リビドーの鍵

柄木

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三日目 ―幸福へ―

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「……ッ、あ……あ゛ッ、……ン、ッ……ぎ、ぃ……」
「汚ったねえ声だなぁ? 屠殺される豚かよ? ――ああ、前はチンポ狂いのメス豚だったか? 今はメス豚以下の肉便器だけどな?」

 小便器に押し込められるような拘束も口枷も既に解かれていた。だが今の賢人けんとは小便器の受け皿に顔を押しつけられ、床に這うような低い四つん這いで男に“使用”されている。
 その姿は尊厳のある人間ではなく、ただ使われるだけの道具そのものだ。
 人間として最低な姿。しかしこれは賢人が望んだ悦びだ。
 小便器はプレイ用に設置されているだけで、実際に排泄目的で使われていない清潔な代物だが、便器という場所に顔を押しつけられる屈辱感はそれだけで一入だろう。

「ほらもっとケツ振りな! 俺のチンボが善くならねえだろうがっ! てめえの価値なんざ便器より下なんだからよ!」

 罵声と共に揺れる尻を叩かれる。そこには右の尻肉には“チンポ専用肉便器”、左の尻肉には“0円”“在庫処分”と正の字が途中まで書かれている。そんな惨めな尻を振って犯される事を強請る無様な便器が自分なのだ。

「締まりが悪くなったら使えねえ肉便器なんざ廃棄してやるからなぁ?」

 パンパンパンとリズミカルに尻を叩かれ、そのたびに緩い蛇口のように精液混じりの先走りを噴きながら、賢人は尻をうねらせて喘いだ。
 
 なんて無価値なんだろう、自分は。
 嗤われ、否定され、嘲笑され、だからこそ正しく有る必要も無い。

 もうエリートコースを歩んできた、生真面目で優秀な教師はどこにも居なかった。
 ただ名前も知らない男に使われるだけの、快楽に媚びる薄汚れた便器が有るだけだ。

「……ん゛ッひ、ッッ、ん゛ん゛ーーっっ」
「はぁん? またイくのか。あぁ? ケツ叩かれてイくなんざ、薄汚えだけじゃなくマゾ肉便器かよ!
ほら、謝れよ。チンポ狂いのマゾ肉便器でごめんなさいって謝りながらイけ!」

 そうだ、マソだ肉便器だ。
 男の言葉が体を賢人のさらに熱くし、逞しい陰茎で擦られた尻穴は蕩け、脳は精液と攪拌されみたいにグズグズになった。
 小便器に顔を押しつけた賢人は、床に自分のびしょ濡れの陰茎を擦り付けながら、腹の奥からこみ上げる圧倒的な幸福感のまま叫んだ。

「ひ、ぅッッ、……ご、ごめ……ッ、ごめん、な……ッあ、あぁッッ……ま、マゾ、にく、べんき……でごめん、なさ……ッッ」
「チンポ狂いが抜けてんじゃねえか、あぁっ!? チンポ要らねえなら抜いちまうぞ?」

 ずるっと自分の中から抜けそうな暴虐の熱に泣き叫びながら賢人は尻に力を込めた。

「い、やぁ……ッッ、抜か、ないで……ッッ、チンポ、ちん、ぽ……ちんぽ、狂い、の……ッッ、マゾ、べんき……ッッです……ッ、ごめんなさ……ち、ちんぽ、好きで……っっ、ごめんなさ……いっっ……イ、イ……ッッイくうぅぅッッ!! チンボ、ちん、ぽ、でッッイ゛ッグうぅっっ!」

 ガクガクを激しく腰を振りながら、小便器に縋るようにして賢人が達する。理性も規律も射精と共に床に飛び散って行く。
 今まで何度もSM倶楽部“名無しノーネーム”でプレイをしてきた。どれも気持ちよかった。だが何かが足りなかったのだ。
 今、足りなかったピースが埋まって全てが完成する。
 その快楽と幸福感は、人生で初めての強烈さだった。

「チンポチンポうるせえなぁ……正真正銘のチンポ狂いだな。――ほら、なに浸ってんだよ。大好きなチンポ、もっともっと恵んでやるよ」
「……ひ、あぁ……ま、待っ……まだ、イッ……って……ひぐぅッッ、また、ちんぽ……ちんぽ、がぁ……ッッ……ちんぽ、すごい……ッ、ひ、ひッ……また、い゛グ……ッッ……ちん、ぽ……で、イき死んじゃ、う、うぅぅッッッ」

 達したばかりで息も整わないうちに、敏感なトロ肉をまた抉られる。
 前進の神経が焼き切れそうな快楽の波がまた押し寄せ、賢人はよがり狂うしかできなかった。
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