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第三章 逃げる者と追う者
22魔法の世界はややこしい
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転移装置というのは、乗り場と降り場が離れているようで、チケット売り場を探すのに苦労した。
人に尋ねて回って、結局、親切な人がチケット売り場まで案内してくれた。
ペコペコと頭を下げて、その人が去ったのを確認してから、チケット売り場見る。
「あのー、すみません」
「はいはい、いらっしゃいな。どちらまで?」
「王都まで行きたいんですが、チケット代っておいくらです?」
「王都までの直通はないねぇ」
「え、そうなんですか?」
なんてこった。また直通はないのか。どうなってるんだ、この国は。
「転移装置使うのは初めて?」
「え、と、あんまり、街から出たことなくて……」
うーん、嘘ではないよね。街から出たの初めてだし。元々この世界の人じゃないけれども。
「あらそう、お使い? 小さいのに偉いわねぇ」
「……」
えっ。
もしかして私、ちびっ子だと思われてるっ?
嘘でしょう?! 確かにこの世界の人たち背が高いから、小さく見えるかもしれないけれど。私これでも成人してますからぁ! 絶賛貧乏学生ですからぁ!
「王都に行ける街は少ないのよ」
「そうなんですか?」
「一瞬で街から街まで移動できるでしょう? 王都に行ける街が多すぎると、人が王都に溢れすぎちゃうのよ」
「あー、なるほど。それでほかの街を経由するようにしてるんですね。そして移動費を街に落とすと」
「そうそう。小さいのに頭いいのねぇ」
小さいは余計だ。小さいは。
「それと、王都には許可証が必要よ。ちゃんと持ってる?」
「えっ」
許可証? ええ、そんなの聞いてないよ。うそぉ。
「あら、持ってないの?」
「持ってない、です」
「それだと、王都まで行けても追い返されちゃうわね。それぞれの街で発行してもらえるはずだけれど、手前の街だと待ってる人も多いから、そうねぇ。半年先になるかしら?」
「ええっ!?」
半年先!?
エヴァンさんそんなこと言ってなかったけどっ?
「……許可証って、どうしたらもらえるんですか?」
「王都によく出入りする商人や魔道士たちは、半永久的な許可証を持っているらしいけれど、普通は一回一回手続きをするわ。奥に民間魔道申請所があるから行ってみたらどうかしら。いろんな手続きをそこでしてるのよ」
ふぅむ、市役所みたいなとこだろうか?
「わかりました、ありがとうございます」
「いいえ、気をつけてね」
「はい──あ、チケット代なのですが」
「王都へ行けるルートだと、二万七千ルシルね」
……二万七千ルシル。
「わかりました。ありがとうございます」
二万七千ルシル。
物価がわかりにくいけど、このローブを買った感じだと、たぶん、日本とそう変わらない。
つまり、二万七千ルシルは二万七千円と同程度だと思う。
ここに来る前に一万二千ルシルかかったから……王都行くのって、めちゃくちゃお金かかりますねっ?!
ガックリと肩を落としつつも、ひとまず、言われた通り民間魔道申請所に向かう。
そこは、この街では珍しく独立した、上に建物が重なっていないドーム型の建物だった。けっこう大きいし、てっぺんに星型の飾りがついてる。この街は星が好きなのかな。
そして、民間魔道申請所について早々、困ったことになった。
入口が、ない。
人に尋ねて回って、結局、親切な人がチケット売り場まで案内してくれた。
ペコペコと頭を下げて、その人が去ったのを確認してから、チケット売り場見る。
「あのー、すみません」
「はいはい、いらっしゃいな。どちらまで?」
「王都まで行きたいんですが、チケット代っておいくらです?」
「王都までの直通はないねぇ」
「え、そうなんですか?」
なんてこった。また直通はないのか。どうなってるんだ、この国は。
「転移装置使うのは初めて?」
「え、と、あんまり、街から出たことなくて……」
うーん、嘘ではないよね。街から出たの初めてだし。元々この世界の人じゃないけれども。
「あらそう、お使い? 小さいのに偉いわねぇ」
「……」
えっ。
もしかして私、ちびっ子だと思われてるっ?
嘘でしょう?! 確かにこの世界の人たち背が高いから、小さく見えるかもしれないけれど。私これでも成人してますからぁ! 絶賛貧乏学生ですからぁ!
「王都に行ける街は少ないのよ」
「そうなんですか?」
「一瞬で街から街まで移動できるでしょう? 王都に行ける街が多すぎると、人が王都に溢れすぎちゃうのよ」
「あー、なるほど。それでほかの街を経由するようにしてるんですね。そして移動費を街に落とすと」
「そうそう。小さいのに頭いいのねぇ」
小さいは余計だ。小さいは。
「それと、王都には許可証が必要よ。ちゃんと持ってる?」
「えっ」
許可証? ええ、そんなの聞いてないよ。うそぉ。
「あら、持ってないの?」
「持ってない、です」
「それだと、王都まで行けても追い返されちゃうわね。それぞれの街で発行してもらえるはずだけれど、手前の街だと待ってる人も多いから、そうねぇ。半年先になるかしら?」
「ええっ!?」
半年先!?
エヴァンさんそんなこと言ってなかったけどっ?
「……許可証って、どうしたらもらえるんですか?」
「王都によく出入りする商人や魔道士たちは、半永久的な許可証を持っているらしいけれど、普通は一回一回手続きをするわ。奥に民間魔道申請所があるから行ってみたらどうかしら。いろんな手続きをそこでしてるのよ」
ふぅむ、市役所みたいなとこだろうか?
「わかりました、ありがとうございます」
「いいえ、気をつけてね」
「はい──あ、チケット代なのですが」
「王都へ行けるルートだと、二万七千ルシルね」
……二万七千ルシル。
「わかりました。ありがとうございます」
二万七千ルシル。
物価がわかりにくいけど、このローブを買った感じだと、たぶん、日本とそう変わらない。
つまり、二万七千ルシルは二万七千円と同程度だと思う。
ここに来る前に一万二千ルシルかかったから……王都行くのって、めちゃくちゃお金かかりますねっ?!
ガックリと肩を落としつつも、ひとまず、言われた通り民間魔道申請所に向かう。
そこは、この街では珍しく独立した、上に建物が重なっていないドーム型の建物だった。けっこう大きいし、てっぺんに星型の飾りがついてる。この街は星が好きなのかな。
そして、民間魔道申請所について早々、困ったことになった。
入口が、ない。
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