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12話
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直接ではありませんが浣腸による強制排泄があります。
苦手な方は気を付けてください
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
それは崩壊だった。
支配階級の頂点に連なるものとして、高貴なる血を受け継ぐ身として、神の領域を垣間見る才能を有する立場として、それらに固められ、磐石と思っていた自分自身を形成してきた土台が壊れようとしているのだ。
つま先立ちの足の不安定さは心許なく、傲慢に築いていきた矜持に皹が入り、薄氷よりも脆かったのだと示しているかのようだった。
激痛が下腹部を襲い、体内の水分を絞り出すかのような脂汗が溢れ出す。目蓋に入った汗が滲みて涙が溢れてしまう。
いたい、苦しい。
だがロベールとて分かっているのだ。
内蔵を痙攣させる痛みから救われるためには、恥も外聞をかなぐり捨てて排泄するしかない。
どう足掻いてもグリセリンで刺激された腸は、排泄物を止め置くことも散らすことも人体の構造上、できるはずがないのだ。
ロベールが耐えている苦痛は無駄な時間に過ぎなかった。先が見えている終わりをただ 先延ばしにしているだけだった。
だがロベールは分からない。
自分はこの苦痛から逃げたいのだろうか。それともこの苦痛に捕らわれてしまいたいのか。
耐えがたい苦痛の中にじわりと混ざる悦び。
呻き、堪え、歯を食い縛り、耐えて――だが、終わりは訪れる。
それを崩壊と呼べばいいのか、解放と呼べばいいのか。
「......ッ、う、ぁ......ッッ、だ。め......ゆるし......ッ、う。う゛ぁあ゛ぁ、あ゛、ッッ!!」
尊厳の崩壊の瞬間はあっけないほどだった。
木枠の桶の底を矜持と共に汚水が激しく叩く。
ロベールはその惨めな音を聞いていた。
人として大事な部分を奪われた瞬間だった。
人間の心は衝撃が強すぎると麻痺してしまうらしい。恥ずかしさやいたたまれなさ、怒りや憎悪は禁忌を犯したことで完全に沈黙している。
ロベールは放心状態に陥っていた。
内蔵を引きずり出すような痛みから解放され呆然としている。
矜持も傲慢さも喪ったロベールの顔は無垢だ。幼く見えるほどに無垢で、美しい。
だがそんな真っ白になった無垢の心に、落ちないシミを落とすように瑠音の声がじわりと染み込んでくる。
「なんだぁ? 王子様、わかってんのか? ――お前、勃起してやがる。盛大に漏らして気持ちよくなってんのか? このド変態が!」
その言葉を聞いた瞬間、ロベールは目蓋を閉じないまま涙を流していた。
苦手な方は気を付けてください
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
それは崩壊だった。
支配階級の頂点に連なるものとして、高貴なる血を受け継ぐ身として、神の領域を垣間見る才能を有する立場として、それらに固められ、磐石と思っていた自分自身を形成してきた土台が壊れようとしているのだ。
つま先立ちの足の不安定さは心許なく、傲慢に築いていきた矜持に皹が入り、薄氷よりも脆かったのだと示しているかのようだった。
激痛が下腹部を襲い、体内の水分を絞り出すかのような脂汗が溢れ出す。目蓋に入った汗が滲みて涙が溢れてしまう。
いたい、苦しい。
だがロベールとて分かっているのだ。
内蔵を痙攣させる痛みから救われるためには、恥も外聞をかなぐり捨てて排泄するしかない。
どう足掻いてもグリセリンで刺激された腸は、排泄物を止め置くことも散らすことも人体の構造上、できるはずがないのだ。
ロベールが耐えている苦痛は無駄な時間に過ぎなかった。先が見えている終わりをただ 先延ばしにしているだけだった。
だがロベールは分からない。
自分はこの苦痛から逃げたいのだろうか。それともこの苦痛に捕らわれてしまいたいのか。
耐えがたい苦痛の中にじわりと混ざる悦び。
呻き、堪え、歯を食い縛り、耐えて――だが、終わりは訪れる。
それを崩壊と呼べばいいのか、解放と呼べばいいのか。
「......ッ、う、ぁ......ッッ、だ。め......ゆるし......ッ、う。う゛ぁあ゛ぁ、あ゛、ッッ!!」
尊厳の崩壊の瞬間はあっけないほどだった。
木枠の桶の底を矜持と共に汚水が激しく叩く。
ロベールはその惨めな音を聞いていた。
人として大事な部分を奪われた瞬間だった。
人間の心は衝撃が強すぎると麻痺してしまうらしい。恥ずかしさやいたたまれなさ、怒りや憎悪は禁忌を犯したことで完全に沈黙している。
ロベールは放心状態に陥っていた。
内蔵を引きずり出すような痛みから解放され呆然としている。
矜持も傲慢さも喪ったロベールの顔は無垢だ。幼く見えるほどに無垢で、美しい。
だがそんな真っ白になった無垢の心に、落ちないシミを落とすように瑠音の声がじわりと染み込んでくる。
「なんだぁ? 王子様、わかってんのか? ――お前、勃起してやがる。盛大に漏らして気持ちよくなってんのか? このド変態が!」
その言葉を聞いた瞬間、ロベールは目蓋を閉じないまま涙を流していた。
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