71 / 72
幕間⑤
マウントしたいお年頃 ②
しおりを挟む
アバターの瞳はとろみを帯び、紅潮した頬は身体に隠した熱を視覚化させている。
2Dとは思えない、快楽に耽溺し理性を失くし恍惚とした顔。
そもそも2Dアニメキャラ寄りのアバターだけあって、 とろけた顔でも端正で鑑賞に耐え得る作りだ。
多くのアバターというものは、現実の自分よりも加工して綺麗になるように作るものだ。
あるいはゲームやアニメ漫画のキャラクターにわざと似せたりもする。
現にこの青年のアバターも、とある人気ゲームの有名キャラクターによく似ていた。版権に抵触しないよう微妙に変化をつけているが、一目でそのキャラクターを連想する人間は多いだろう。
殆どの視聴者は、止めたら配信主がこのゲームキャラのファンなのだと思うはずだ。実際にその推論は間違っていない。
が、しかし。
このアバターを作った本人からすれば、このアバターは有名なキャラクターの魅力を十全に発揮しているとはいえないし、アバター中の人の素晴らしさを一割も活かせてないと思っている。
何しろこのアバター中の人は、リアルでも顔がいい。とにかく顔がいい。どうしようもなく顔がいいのだ。顔面勝負で殴り勝つ、顔面戦闘力なら53万は越えていると言い切る自信があるのだ。
キャラメイクをしたアバター製作者が声を大にして主張したいのは、国宝レベルの顔面をうまく二次元に落とし込むのは最難関ミッションだったということだ。
二次元に勝つる顔面戦闘力って一体……。
配信を見ている人間にはそのこだわりは分かりにくいが、制作者はエナドリ片手に頑張ったのに、やっぱりリアル顔面には勝てなかったよ……と、敗北宣言したくらいに難しかった。
彼のキャラメイクに使用できるスキンを増やせ、もっと作り込み要素を取り入れろ、ストアの素材を充実させろ、もっと課金するからと悔しがっていた姿を知れば、視聴者は哀れに思って気前よく投げ銭したかもしれない。
もっとも散々嘆いて憤慨して悔しがって、一周どころか二周回ってスン……っと本物を知るのは自分だけでいいかという、謎のマウント志向に陥って今のアバターで妥協したのだが。
だが制作者の爛れた欲望は置いておいて、アバター製作をよりリアルに近い3Dではなく、アニメよりの2Dで選択したのは、容量の問題で3Dよりも細やかな表情や動きを優先できる方を選んだのだろう。
画面からも制作者のねちっこい執念を感じる。
牧場の柵を跨ぎ、股間を擦り付ける青年の腰の動きは淫らでリアリティーがあった。想像だけの動きではない。
あれはリアルで似たような棒状のものに跨がり、実際に淫らに腰を振っているなと、青いツナギが良く似合う視聴者が看破した。
細かく股間を擦り付けたかと思うと、尻が不規則に触れて跳ね上がり、脹ら脛は攣りそうなほど爪先立ちになって痙攣する。
『……ン゛っっ、ん゛ん゛ッッ……!』
演技とは思えない、濁りながらも高く翻る声音。喘ぎ声よりも乱れた呼吸の荒さが目立つ辺り妙にリアルだ。
これは確実に……アバターの向こう側でガッツリ本当に交尾をしているのは確実だ。
『休む許可をいつ与えた? あぁ? 言ってみろ、メス豚が』
肉を叩く音と共に大きく揺れる尻が、スパンキングを受けたのだと分かる。アバター製作者か配信主か分からないが、愛情がひたすらにメス豚扱いされている青年に向いているようだ。
罵倒は愛。
それを証明しているのは、メス豚青年の表情や目線、細かな動きは偏執的に作り込んでいるのに、タチ役の青年の方は声のわりに表情が全く動かない。
タチに表情差分を作るくらいなら、メス豚青年の涎に情熱もリソースも割きたい。そんな声無き声がむんむん伝わってくる。
『……ひ、ギゥッ……っ! ……き、許可……は、あ、あ゛り、ま……せん……ッッ』
『ねえよな? ねえはずだ。俺がアクメ許可出すまで、柵と交尾してろって言っただろうが!』
パンッ、パンッと連続で響く打擲の音。
『お、お゛……ご……ッ、お゛ぉ゛ん゛……っ、ご、ごめん……な、さ……は、ぁあ゛ぁ゛ぁ゛ッッん゛ん゛ん゛ッ……ッ……!!』
綺麗な顔面を裏切る汚鳴きのギャップが興奮をそそる。
あれほど整った顔を快楽で淫らに歪め、潰れた声で鳴き続ける姿にナマ交尾の本気度の高さが伺えた。
『ほら、もっとケツを振れ! 休むな! 三秒以上おねだり交尾の尻振りダンスを止めたら、お前の大好きなチンポハメはお預けだ!』
『……ッッ、い゛っ、ゃ゛ッッ、ぢ、ぢん、ぽ……、ぢんポォォォ……っ! ……ハメ゛、て、ぇえ゛え゛ぇぇッッ!!』
その言葉に柵へ擦り付ける腰の動きが早くなった。口を開いて舌を垂れさせ、アへ顔と呼ばれる表情で尻の割れ目に深く柵を食い込ませる。
陰嚢も会陰も肛門もなにもかも自重で圧される喜び――。
――あー、ズリコキで甘イキじゃなく、深イキしましたね? と、体を大きく仰け反らせて青空に迎えて叫ぶ姿に、目の肥えた視聴者は得心顔で頷いていた。
2Dとは思えない、快楽に耽溺し理性を失くし恍惚とした顔。
そもそも2Dアニメキャラ寄りのアバターだけあって、 とろけた顔でも端正で鑑賞に耐え得る作りだ。
多くのアバターというものは、現実の自分よりも加工して綺麗になるように作るものだ。
あるいはゲームやアニメ漫画のキャラクターにわざと似せたりもする。
現にこの青年のアバターも、とある人気ゲームの有名キャラクターによく似ていた。版権に抵触しないよう微妙に変化をつけているが、一目でそのキャラクターを連想する人間は多いだろう。
殆どの視聴者は、止めたら配信主がこのゲームキャラのファンなのだと思うはずだ。実際にその推論は間違っていない。
が、しかし。
このアバターを作った本人からすれば、このアバターは有名なキャラクターの魅力を十全に発揮しているとはいえないし、アバター中の人の素晴らしさを一割も活かせてないと思っている。
何しろこのアバター中の人は、リアルでも顔がいい。とにかく顔がいい。どうしようもなく顔がいいのだ。顔面勝負で殴り勝つ、顔面戦闘力なら53万は越えていると言い切る自信があるのだ。
キャラメイクをしたアバター製作者が声を大にして主張したいのは、国宝レベルの顔面をうまく二次元に落とし込むのは最難関ミッションだったということだ。
二次元に勝つる顔面戦闘力って一体……。
配信を見ている人間にはそのこだわりは分かりにくいが、制作者はエナドリ片手に頑張ったのに、やっぱりリアル顔面には勝てなかったよ……と、敗北宣言したくらいに難しかった。
彼のキャラメイクに使用できるスキンを増やせ、もっと作り込み要素を取り入れろ、ストアの素材を充実させろ、もっと課金するからと悔しがっていた姿を知れば、視聴者は哀れに思って気前よく投げ銭したかもしれない。
もっとも散々嘆いて憤慨して悔しがって、一周どころか二周回ってスン……っと本物を知るのは自分だけでいいかという、謎のマウント志向に陥って今のアバターで妥協したのだが。
だが制作者の爛れた欲望は置いておいて、アバター製作をよりリアルに近い3Dではなく、アニメよりの2Dで選択したのは、容量の問題で3Dよりも細やかな表情や動きを優先できる方を選んだのだろう。
画面からも制作者のねちっこい執念を感じる。
牧場の柵を跨ぎ、股間を擦り付ける青年の腰の動きは淫らでリアリティーがあった。想像だけの動きではない。
あれはリアルで似たような棒状のものに跨がり、実際に淫らに腰を振っているなと、青いツナギが良く似合う視聴者が看破した。
細かく股間を擦り付けたかと思うと、尻が不規則に触れて跳ね上がり、脹ら脛は攣りそうなほど爪先立ちになって痙攣する。
『……ン゛っっ、ん゛ん゛ッッ……!』
演技とは思えない、濁りながらも高く翻る声音。喘ぎ声よりも乱れた呼吸の荒さが目立つ辺り妙にリアルだ。
これは確実に……アバターの向こう側でガッツリ本当に交尾をしているのは確実だ。
『休む許可をいつ与えた? あぁ? 言ってみろ、メス豚が』
肉を叩く音と共に大きく揺れる尻が、スパンキングを受けたのだと分かる。アバター製作者か配信主か分からないが、愛情がひたすらにメス豚扱いされている青年に向いているようだ。
罵倒は愛。
それを証明しているのは、メス豚青年の表情や目線、細かな動きは偏執的に作り込んでいるのに、タチ役の青年の方は声のわりに表情が全く動かない。
タチに表情差分を作るくらいなら、メス豚青年の涎に情熱もリソースも割きたい。そんな声無き声がむんむん伝わってくる。
『……ひ、ギゥッ……っ! ……き、許可……は、あ、あ゛り、ま……せん……ッッ』
『ねえよな? ねえはずだ。俺がアクメ許可出すまで、柵と交尾してろって言っただろうが!』
パンッ、パンッと連続で響く打擲の音。
『お、お゛……ご……ッ、お゛ぉ゛ん゛……っ、ご、ごめん……な、さ……は、ぁあ゛ぁ゛ぁ゛ッッん゛ん゛ん゛ッ……ッ……!!』
綺麗な顔面を裏切る汚鳴きのギャップが興奮をそそる。
あれほど整った顔を快楽で淫らに歪め、潰れた声で鳴き続ける姿にナマ交尾の本気度の高さが伺えた。
『ほら、もっとケツを振れ! 休むな! 三秒以上おねだり交尾の尻振りダンスを止めたら、お前の大好きなチンポハメはお預けだ!』
『……ッッ、い゛っ、ゃ゛ッッ、ぢ、ぢん、ぽ……、ぢんポォォォ……っ! ……ハメ゛、て、ぇえ゛え゛ぇぇッッ!!』
その言葉に柵へ擦り付ける腰の動きが早くなった。口を開いて舌を垂れさせ、アへ顔と呼ばれる表情で尻の割れ目に深く柵を食い込ませる。
陰嚢も会陰も肛門もなにもかも自重で圧される喜び――。
――あー、ズリコキで甘イキじゃなく、深イキしましたね? と、体を大きく仰け反らせて青空に迎えて叫ぶ姿に、目の肥えた視聴者は得心顔で頷いていた。
78
お気に入りに追加
1,443
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる