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第5章 美優の歩く世界
9 幸せの日常
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「かっこいい!」
桜歌はその演奏を言葉にした。
そしてその曲は終わった。
周りは緑色の膜に覆われている。
美優は意を決して出てみる。すると、外は丘のような林だった。
「ここは美亜の家の裏?」
「そうよ」
「コンビニまで近かったっけ」
「近いわ、1分もかからないわよ」
美亜の言う通りに、コンビニまではすぐだった。美優一行はコンビニに着いた。
「わあ! アイスがたくさんありますわ!」
「僕はこの青い、ソーダ味のにするよ」
「そんな安いのでいいのか?」
「いけないかい? 青いものなんてそうそう食べられないからね」
「ローリがいいならいいけど」
太陽が言うと変な間が流れる。
「大丈夫! そのゴリゴリ君、美味しいよ!」
美優はフォローする。
「「「ありがとう」」」
各々1言お礼を言って、太陽の持つ買い物かごにアイスを入れた。
美亜は黙って太陽の持つ買い物かごに高いアイスを入れた。それも2つ。
「おい、数間違ってんぞ、ちび!」
「ママの分も買うのよ、今度ちびって言ったらただじゃ済まさないわよ!」
「なんでママの分も買うんだよ」
「五月蝿いわね、静かにしなさいよ、目立ってるわよ!」
「太陽、お金出そうか?」
「いや、持ってるから平気」
太陽は財布を出してレジにて勘定する。
会計を済ませて、店を出る。
「寒いし、うちくる?」
美亜がどうだと言わんばかりの顔で誘った。
「そうだね、お邪魔させてもらおう!」
美優は元気いっぱいに言った。
「他の子は?」
美亜の問いに皆が頷いた。
そして、全員は引き返すことになった。追い風で寒さと足を動かす速さが増した。
「到着!」
桜歌は頬を赤くして叫んだ。
少し雪が舞っている。
美亜の家に入らせてもらえることになり、美優はうきうきしていた。美亜の家は綺麗でいい匂いがするのだ。
「「「お邪魔します」」」
「お邪魔するのじゃ!」
全員は挨拶をしてから家の中に入った。
家の中は暖房が効いていて暖かかった。
「あら、いらっしゃい」
美亜の母、遥も嬉しそうに笑った。
リビングにソファと座布団などを用意してもらった。
美優は念願だったチョコミントのアイスを開ける。口いっぱいに頬張る。
「美味しい!」
「一気に食べて頭痛くなっても知らんぞ?」
「ローリ様、いかがですか?」
ネニュファールはソファに腰掛けていながらアイスを舐めるローリに聞く。
「ほう、なるほど、ソーダ味か、確かにソーダを飲んでいるような、いないような……、あ、美味しいことにはかわりはないのだけれど、興味深いな」
「ローリそれ、舐めてると溶けてこぼしちゃうからがっついたほうがいいよ」
「ふむ」
ローリは太陽に言われてがっついてみる。そして、シャリシャリとかみくだく。
「ネニュファールも食べなよ!」
「はい、そうですわね」
ネニュファールもいちご練乳と書かれた蓋を開けて、食べ始めた。
「美味しい?」
「ええ、とっても」
「良かったわね、太陽」
「あ、太陽、ゴチでーす」
美亜は遥にアイスを渡してきて、ふざけた。
「ゴチでーす」
桜歌が真似をするので、太陽は口に入ったアイスをこぼしそうになった。桜歌と半分に分けたアイスだ。
「こら、桜歌、美亜のは真似するな!」
「はい……すみません」
桜歌は悲しそうに呟いた。
「太陽、何、桜歌ちゃんのこと、いじめてるのよ!」
「いじめてねえよ! ……見てみ、桜歌、綺麗だぞ」
太陽はショルダーバッグの中からスノードームを出してみせた。美優にもらったものだ。
「きれー! 可愛い!」
桜歌はぶんぶんと振って、雪の落ちる様を誇らしげに見ていた。
「お兄ちゃんの?」
「美優からもらったんだよ。俺の大事な宝物の1つだ」
「そっか」
桜歌は納得した様子で残りのアイスを食べ終わる。
「ぬあー、頭がキンキンする!」
言ったのは美優。一番最初に食べ終わったらしい。
「だから言ったのに。そして、お前の次のセリフは、もっと早く言いなさいよ、だ」
「もっと早く言いなさいよ、は!」
「美優、太陽、うっさい」
「なんだと? どちび」
「太陽、椅子になりなさい。さもないと出てってもらうことになるけど?」
「椅子?」
「四つん這いでいいわよ、その上に乗るから」
「嫌だよ、ばーか、ちーび、ぶーす」
「美優、ちょっとこいつしめといてくんない?」
「太陽、もう1回、買いに行くか、四つん這いになるか、どっちがいい?」
「ええ~、美優の頼みならわかったよ」
太陽は美亜に腕を掴まれた。そして、少し広いところで「やれ」と言われる。
「ちぇ、ちぇ、わかったよ、座り心地は知らないからな」
太陽は四つん這いになった。
美優と美亜がその上に乗る。
「美優も乗るのかよ!」
「桜歌ちゃんもいいよー」
「桜歌、乗らない! ダイエットしてから乗る」
「それまで待てと?」
「はっはっは、僕も乗ろうか」
「やめろ、なにかに目覚めそう」
「キモいこと言うんじゃないわよ」
美亜は太陽の握りこぶしを踏んだ。
「ありがとうございます!」
太陽は嬉しそうに頬を赤らめる。
美亜は足を引っ込める。
「キモ。鳥肌が立ってきちゃった。もういいわ。みやももういいでしょ?」
「うん、別にバツとかどうでもいいし」
美優と美亜が話していても、太陽は上の空だ。
「お兄ちゃ~ん、戻ってきて」
桜歌は太陽の背中をベシベシ叩く。
「は! 俺今なにか? なんか言ってた?」
「翔斗乗り移ってたわよ」
「まじか、うわ!」
「こっちがうわ! だよ!」
「さて、そろそろ帰ろうか」
ローリはのんびりと言った。
座布団にいたネニュファールもゆっくり立ち上がる。
「アイスの袋とゴミはその辺に置いといていいから」
「さすが美亜だね。私達も帰ろう」
全員は玄関に向かった。
「それじゃ、学校でね! お邪魔しました」
「「「お邪魔しました」」」
ガウカも大きな声で挨拶をした。
リコヨーテ組と日本組で分かれると急ぎ足で帰っていった。
外は寒かった。12月は冷える。
太陽と桜歌は手を繋いでいる。
「今日も楽しかったね、太陽!」
美優は思い切って太陽に話しかける。
「死にかけたけどな」
太陽はしんみりという。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫、当たり前だ。お兄ちゃんが元気じゃなかったのは桜歌と離れていたからだよ」
太陽は明るく言うと深呼吸した。
「桜歌も!」
「可愛いね、よしよし」
美優は桜歌の頭を撫でる。
「桜歌、お兄ちゃんと結婚したい」
「ごめんね、血が繋がってるからできないんだよ」
「そうそう、俺、幼稚園の頃から婚約者だったんだ」
「婚約者?」
「結婚の約束してる人がいるんだ」
太陽は美優と目を合わせて、頷いた。
桜歌はその演奏を言葉にした。
そしてその曲は終わった。
周りは緑色の膜に覆われている。
美優は意を決して出てみる。すると、外は丘のような林だった。
「ここは美亜の家の裏?」
「そうよ」
「コンビニまで近かったっけ」
「近いわ、1分もかからないわよ」
美亜の言う通りに、コンビニまではすぐだった。美優一行はコンビニに着いた。
「わあ! アイスがたくさんありますわ!」
「僕はこの青い、ソーダ味のにするよ」
「そんな安いのでいいのか?」
「いけないかい? 青いものなんてそうそう食べられないからね」
「ローリがいいならいいけど」
太陽が言うと変な間が流れる。
「大丈夫! そのゴリゴリ君、美味しいよ!」
美優はフォローする。
「「「ありがとう」」」
各々1言お礼を言って、太陽の持つ買い物かごにアイスを入れた。
美亜は黙って太陽の持つ買い物かごに高いアイスを入れた。それも2つ。
「おい、数間違ってんぞ、ちび!」
「ママの分も買うのよ、今度ちびって言ったらただじゃ済まさないわよ!」
「なんでママの分も買うんだよ」
「五月蝿いわね、静かにしなさいよ、目立ってるわよ!」
「太陽、お金出そうか?」
「いや、持ってるから平気」
太陽は財布を出してレジにて勘定する。
会計を済ませて、店を出る。
「寒いし、うちくる?」
美亜がどうだと言わんばかりの顔で誘った。
「そうだね、お邪魔させてもらおう!」
美優は元気いっぱいに言った。
「他の子は?」
美亜の問いに皆が頷いた。
そして、全員は引き返すことになった。追い風で寒さと足を動かす速さが増した。
「到着!」
桜歌は頬を赤くして叫んだ。
少し雪が舞っている。
美亜の家に入らせてもらえることになり、美優はうきうきしていた。美亜の家は綺麗でいい匂いがするのだ。
「「「お邪魔します」」」
「お邪魔するのじゃ!」
全員は挨拶をしてから家の中に入った。
家の中は暖房が効いていて暖かかった。
「あら、いらっしゃい」
美亜の母、遥も嬉しそうに笑った。
リビングにソファと座布団などを用意してもらった。
美優は念願だったチョコミントのアイスを開ける。口いっぱいに頬張る。
「美味しい!」
「一気に食べて頭痛くなっても知らんぞ?」
「ローリ様、いかがですか?」
ネニュファールはソファに腰掛けていながらアイスを舐めるローリに聞く。
「ほう、なるほど、ソーダ味か、確かにソーダを飲んでいるような、いないような……、あ、美味しいことにはかわりはないのだけれど、興味深いな」
「ローリそれ、舐めてると溶けてこぼしちゃうからがっついたほうがいいよ」
「ふむ」
ローリは太陽に言われてがっついてみる。そして、シャリシャリとかみくだく。
「ネニュファールも食べなよ!」
「はい、そうですわね」
ネニュファールもいちご練乳と書かれた蓋を開けて、食べ始めた。
「美味しい?」
「ええ、とっても」
「良かったわね、太陽」
「あ、太陽、ゴチでーす」
美亜は遥にアイスを渡してきて、ふざけた。
「ゴチでーす」
桜歌が真似をするので、太陽は口に入ったアイスをこぼしそうになった。桜歌と半分に分けたアイスだ。
「こら、桜歌、美亜のは真似するな!」
「はい……すみません」
桜歌は悲しそうに呟いた。
「太陽、何、桜歌ちゃんのこと、いじめてるのよ!」
「いじめてねえよ! ……見てみ、桜歌、綺麗だぞ」
太陽はショルダーバッグの中からスノードームを出してみせた。美優にもらったものだ。
「きれー! 可愛い!」
桜歌はぶんぶんと振って、雪の落ちる様を誇らしげに見ていた。
「お兄ちゃんの?」
「美優からもらったんだよ。俺の大事な宝物の1つだ」
「そっか」
桜歌は納得した様子で残りのアイスを食べ終わる。
「ぬあー、頭がキンキンする!」
言ったのは美優。一番最初に食べ終わったらしい。
「だから言ったのに。そして、お前の次のセリフは、もっと早く言いなさいよ、だ」
「もっと早く言いなさいよ、は!」
「美優、太陽、うっさい」
「なんだと? どちび」
「太陽、椅子になりなさい。さもないと出てってもらうことになるけど?」
「椅子?」
「四つん這いでいいわよ、その上に乗るから」
「嫌だよ、ばーか、ちーび、ぶーす」
「美優、ちょっとこいつしめといてくんない?」
「太陽、もう1回、買いに行くか、四つん這いになるか、どっちがいい?」
「ええ~、美優の頼みならわかったよ」
太陽は美亜に腕を掴まれた。そして、少し広いところで「やれ」と言われる。
「ちぇ、ちぇ、わかったよ、座り心地は知らないからな」
太陽は四つん這いになった。
美優と美亜がその上に乗る。
「美優も乗るのかよ!」
「桜歌ちゃんもいいよー」
「桜歌、乗らない! ダイエットしてから乗る」
「それまで待てと?」
「はっはっは、僕も乗ろうか」
「やめろ、なにかに目覚めそう」
「キモいこと言うんじゃないわよ」
美亜は太陽の握りこぶしを踏んだ。
「ありがとうございます!」
太陽は嬉しそうに頬を赤らめる。
美亜は足を引っ込める。
「キモ。鳥肌が立ってきちゃった。もういいわ。みやももういいでしょ?」
「うん、別にバツとかどうでもいいし」
美優と美亜が話していても、太陽は上の空だ。
「お兄ちゃ~ん、戻ってきて」
桜歌は太陽の背中をベシベシ叩く。
「は! 俺今なにか? なんか言ってた?」
「翔斗乗り移ってたわよ」
「まじか、うわ!」
「こっちがうわ! だよ!」
「さて、そろそろ帰ろうか」
ローリはのんびりと言った。
座布団にいたネニュファールもゆっくり立ち上がる。
「アイスの袋とゴミはその辺に置いといていいから」
「さすが美亜だね。私達も帰ろう」
全員は玄関に向かった。
「それじゃ、学校でね! お邪魔しました」
「「「お邪魔しました」」」
ガウカも大きな声で挨拶をした。
リコヨーテ組と日本組で分かれると急ぎ足で帰っていった。
外は寒かった。12月は冷える。
太陽と桜歌は手を繋いでいる。
「今日も楽しかったね、太陽!」
美優は思い切って太陽に話しかける。
「死にかけたけどな」
太陽はしんみりという。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫、当たり前だ。お兄ちゃんが元気じゃなかったのは桜歌と離れていたからだよ」
太陽は明るく言うと深呼吸した。
「桜歌も!」
「可愛いね、よしよし」
美優は桜歌の頭を撫でる。
「桜歌、お兄ちゃんと結婚したい」
「ごめんね、血が繋がってるからできないんだよ」
「そうそう、俺、幼稚園の頃から婚約者だったんだ」
「婚約者?」
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