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義兄弟になりました
3話
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「……ん、ぁ……はぁ……」
じゅぷ、じゅぷと泡立つほど粘った唾液を絡めながら、壁へ吸盤で取り付けたリアルなディルドーに雄哉は舌を絡めている。
肉の質感に似たシリコンを舌で感じるたび、股間が重い熱で疼いて我慢汁を浮かせ始める。
もっとも雄哉はリアルでのオーラルセックス経験は無かった。その代わり奇妙なことに、女の子との経験はあったりする。
見た目が異性にモテる容姿なせいもあったが、ゲイである自分に対しどこか懐疑的な部分もあり、試すように女性経験を重ねた時期があった。
経験から来る結論は――やはり、男が良い。
出来れば乱暴に組み敷かれたいし、冷ややかに見下して欲しい。
しかしリアルでは叶わぬ事。
噂やスパムメールで男同士のハッテン場や、男が男を相手にする性サービスなど知識として知っていたが、それらを利用するには踏ん切りがつかなかったのだ。
『下手くそめ。もっと喉の奥まで咥え込めよ。てめえはしゃぶるだけの肉穴で十分なんだよ』
イヤホンから聞こえるのは、温度のない声。その言葉に雄哉の頭の中では、壁際に経つ義弟の倫に跪いて奉仕する自分の姿が描き出されていた。
「んん……んぶ、……っ、う、うぅ……」
喉にまで必死にディルドーを咥える。シリコンの表面に浮かぶ擬似血管を舌に感じ、まるで倫の陰茎を咥えているようで頭がくらくらしてきた。
『うまそうにしゃぶりやがって――淫乱な奴だ――俺のモノが欲しければ、そのまま乳首を弄って見せろ』
ところどころ雑音が入るのは、台詞の中で発したキャラクターの名前を消して繋いで編集したためだ。
Tシャツの上からぷっくり浮かんだ自分の乳首を捏ねながら、雑音部分に自分の名前を当て嵌める。
ちなみにそのキャラの名前は璃杏だった。
普通の男性名ならそのままでも良かったが、“リアン”と呼ばれると少し冷めるので名前は全部消してしまっていた。
オカズとなる作品はとあるBL漫画だったが、もともとは人気ゲーム作品であるジュリアスというキャラクターを推した作者がオマージュしたため、名前も容姿も似ているらしい。つまり雄哉はそのジュリアスというキャラクターにも似ている訳だが、そちらには全く興味が無かった。
なぜならジュリアスに対し、雄哉が聞き惚れている声優は一切関わりが無かったからだ。
「……はぁ……ジュリアス……尊い」
無駄に美声の声が熱っぽい呻きを漏らした。声は所謂“イケボ”なのに、発した言葉は実に残念だ。
しかしスマホの画面を見ながら、雄哉の義弟である倫は、待機室でテーブルに懐きながらうっとりと画面を見ていた。
思春期の頃に巡り会ったゲーム。その中に出てきたジュリアスというキャラクターに倫は惚れ込んでいた。
倫が遊んだ頃は携帯ゲーム機のRPGだったが、今はアプリゲームとなってリメイクされ絶大な人気を誇っている。
人気があるとどうなるか――二次創作が盛んに行われるのだ。
思春期の頃は妄想でしかなかったジュリアスが、様々な神絵師、神作家によって日々生まれてくる至福。
これを尊いと呼ばずになんと呼ぶか。
昔からジュリアス一筋だった倫には桃源郷にでも居るような気分だ。
しかし、半年前から倫は桃源郷を引っ越していた。
スマホを操作すれば画面が切り替わり、そこに現れたのは着替え中と思われる半裸の雄哉の姿。
視線がカメラに向いていないことから、明らかに盗撮だと分かる代物だった。
「でも、今一番尊いのは――義兄さんだよね」
……倫は俗に言うオタクであり、家庭内ストーカーだったのである。
じゅぷ、じゅぷと泡立つほど粘った唾液を絡めながら、壁へ吸盤で取り付けたリアルなディルドーに雄哉は舌を絡めている。
肉の質感に似たシリコンを舌で感じるたび、股間が重い熱で疼いて我慢汁を浮かせ始める。
もっとも雄哉はリアルでのオーラルセックス経験は無かった。その代わり奇妙なことに、女の子との経験はあったりする。
見た目が異性にモテる容姿なせいもあったが、ゲイである自分に対しどこか懐疑的な部分もあり、試すように女性経験を重ねた時期があった。
経験から来る結論は――やはり、男が良い。
出来れば乱暴に組み敷かれたいし、冷ややかに見下して欲しい。
しかしリアルでは叶わぬ事。
噂やスパムメールで男同士のハッテン場や、男が男を相手にする性サービスなど知識として知っていたが、それらを利用するには踏ん切りがつかなかったのだ。
『下手くそめ。もっと喉の奥まで咥え込めよ。てめえはしゃぶるだけの肉穴で十分なんだよ』
イヤホンから聞こえるのは、温度のない声。その言葉に雄哉の頭の中では、壁際に経つ義弟の倫に跪いて奉仕する自分の姿が描き出されていた。
「んん……んぶ、……っ、う、うぅ……」
喉にまで必死にディルドーを咥える。シリコンの表面に浮かぶ擬似血管を舌に感じ、まるで倫の陰茎を咥えているようで頭がくらくらしてきた。
『うまそうにしゃぶりやがって――淫乱な奴だ――俺のモノが欲しければ、そのまま乳首を弄って見せろ』
ところどころ雑音が入るのは、台詞の中で発したキャラクターの名前を消して繋いで編集したためだ。
Tシャツの上からぷっくり浮かんだ自分の乳首を捏ねながら、雑音部分に自分の名前を当て嵌める。
ちなみにそのキャラの名前は璃杏だった。
普通の男性名ならそのままでも良かったが、“リアン”と呼ばれると少し冷めるので名前は全部消してしまっていた。
オカズとなる作品はとあるBL漫画だったが、もともとは人気ゲーム作品であるジュリアスというキャラクターを推した作者がオマージュしたため、名前も容姿も似ているらしい。つまり雄哉はそのジュリアスというキャラクターにも似ている訳だが、そちらには全く興味が無かった。
なぜならジュリアスに対し、雄哉が聞き惚れている声優は一切関わりが無かったからだ。
「……はぁ……ジュリアス……尊い」
無駄に美声の声が熱っぽい呻きを漏らした。声は所謂“イケボ”なのに、発した言葉は実に残念だ。
しかしスマホの画面を見ながら、雄哉の義弟である倫は、待機室でテーブルに懐きながらうっとりと画面を見ていた。
思春期の頃に巡り会ったゲーム。その中に出てきたジュリアスというキャラクターに倫は惚れ込んでいた。
倫が遊んだ頃は携帯ゲーム機のRPGだったが、今はアプリゲームとなってリメイクされ絶大な人気を誇っている。
人気があるとどうなるか――二次創作が盛んに行われるのだ。
思春期の頃は妄想でしかなかったジュリアスが、様々な神絵師、神作家によって日々生まれてくる至福。
これを尊いと呼ばずになんと呼ぶか。
昔からジュリアス一筋だった倫には桃源郷にでも居るような気分だ。
しかし、半年前から倫は桃源郷を引っ越していた。
スマホを操作すれば画面が切り替わり、そこに現れたのは着替え中と思われる半裸の雄哉の姿。
視線がカメラに向いていないことから、明らかに盗撮だと分かる代物だった。
「でも、今一番尊いのは――義兄さんだよね」
……倫は俗に言うオタクであり、家庭内ストーカーだったのである。
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