成人し戦闘経験を積んだ者なら何とか倒せるレベルの魔物。

 『上級』 は中級を単体で倒せる者が5人パーティーを組み倒せるレベルだ

 『王級』 このレベルの魔物になってくると1体で街を滅ぼす事ができる。

 『天災級』 国を1つ滅ぼす事ができる魔物

 『覇王級』 1つの大陸を沈める事ができる魔物

 『終焉』 世界の危機

 簡単に言えばこんな感じだ。


 「さて、そろそろ帰るーーん?」

 ふと飛んできた石を片手で受け止める。

 飛んできた方向を見るとボロボロの服を強く握りしめている子供が目に入った。

 ああ…またか…。


 「どうして…どうして…もっと早く来てくれなかったんだ!!」

 子供の叫び声が響き…僅かな生き残りが俺に敵意を向け口を開いた。

 「お前がもっと早く来れば街はこんなにはならなかった!!」

 「俺の家族が魔物に喰われたんだ!!お前が連れてきたんだろ!!」

 「お父さんとお母さんを返してよー!!」


 何度目だろうか、この冷たい言葉を聞くのは…。

 コイツらは攻める標的が俺にしかいないが故に町を救った者を罵り…敵意を向ける。

 そうしないと自分達が生きる気力すらも消えてなくなりそうで…。


 俺はように受け流し…20メートルのドラゴンに触れ

 「収納」

 と呟く…と近くに黒い穴に吸い込まれるようにドラゴンが消えていった…。


 信じられない光景に街の生き残りは、うってかわり鎮まりかえった。


 「中距離転移」

 そして街を救った英雄も消えた…。






 ブゥン…

 空間が揺らいだ瞬間、街を救いドラゴンを討伐した者が現れた…。

 「ガハッ! ゲホッゲホッ!!」

 地面を赤く濡らし…口に付いた血を袖で拭う…。

 「クソッ…寿命を削り過ぎたか…。」

 俺の持つ魔法…空間魔法は大量な魔力を消費する。

 所有する魔力じゃ足りず、寿命を魔力に変え…幾度もなく色んな国や街、大陸を救ってきた。

 命を削りまで救った報酬は罵倒や聞くに耐えない言葉ばかり…。

 感謝の言葉など言われたことも無い…。

 『お主…自分自身の命を削ってまで救いようの無い奴らを助けてどおする? 妾には理解出来ん』

 そういえば…臨時でパーティーを組んだ奴には不機嫌そうに言われたな

 自然と笑みがこぼれた


 一体、俺は何の為に生きてきたんだろうな…。

 愛する家族もいない。

 ましてや恋人もいない。

 昔子供だった時、将来を誓い合った奴はいたけど結局俺より容姿が良い奴の方にいったしな…。

 結局は俺はこれまでずっと…ずっと…1人。

 だんだん重くなる目蓋が俺の死を告げてくる。

 (ああ…これが俺の人生か…死ぬ時も1人…か…なんだか…とても…寒いし…寂しいな…。」

 もし…次があるなら、『温もりが欲しい』人の優しさに触れたい…。

 目蓋が閉じ…一滴の雫が地面を濡らした。


 この日『孤高の英雄』は1人静かに眠った。


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 暫く、1日3話投稿頑張ります!
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