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第二章 二人の関係
13王都って、ヤバい場所?
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エヴァンさんの料理はおいしい。
ちょっと異次元レベルにおいしい。
人の味覚という味覚を調べ尽くしたのではないか、と疑惑を向けるほど、これまで私が食べてきたどんなものよりも舌に馴染んで、顔が崩れるデリシャスパロメーターを振り切る。
はぁ、おいしい……。
なにこの肉。ステーキだよね?
ただ肉を焼いただけという、わりと誰が作っても『肉!』という味になるはずのステーキ。
なのに、これは、おかしいっ!
とけるっ、お肉がとけるっ。なのにしっかりと噛みごたえあるし、これが臭みがないということなのかっ。
よく臭みを取る、とかあるけど、ぶっちゃけ臭みとかなに~、肉なんかどれも一緒じゃーん、と思っていたけど、それは間違いだったらしい。
過去の私を釘で十字架に磔だ。これは冒涜。涜神だ。ああ、過去の愚かな私をお許しください。
「ふふ、美味しそうに食べますね」
「だってだって、おいしいんですよっ。私、こんなの食べたことないです。エヴァンさんは料理の神様ですね!」
こんなにおいしい料理作れるとか、もう私のお婿さんにどうですか? 大切にしますよ?
優しくてイケメンで料理がおいしいっ。ああ、めちゃくちゃ優良物件。胸がキュンキュンしちゃうじゃないか、どう責任取ってくれるんだ。このイケメンめっ。
フォークを肉に突き立てる。エヴァンさんがテーブルに肘をついて、頬杖をつきながらキラキラ輝く紫の目で私を見る。
うう、その目、ちょっとムズムズする。こんなバクバク食べてるの恥ずかしくなるじゃないか。あんまり見ないで。干物にも乙女心はあるんだよ、一応。
「え、えーと、そうだっ、王都! 王都どうします?」
話題を変えようとした。
でも、王都という言葉を聞いた途端、エヴァンさんの眉がぴくりと揺れ、ちょっと冷たい気難しい感じの表情に変わる。
……え。
王都、そんなヤバい場所なんです?
うわぁ、なになに、行きたくなくなるじゃん。
やだやだ、ココで帰る方法見つけた方がいいんじゃない?
「えーと」
「もう噂は回っていると思うので、行かないという選択肢がないのは、俺もわかっているんですが……」
「えぇと、エヴァンさん、王都嫌いなんです?」
王都に嫌な思い出でもあるのかなぁ。
うーん、保護してもらって、おいしいごはん食べさせてもらって、それを当たり前みたいに受け入れちゃってるけど、考えてみれば、エヴァンさんにそんなことする義務ないんだよねぇ。
ただ単に、たまたま、一番に私を見つけた、というだけ。
「えぇと、その、王都までの行き方を教えていただければ、私一人でも……」
行ってきますよ?
という言葉は、慌てて飲み込んだ。
うわ、エヴァンさん、顔、顔ヤバい。なになにっ? 親の仇でも見つけちゃった!? え、私っ? 違う違う、ワタシ、ナニモシテマセーン。ノーノー、ノープロブレム!
「俺も行きます」
「そ、そうですか。では、ええと、よろしくお願いします」
フォークを手に、ぺこりと頭を下げる。
責任感強い人だなぁ。それとも、ここでは最初に見つけた人が責任を持つ、みたいな決まりでもあるんだろうか。
ほら、捨て猫を見つけて拾ったら、そのままなんかやんかで飼ってしまう、みたいな。
まあ、異世界人とか、希少ペットみたいなものだよね。
でも私なら、異世界人見つけても、お家には連れて帰らないと思うけど。だって、面倒事のにおいしかしないもん。エヴァンさんはいい人すぎる。
ところで、王都に何しに行くんですかね?
ちょっと異次元レベルにおいしい。
人の味覚という味覚を調べ尽くしたのではないか、と疑惑を向けるほど、これまで私が食べてきたどんなものよりも舌に馴染んで、顔が崩れるデリシャスパロメーターを振り切る。
はぁ、おいしい……。
なにこの肉。ステーキだよね?
ただ肉を焼いただけという、わりと誰が作っても『肉!』という味になるはずのステーキ。
なのに、これは、おかしいっ!
とけるっ、お肉がとけるっ。なのにしっかりと噛みごたえあるし、これが臭みがないということなのかっ。
よく臭みを取る、とかあるけど、ぶっちゃけ臭みとかなに~、肉なんかどれも一緒じゃーん、と思っていたけど、それは間違いだったらしい。
過去の私を釘で十字架に磔だ。これは冒涜。涜神だ。ああ、過去の愚かな私をお許しください。
「ふふ、美味しそうに食べますね」
「だってだって、おいしいんですよっ。私、こんなの食べたことないです。エヴァンさんは料理の神様ですね!」
こんなにおいしい料理作れるとか、もう私のお婿さんにどうですか? 大切にしますよ?
優しくてイケメンで料理がおいしいっ。ああ、めちゃくちゃ優良物件。胸がキュンキュンしちゃうじゃないか、どう責任取ってくれるんだ。このイケメンめっ。
フォークを肉に突き立てる。エヴァンさんがテーブルに肘をついて、頬杖をつきながらキラキラ輝く紫の目で私を見る。
うう、その目、ちょっとムズムズする。こんなバクバク食べてるの恥ずかしくなるじゃないか。あんまり見ないで。干物にも乙女心はあるんだよ、一応。
「え、えーと、そうだっ、王都! 王都どうします?」
話題を変えようとした。
でも、王都という言葉を聞いた途端、エヴァンさんの眉がぴくりと揺れ、ちょっと冷たい気難しい感じの表情に変わる。
……え。
王都、そんなヤバい場所なんです?
うわぁ、なになに、行きたくなくなるじゃん。
やだやだ、ココで帰る方法見つけた方がいいんじゃない?
「えーと」
「もう噂は回っていると思うので、行かないという選択肢がないのは、俺もわかっているんですが……」
「えぇと、エヴァンさん、王都嫌いなんです?」
王都に嫌な思い出でもあるのかなぁ。
うーん、保護してもらって、おいしいごはん食べさせてもらって、それを当たり前みたいに受け入れちゃってるけど、考えてみれば、エヴァンさんにそんなことする義務ないんだよねぇ。
ただ単に、たまたま、一番に私を見つけた、というだけ。
「えぇと、その、王都までの行き方を教えていただければ、私一人でも……」
行ってきますよ?
という言葉は、慌てて飲み込んだ。
うわ、エヴァンさん、顔、顔ヤバい。なになにっ? 親の仇でも見つけちゃった!? え、私っ? 違う違う、ワタシ、ナニモシテマセーン。ノーノー、ノープロブレム!
「俺も行きます」
「そ、そうですか。では、ええと、よろしくお願いします」
フォークを手に、ぺこりと頭を下げる。
責任感強い人だなぁ。それとも、ここでは最初に見つけた人が責任を持つ、みたいな決まりでもあるんだろうか。
ほら、捨て猫を見つけて拾ったら、そのままなんかやんかで飼ってしまう、みたいな。
まあ、異世界人とか、希少ペットみたいなものだよね。
でも私なら、異世界人見つけても、お家には連れて帰らないと思うけど。だって、面倒事のにおいしかしないもん。エヴァンさんはいい人すぎる。
ところで、王都に何しに行くんですかね?
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