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9話
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自由気ままに、傲慢に生きていた大巳は、真っ白な部屋で疼く穴を晒して己の身の丈を知った。
赤、青、黄、ましてや黒すらも上から真っ白に塗り潰していく世界のお陰で、自分がいかに虚飾にまみれ汚れていたのか分かった。
今まで何故、内なる自分に気づかなかったのか。
さまざまな色が混じって本質に気付けないままだった。
やっと蒙昧を開かれ、ささやかだった悩みを棄て、蛇が脱皮するように生まれ変わった大巳は全てを理解した。
男の男根を疼く穴にねだり、足の甲へ服従の接吻をし、肉欲に溺れること、本能を詳らかにすること、淫欲が詰まった己を支配されること……それが白の世界で得た真実。
揺るぎ無い真理だ。
真理を知った今の大巳の気持ちは、ある種の信仰にすら似ている。
神だけを信じ、神に使え、神のために命をも擲つ殉教者じみた一途な思い。
真っ白な部屋に屹立する三十路絡みの男は、全裸の状態で蕩けた大巳の顔を見下ろしている。大巳の顔を太い血管が浮かぶ男根置きにし、感情の発露もなく冷めた眼差しはどこか爬虫類を思わせる。
その冷たい視線にすら大巳の肌は喜び、恍惚と膝をつく姿は全身で男に媚びていた。
大巳の額に亀頭が、鼻の先に太い肉竿が、唇には陰嚢が当たって、その感触と匂いに身体中の細胞がこれを欲しいと叫んでいる。
けれど淫猥な顔を晒しているくせに、お行儀良く勝手に舌を這わせたりはしない。
しゃぶっていいと許可を貰うまでは、浅ましい呼吸を繰り返していても待てるほど躾られている。
「なんという淫らなメス顔だ」
見下ろす男の言葉に、大巳の下腹部が捻れたように疼いた。
「メスにはメスに相応しい振る舞いと居場所がある」
ずり……ずり……と大巳の顔で扱かれる圧倒的な雄の質量。逞しく怒張した男根が蕩けた顔を行き来しているだけなのに、触れた箇所から快全身に肉欲が伝播していく。
「……一度だけ訪ねよう。人間の男として、雑多な色彩の街に戻るか? それとも家畜のメスとして白の社に行くか?」
社? 社とはなんだろう?
男は何一つ大巳に情報を与えなかった。名前も、年齢も、棲家も。
その男が初めて出した情報が、社――。
顔の上に乗る男根の圧が増す。
そんなことをしなくても、そんなふうに道を示さなくても、大巳の心はとっくに決まっていた。
「……お、おち、ん、ぽ様のお情け、に……縋る、卑しい……か、かちく……メス……と、して……お、お使い、くだ、さ……い……っ」
重く熱い呼吸が、その言葉に嘘はないと男の男根に知らしめていた。
雑多な色と欲の混じる世界に未練はないのだ。
たった一色……快楽という一色だけに染まる白の世界に塗り潰されたい。
白く、ただ、白く――。
「よかろう。お前を我が至上者の爪先にお前を迎えよう――褒美にしゃぶることをを許可してやる」
「……、あ、ありが……とう、ごさい……ます……っ」
大巳は口を開けた。口腔で踊る舌が狂乱の動きで喜んでいた。
「……ン、ッ……ンンっっ」
そして白い部屋で己の真理を知った大巳は、ほとんど全裸状態で真っ白な社に向かって歩いていた。歩くたびに尻は揺れ、腰をうねって階段を登る姿も淫らがましい。
階段の中央には左右を分かつように、白く塗られた竹製の手すりが有った。
腰がうねって跳ねるのは、大巳がその白い竹の手すりに跨がっているからだ。
竹の節がこちゅこちゅと大巳の股座を刺激し、大巳が跨がった跡は白い手すりが先走りでしとどに塗れてしまっている。
竹の節から与えられる快楽の波にのけ反って痙攣し、盛りのついたメス犬のように手すりに股間を擦り付ける大巳の足は遅い。自慰に夢中になって、時間がかかっているわりに距離は幾らも進まないのだ。
だが大巳の後ろから共をする男は何も言わない。
手すりを使って無様に自慰をしても急かさず、好きなようにさせてた。
自分の世界に入り込んで手すりを濡らして腰を振る大巳は自慰の快楽に酔いしれ、挟み込んだ手すりを太股で締め付けてさえいる。
股間の刺激に夢中になった大巳は気がつかなかった。
階段脇の参道に、白い境内に、薄く開いた社にの奥に、数多の瞳が覗いていたことを。
赤、青、黄、ましてや黒すらも上から真っ白に塗り潰していく世界のお陰で、自分がいかに虚飾にまみれ汚れていたのか分かった。
今まで何故、内なる自分に気づかなかったのか。
さまざまな色が混じって本質に気付けないままだった。
やっと蒙昧を開かれ、ささやかだった悩みを棄て、蛇が脱皮するように生まれ変わった大巳は全てを理解した。
男の男根を疼く穴にねだり、足の甲へ服従の接吻をし、肉欲に溺れること、本能を詳らかにすること、淫欲が詰まった己を支配されること……それが白の世界で得た真実。
揺るぎ無い真理だ。
真理を知った今の大巳の気持ちは、ある種の信仰にすら似ている。
神だけを信じ、神に使え、神のために命をも擲つ殉教者じみた一途な思い。
真っ白な部屋に屹立する三十路絡みの男は、全裸の状態で蕩けた大巳の顔を見下ろしている。大巳の顔を太い血管が浮かぶ男根置きにし、感情の発露もなく冷めた眼差しはどこか爬虫類を思わせる。
その冷たい視線にすら大巳の肌は喜び、恍惚と膝をつく姿は全身で男に媚びていた。
大巳の額に亀頭が、鼻の先に太い肉竿が、唇には陰嚢が当たって、その感触と匂いに身体中の細胞がこれを欲しいと叫んでいる。
けれど淫猥な顔を晒しているくせに、お行儀良く勝手に舌を這わせたりはしない。
しゃぶっていいと許可を貰うまでは、浅ましい呼吸を繰り返していても待てるほど躾られている。
「なんという淫らなメス顔だ」
見下ろす男の言葉に、大巳の下腹部が捻れたように疼いた。
「メスにはメスに相応しい振る舞いと居場所がある」
ずり……ずり……と大巳の顔で扱かれる圧倒的な雄の質量。逞しく怒張した男根が蕩けた顔を行き来しているだけなのに、触れた箇所から快全身に肉欲が伝播していく。
「……一度だけ訪ねよう。人間の男として、雑多な色彩の街に戻るか? それとも家畜のメスとして白の社に行くか?」
社? 社とはなんだろう?
男は何一つ大巳に情報を与えなかった。名前も、年齢も、棲家も。
その男が初めて出した情報が、社――。
顔の上に乗る男根の圧が増す。
そんなことをしなくても、そんなふうに道を示さなくても、大巳の心はとっくに決まっていた。
「……お、おち、ん、ぽ様のお情け、に……縋る、卑しい……か、かちく……メス……と、して……お、お使い、くだ、さ……い……っ」
重く熱い呼吸が、その言葉に嘘はないと男の男根に知らしめていた。
雑多な色と欲の混じる世界に未練はないのだ。
たった一色……快楽という一色だけに染まる白の世界に塗り潰されたい。
白く、ただ、白く――。
「よかろう。お前を我が至上者の爪先にお前を迎えよう――褒美にしゃぶることをを許可してやる」
「……、あ、ありが……とう、ごさい……ます……っ」
大巳は口を開けた。口腔で踊る舌が狂乱の動きで喜んでいた。
「……ン、ッ……ンンっっ」
そして白い部屋で己の真理を知った大巳は、ほとんど全裸状態で真っ白な社に向かって歩いていた。歩くたびに尻は揺れ、腰をうねって階段を登る姿も淫らがましい。
階段の中央には左右を分かつように、白く塗られた竹製の手すりが有った。
腰がうねって跳ねるのは、大巳がその白い竹の手すりに跨がっているからだ。
竹の節がこちゅこちゅと大巳の股座を刺激し、大巳が跨がった跡は白い手すりが先走りでしとどに塗れてしまっている。
竹の節から与えられる快楽の波にのけ反って痙攣し、盛りのついたメス犬のように手すりに股間を擦り付ける大巳の足は遅い。自慰に夢中になって、時間がかかっているわりに距離は幾らも進まないのだ。
だが大巳の後ろから共をする男は何も言わない。
手すりを使って無様に自慰をしても急かさず、好きなようにさせてた。
自分の世界に入り込んで手すりを濡らして腰を振る大巳は自慰の快楽に酔いしれ、挟み込んだ手すりを太股で締め付けてさえいる。
股間の刺激に夢中になった大巳は気がつかなかった。
階段脇の参道に、白い境内に、薄く開いた社にの奥に、数多の瞳が覗いていたことを。
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