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義兄弟になりました
2話
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弾む足取りで自室に戻ろうとした雄哉を小声で倫が呼び止める。ぼそぼそとした声で『もう少しで、バイト……』と。
なんという好都合かと雄哉は無表情のまま内心でガッツポーズを取る。
雄哉が住むのは父親の仕事場を兼ねた一軒家だ。音楽関係を仕事とする家は父親の仕事場より格段に落ちるが、どの部屋もそれなりに防音仕様になっている。しかし他人の気配があると自慰で漏れる恥ずかしい声は出しにくいものだ。父親と二人暮らしの時はそうでもなかったのだが。
最近は部屋に鍵を掛け、枕に顔を埋めるようにして声を潰して自慰に耽っていたが、両親も義弟も居ないとなれば好都合。
明日は休みだし、今夜はゆっくり楽しもうと脳内をピンクに染めつつ、倫と当たり障りのない言葉を一言二言交わして自室へ向かった。
「……うわ、えっろ……」
高鳴る気持ちを抑えて厳重に梱包された段ボールをカッターで開封し、中身を取り出して見れば股間がズクリと疼く。
たまに利用するアダルトショップは差出人を個人名にして送ってくれるため、倫は中身が何か知らずに差し出してくれたのだろう。
倫が手渡してくれたもの――アダルトグッズのパッケージを開いて雄哉は端正な顔を紅潮させた。
それは形や色をリアルに再現した男性器だった。倫が手渡した事で、まるで倫自身を差し出されたような錯覚に陥ってしまう。
浮かんだ血管や亀頭のくすんだ紅色など本当にリアルだ。陰茎部分はもちろん、皺のある睾丸までちゃんと再現されていた。それどころか中にローションや水を入れ、睾丸部分を推せばポンプのようにローションや水が飛び出して擬似射精も可能な一品だった。……半ば、ジョークグッズの感は否めない。
ちまちまと雄哉が行う自慰の前準備は端からみれば間抜けだろうが、リアルの出会いが不可能なのだから仕方ない。飲んでも大丈夫なローションをディルドーに注ぎ、試しにシリコン製の先端を摘まんでみれば、程よい硬さと弾力を感じて思わず先端に口づけてしまった。
「……倫……」
呟いたのは義弟の名前。
半年前はボイスドラマのタチ役の名前を呟いていたが、ここ3ヶ月ほどはずっと義弟の名前だ。
オカズにしてきた声優と似た声を知るうちに、次第に対象は声だけではなくリアルな姿形を伴う倫へと移行していったのだ。
我慢しきれずに音楽再生プレイヤーにカナル式イヤホンをセットし自分の耳にも入れる。
ディルドーは吸盤が付いていた。ジーンズを脱いでから床に座り、自分の顔の高さにディルドーが来るように壁に吸盤部分を押しつける。顔の前でぶるんと揺れたディルドーがリアルだった。
心臓と股間が痛い。逸る気持ちのまま、細かく台詞をリスト分けしてあった4番を再生する。
『さっさと咥えるんだよ、愚図が』
鼓膜を殴るような冷たい声。まるで倫に冷ややかに見下され命令されたかのよう。
「――は、はい……ッ」
溜まらず壁に取り付けたディルドーに顔を寄せて、擬似射精機能のため再現された尿道口を舌で擽るように舐め始めた。
なんという好都合かと雄哉は無表情のまま内心でガッツポーズを取る。
雄哉が住むのは父親の仕事場を兼ねた一軒家だ。音楽関係を仕事とする家は父親の仕事場より格段に落ちるが、どの部屋もそれなりに防音仕様になっている。しかし他人の気配があると自慰で漏れる恥ずかしい声は出しにくいものだ。父親と二人暮らしの時はそうでもなかったのだが。
最近は部屋に鍵を掛け、枕に顔を埋めるようにして声を潰して自慰に耽っていたが、両親も義弟も居ないとなれば好都合。
明日は休みだし、今夜はゆっくり楽しもうと脳内をピンクに染めつつ、倫と当たり障りのない言葉を一言二言交わして自室へ向かった。
「……うわ、えっろ……」
高鳴る気持ちを抑えて厳重に梱包された段ボールをカッターで開封し、中身を取り出して見れば股間がズクリと疼く。
たまに利用するアダルトショップは差出人を個人名にして送ってくれるため、倫は中身が何か知らずに差し出してくれたのだろう。
倫が手渡してくれたもの――アダルトグッズのパッケージを開いて雄哉は端正な顔を紅潮させた。
それは形や色をリアルに再現した男性器だった。倫が手渡した事で、まるで倫自身を差し出されたような錯覚に陥ってしまう。
浮かんだ血管や亀頭のくすんだ紅色など本当にリアルだ。陰茎部分はもちろん、皺のある睾丸までちゃんと再現されていた。それどころか中にローションや水を入れ、睾丸部分を推せばポンプのようにローションや水が飛び出して擬似射精も可能な一品だった。……半ば、ジョークグッズの感は否めない。
ちまちまと雄哉が行う自慰の前準備は端からみれば間抜けだろうが、リアルの出会いが不可能なのだから仕方ない。飲んでも大丈夫なローションをディルドーに注ぎ、試しにシリコン製の先端を摘まんでみれば、程よい硬さと弾力を感じて思わず先端に口づけてしまった。
「……倫……」
呟いたのは義弟の名前。
半年前はボイスドラマのタチ役の名前を呟いていたが、ここ3ヶ月ほどはずっと義弟の名前だ。
オカズにしてきた声優と似た声を知るうちに、次第に対象は声だけではなくリアルな姿形を伴う倫へと移行していったのだ。
我慢しきれずに音楽再生プレイヤーにカナル式イヤホンをセットし自分の耳にも入れる。
ディルドーは吸盤が付いていた。ジーンズを脱いでから床に座り、自分の顔の高さにディルドーが来るように壁に吸盤部分を押しつける。顔の前でぶるんと揺れたディルドーがリアルだった。
心臓と股間が痛い。逸る気持ちのまま、細かく台詞をリスト分けしてあった4番を再生する。
『さっさと咥えるんだよ、愚図が』
鼓膜を殴るような冷たい声。まるで倫に冷ややかに見下され命令されたかのよう。
「――は、はい……ッ」
溜まらず壁に取り付けたディルドーに顔を寄せて、擬似射精機能のため再現された尿道口を舌で擽るように舐め始めた。
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