サブカルからのリアル調教

柄木

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幕間②

謹賀新年 後の巻

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 「……ふ、ぅ……う、うぅ……っ」

 低くくぐもった声が、湿った宵闇に混ざって溶けていく。
 苦痛とも嬌声とも、どちらでもあるしどちらでも無い媚びが混じる声にりんの心は浮き立ってしまう。
 声で、姿で、匂いで、五感の全てを使って煽情してくる義兄は、なんと罪深い存在なのか。

「なにその声? 発情した豚のほうが品があるんだけど?」

 わざと冷たい低声でそう言ってやれば、被虐趣味の義兄はもっと悩ましく倫を刺激してくるだろう。
 雄哉ゆうやは、どこまでも罪深くて尊い義兄なのだ。
 母親の再婚によって雄哉と義兄弟になれてよかった。少女漫画のように運命の赤い糸まで感じてしまう。

 否。
 今、目の前にあるのは運命の赤い糸ではなく、被虐の赤い麻縄なのだけども。

 この連れ込み宿には、和に特化した責め具が充実して設置してあった。麻縄そうだし、吊りが出来るように太い梁や滑車もそうだ。
 さすがに室内の灯りは安全面を考えて蝋燭ではないが、それでも蝋燭の明かりより少指名土を上げた行燈だ。
 行燈くらいの薄明かりは、身だから陰影を刻んで艶めかしい空間を作り出す。
 壁に映る影は人間の歪められた姿。
 天井の梁に取り付けられた滑車には、赤い麻縄が蛇のように絡んでいた。
 倫の目の前にあるぴんと張られた麻縄を下に引けば、滑車は回って畳に崩れていた若く淫らな肉体を引き上げてくれる。

「ひ、ひぅッッ……!!」

 みちっとしなやかな筋肉に赤い麻縄が食い込む。
 滑車が引き上げたのは、黒い足袋は履いたまま、足首から腿の付け根まで麻縄で縛られた雄哉の右足だった。
 乱れた長襦袢ごと、あるいは魔が襦袢がはだけた素肌に食い込む麻縄は、雄哉の両腕を背面に縛り左足は畳んだ状態にされて麻縄で拘束されていた。
 畳に横たわる不自由な体と左足はそのままに、右足だけを吊り上げれば自然と横向きで股間を見せびらかすように開いてしまう。
 無防備に晒された股間は、先走りを垂らす陰茎も物欲しげにヒクつく穴も丸見えだった。

「チンポ用の穴をヒクヒクさせて、ほんっとド淫乱な義兄さんだよな」
「……んぁ、ッ、ッッ、ゆる、し、てッッ……!」

 まるで護送される被疑者のように腰を一周した麻縄は仙骨のあたりから伸び、雄哉の手前に居る倫が麻縄を引っ張れるほど長い。その伸びた麻縄には幾つもの結び目が拵えてあって、倫が軽く振ればうねりながら雄哉の臀部に麻縄が肌を叩くようにあたるのだ。
 鞭ほどの痛みも刺激も無いだろうが、大股開きの格好だけでも興奮している雄哉は、先走りを飛び散らせながら宙に浮いた尻を振って悶えていた。

「我慢汁を噴きながら、なにが許してだよ! チンポ用の穴が物欲しげに開いてんぞ!」

 臀部を叩いていた麻縄を背面から手前に引けば、尻の割れ目に麻縄が食い込む。幾つも作られた結び目が敏感なアナルの表面や会陰を抉るように当たって、雄哉は不自由な体を大きく痙攣させた。

「んぉッ、んあアァッッッ!! こ、こすれ……こすれ、るぅっ……ッ」

 綱を引くように麻縄を動かせば、雄哉の尻の割れ目を軋ませるように麻縄の結び目が擦れて前後する。

「尻が擦れて気持ちいいんだろっ? なぁ、ド変態の義兄さんはさぁっ!?」
「……い、いいっ……ッ、ぎ、ぎもぢ、イイッッ!」
「――はぁ? ほんとに気持ちいいのかよ、信じられない淫乱メス豚め!」

 不自由な体でのたうつ雄哉は自分から尻に食い込む麻縄に腰を蠢かす。縛られたしなやかな筋肉は震え、ほったらかしの陰茎は振り子のように揺れ動き、その背徳的で淫らな格好が倫の目を楽しませてくれた。
 滑車が揺れる音と軋む麻縄の音に、雄哉の理性を無くした声が混じって倫の鼓膜は焦げそうに熱い。
 倫の声が好きだという雄哉の気持ちに激しく同意できた。

「あーあ、縄で擦れて穴が爛れたみたいに真っ赤」

 麻縄はよく煮しめて柔らかくなっていて、さらにワセリンをたっぷり塗り込んであるために簡単に擦過傷ができることはない。それでも擦られれば多少は赤くなるものだ。
 神経が集まったアナルをふっくりと腫らした下肢を覗いて笑う倫に、横顔を畳に付けたままの雄哉が泣き叫んだ。

「あ、は……はや、くッッ……おね、がい、しま……す……ッ! ち、ちんぽ……おちん、ぽ……お恵み、くださ……ちん、ぽ……お、チンポッ……欲しいッッ!」

 涙と涎を溢して宙に浮いた尻を揺すり、あられも無い言葉で倫を求める姿。

「脳みそチンポだらけなんじゃないの? 新しい年を迎えてもこれじゃ、今年もずっとチンポしか考えられない淫乱のまんまだね」

 手にしていた麻縄の先を話し、右足だけ吊り上げられて震える雄哉の背後に回る。
 不安定な姿勢で緊縛されて居るせいだろう。形の良い臀部は尻えくぼが出来るほどに強張り、足袋に包まれた指先は痙攣し続けていた。

「今年も義弟おとうとのチンポで可愛がって欲しいのかよ? なぁ、チンポ大好き義兄さん?」

 引き締まった臀部に小気味よい音を響かせて打擲し、さらに滑車を回して右足を高くして雄哉の言葉を待つ。

「ん、ぁっ! あひ、ッ……! ……く、ぅん……ッ……お、おねが、い……し、ますッッ! おチンポ、っ……恵ん、でッ……り、りんの、チンポッッ……! ――こ、ことし、も……らいねん、もぉっ……ずっと、ずっとっ……っ、りん、に……りんだけ、に……り、りんが、いい……ッッ!」

 ひたすら倫だけを求める姿に器官が熱くなる。
 そう、雄哉は今年も来年も、ずっとずっと倫のものなのだ。

「合格だよ、義兄さんっ! ほら、初チンポだ!」

 宙に浮いた腰を掴み。いつもとは違う角度で倫を待つ淫らな穴を割るようにねじ込んでやると、不自由な体を震わせて雄哉が入れられただけでどろりと射精してしまう。

「ひ、ひぐ、ひぐぅぅぅぅッッ!」

 倫の猛った怒張をうねる待ち侘びた淫肉が、倫を逃がさないと吸い付くように絡んでくる。それはいつもより激しく、いつもより強欲な締め付けだった。

「……ンッ……、ふ、ふふふ。――ぶち込んだだけで即イキかよ…………義兄さんは可愛いんだから」
「……ひ、ひがう……い、つも、とぉ……お、おちん、ぽがぁ、あ、あぁ――ま、また、イクッ……い、いった、のに、もぉイクうぅぅぅッッ」

 不自由な態勢だからこそ、いつもとは違う角度に当たって新しい性感帯を覚えたようで、ぎしぎしと吊られた足を揺らしながら雄哉は連続で絶頂を極めていく。

「すげえな! 連続イキかよ! いいぞ、そのままイキ狂え!! アクメ豚になっちまえよ!!」

 ぐぽっぐぽっと、いつにない卑猥な音を立てて雄哉も倫も快楽を貪婪に貪っていく。
 それは小休止を挟み、体位を変えながら、初日の出の時間まで続いたのだった。

 一年の計は元旦にあり。
 一年のセックスも元旦にあり。
 どうやら今年も充実したセックスライフを送れるようだ。
 

 なお、脱がせた雄哉の着物は倫がきちんと着付け直した。
 正月にテンション上げてホテルへ直行、しかし着付けが出来ず人を呼んで恥をかくという真似も正月には頻発すると知った倫が、雄哉に恥をかかせたくない一心で頑張って着付けを覚えたためである。

 雄哉に関して努力を惜しまない倫は、今年も猪のように雄哉に直進するようだ。





 『明けましておめでとうございます』



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 予定が狂って遅くなりました。お待たせしてすみません
 今年もよろしくお願いします
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