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初日 ―挨拶―
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賢人の両親は、賢人と同じ厳格な教師だった。
教師には社会の規範となるように、本人にも時には家族にも強い倫理観が求められる。賢人は子供の頃から、親にも教師にも同様の倫理観を求められ、知らず知らずに抑圧され強いストレスを感じていた。
他人に肯定されることが正しいとされるその抑圧が、他人に否定されることで喜びを感じる被虐傾向になったと言ってもいい。
社会の規範となる賢人が高い壁と樹木に囲われているとはいえ、真っ昼間から庭で裸になって尻を晒し、玩具のようにウォーターガンの的になっているとは誰が信じるだろう。
「真ん中に当たるようにケツを振れ、ケツを。使えねえ的だな!」
男の失笑に盛りの付いたメス犬のように尻を振る。ウォーターガンの水がアナル周辺に当たるたびに声が溢れ、全身が淫らな快楽に浸されていく。
もっと当ててくれと更に尻を振って強請れば、哄笑したベランダの男は加圧式のウォーターガンを操作して水流を強めていく。
「ひぃ、ひぃぃぃッッ!」
ひくつくアナルの中央に強められたウォーターガンの水がまともに当たった。その刺激はもちろん、水が直腸に入り込んだ衝撃に腰が跳ねる。自分で尻肉を拡げたまま賢人は仰け反って悲鳴を上げてしまった。
悲鳴をあげた理由は、賢人の股間から溢れる液体のせいだ。
――賢人は失禁したのだ。
倫理観が強い賢人が真っ昼間の庭で、アナルに水を当てられた刺激に漏らしてしまい、その姿をベランダの男に観察される――ぶわりと羞恥が込み上げてきた。
「……あ、……ぁ……」
背徳の快楽と昼間の庭で粗相をしたという恐怖感。子供の頃から戒められてきた禁忌を容易く破った自分自身にパニックを起こしそうだ。
だが賢人の状態を見計らったように、残忍で、けれども内実は優しい声がそれを押しとどめる。
「だらしねえ水鉄砲だな。なぁーんにもしねえうちから壊れて漏らしやがった」
賢人を追い込む言葉に見えるが、嬲る声を聞いたことで逆にパニックは治まってしまう。男の言葉責めに心のどこかで「これはプレイの一環なのだ」と理解できたからだ。
ひどい真似に見えるが、ここは安全な場所で安全な相手と共に楽しむSMプレイ。
賢人が居る場所はそんなところだ。
笑っていた男の姿がベランダから消え、しばらく後に玄関から賢人の前に現れた。
片手にリードの着いた首輪を持って。
男の容姿は背徳的な色香がある。派手な服装と胸元を開けた柄のシャツが、本業は水商売をしているような雰囲気を思わせた。
「俺がお前のご主人様だ。お前の良識人ぶった化けの皮を剥がしてやるご主人様にちゃんと挨拶をしな」
冷笑を浮かべた男は傲慢な態度で上下の差を態度を示し、賢人の目の前へ赤いエナメル質の首輪を晒した。首輪にはタグが付いており、そこには『変態家畜』の文字がある。
普段の自分とは相容れない4文字に、どうしようもなく体が疼いて火照ってしまうのは、度が過ぎた被虐嗜好のせいか。
生徒の、社会の規範となるべく身を慎んできた賢人が、教師の誇りを捨て、人間の尊厳を捨ててまで、惨めな変態家畜に堕とされようとしているのだ。
失禁で濡れた陰茎が堪えきれずに勃起しかかる。あの首輪を嵌められたら、自分はどうなってしまうのだろう。
晴れ渡った爽やかな空の下、気がつけば賢人は男の足下に平伏すようにして、『人間を辞めた変態家畜です。ご主人様には絶対服従しますので、どうかご主人様の性処理用として存分に玩んで下さい』と家畜の挨拶をしていた。
教師には社会の規範となるように、本人にも時には家族にも強い倫理観が求められる。賢人は子供の頃から、親にも教師にも同様の倫理観を求められ、知らず知らずに抑圧され強いストレスを感じていた。
他人に肯定されることが正しいとされるその抑圧が、他人に否定されることで喜びを感じる被虐傾向になったと言ってもいい。
社会の規範となる賢人が高い壁と樹木に囲われているとはいえ、真っ昼間から庭で裸になって尻を晒し、玩具のようにウォーターガンの的になっているとは誰が信じるだろう。
「真ん中に当たるようにケツを振れ、ケツを。使えねえ的だな!」
男の失笑に盛りの付いたメス犬のように尻を振る。ウォーターガンの水がアナル周辺に当たるたびに声が溢れ、全身が淫らな快楽に浸されていく。
もっと当ててくれと更に尻を振って強請れば、哄笑したベランダの男は加圧式のウォーターガンを操作して水流を強めていく。
「ひぃ、ひぃぃぃッッ!」
ひくつくアナルの中央に強められたウォーターガンの水がまともに当たった。その刺激はもちろん、水が直腸に入り込んだ衝撃に腰が跳ねる。自分で尻肉を拡げたまま賢人は仰け反って悲鳴を上げてしまった。
悲鳴をあげた理由は、賢人の股間から溢れる液体のせいだ。
――賢人は失禁したのだ。
倫理観が強い賢人が真っ昼間の庭で、アナルに水を当てられた刺激に漏らしてしまい、その姿をベランダの男に観察される――ぶわりと羞恥が込み上げてきた。
「……あ、……ぁ……」
背徳の快楽と昼間の庭で粗相をしたという恐怖感。子供の頃から戒められてきた禁忌を容易く破った自分自身にパニックを起こしそうだ。
だが賢人の状態を見計らったように、残忍で、けれども内実は優しい声がそれを押しとどめる。
「だらしねえ水鉄砲だな。なぁーんにもしねえうちから壊れて漏らしやがった」
賢人を追い込む言葉に見えるが、嬲る声を聞いたことで逆にパニックは治まってしまう。男の言葉責めに心のどこかで「これはプレイの一環なのだ」と理解できたからだ。
ひどい真似に見えるが、ここは安全な場所で安全な相手と共に楽しむSMプレイ。
賢人が居る場所はそんなところだ。
笑っていた男の姿がベランダから消え、しばらく後に玄関から賢人の前に現れた。
片手にリードの着いた首輪を持って。
男の容姿は背徳的な色香がある。派手な服装と胸元を開けた柄のシャツが、本業は水商売をしているような雰囲気を思わせた。
「俺がお前のご主人様だ。お前の良識人ぶった化けの皮を剥がしてやるご主人様にちゃんと挨拶をしな」
冷笑を浮かべた男は傲慢な態度で上下の差を態度を示し、賢人の目の前へ赤いエナメル質の首輪を晒した。首輪にはタグが付いており、そこには『変態家畜』の文字がある。
普段の自分とは相容れない4文字に、どうしようもなく体が疼いて火照ってしまうのは、度が過ぎた被虐嗜好のせいか。
生徒の、社会の規範となるべく身を慎んできた賢人が、教師の誇りを捨て、人間の尊厳を捨ててまで、惨めな変態家畜に堕とされようとしているのだ。
失禁で濡れた陰茎が堪えきれずに勃起しかかる。あの首輪を嵌められたら、自分はどうなってしまうのだろう。
晴れ渡った爽やかな空の下、気がつけば賢人は男の足下に平伏すようにして、『人間を辞めた変態家畜です。ご主人様には絶対服従しますので、どうかご主人様の性処理用として存分に玩んで下さい』と家畜の挨拶をしていた。
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