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5 事件発生!
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ラーメン屋のカウンター席で涼子、ローカ、しありの順で並んで座った。
「でもなんで、あの場所がわかったんですか?」
「それは、その、甘い匂いがしたから」
ローカは目線が泳いでいる。
涼子はローカの手をとった。
「本当は?」
「自分の未来視で見つけました、すみません」
「何かさ、色々隠してることあるよな?」
「一般人には知れ渡っちゃいけないことなんだ。吸血鬼ハンターになるなら話は別だけど」
「それって簡単になれるのか?」
「とある組織があって、その組織の行う試験に合格しないとなれんよ。というか、自分の命をかけてやる試験だから生半端な覚悟じゃいけんよ」
「へい、ラーメンお待ち!」
店主がラーメンを作って3人の前においた。
「ありがとう、いただきます」
「わーい、いただきます」
「いただきます」
3人はラーメンをすする。
まろやかで濃厚なとんこつラーメンだ。
涼子は1番早く食べ終わった。
「ご馳走様でした。その試験の内容は?」
「んでね、その試験はまず何らかの楽器を吹けるもしくは弾ける事。大聖人からの契約もある。まぁ詳細はちゃんと周りに吸血鬼ハンターの志願者だということを言わないと話さない決まりなんだ。ご馳走様、涼子、ゴチです」
「大聖人?」
しありは目をパチクリしている。
「音楽の大陸、リコヨーテの女帝。女性君主」
「わりいけどあたしはそんな試験受けるつもりはないね。っていうことはローカって何か弾けるの?」
「昔からビオラを嗜んでいる」
「今度聴かせてよ?」
「いいよ。てか、今でも、いつでもいいよ?」
「今って? 持ってないだろ」
「いつでも出せる。ウォレット・ストリングス。これのもう一つの名は武楽器っていうんだ」
ローカは緊張した面持ちで下を向く。
涼子にはにわかに信じられないことが起きた。
ローカの手元にビオラが出現していた。黒ずんだ赤茶色のビオラだ。
「いい、いい、目立つような行動は避けて」
「消えろ」
ローカの持っているビオラが消えた。
「今度、時間があるときにでもな、それとも俺ん家くる?」
「今日はもう遅いから。しありちゃんも帰ろう」
「今度は血を飲んでくださいね」
「話が聞きたかったらまた言ってくれん?」
「そうする」
涼子はお勘定をすると、外に出た。
小雨が降り出してきている。
「さすが梅雨だな」
「妹たち大丈夫かな?」
しありは空を見上げて心配そうだった。
「妹いるんだ」
ローカの声を皮切りに思い思い口に出す。
「うちの家貧乏で、山菜とかコンビニの廃棄とか食べているんです」
「コンビニで働いているの?」
「今日はないのですが、土日働いてます。部活もあるのですが、今日は休みました」
「そうか、今度さ、皆であたしん家に晩ごはん食べにこいよ」
「なんて優しいんですか!」
「傘、折りたたみしかないけど、2人で入ろう。しありちゃん」
「実は俺、傘持ってるんだよね」
ローカは小声でいうと「パース」と唱えた。
箱の中から、2本の傘を取り出した。
「最初からあるなら、昨日も貸さなくてよかっただろうに!」
「昨日は相合い傘したくて。この箱の存在もバレたくなかったし。俺って策士だからね」
ローカは箱を消すと、愛想笑いをした。
3人は花を咲かせたかのように傘をさし、歩き出す。
涼子は今日は雷がなっていないので、2人と分かれ道で別れた。足取りは速い。
庭先までやってきて、奇妙な感じになった。
(光がついてない?)
「お父さん? お母さん?」
家の玄関はいつもあいている。今日は鍵がかかっていた。
涼子はキーケースをリュックから出し、ドアを開ける。
「え?」
家の床に引きずられた血の跡が正面の防音室まで続いていた。電気はつけていなく暗かったのでつけた。
飛び散った血がそこここに、壁にもついている。防音室に向かった。ピアノに付着した血。死臭がする。
積み上げられたメイドの死体がそこにあった。メイドの死体は血が抜き取られたかのように枯れてしぼんでいる。
2階にある書斎へ急いだ。点々と血痕が続いているからだ。
「なんで家が襲われてるんだ!? ひっ!」
涼子は開いているドアから室内をそっと覗き込んだ。
ミイラのような康介の死体が書斎にて倒れていた。
「お父さん!」
涼子は助け起こそうとするも死んでいた。口を開け、目が見開いている。
「お母さんは?」
涼子は頭の中がぐちゃぐちゃなまま、玄関の靴箱に向かった。
「まだ帰っていないか」
「お嬢様」
そう呼んだのは執事の時雨赤石だ。玄関のドアから入ってきて、荷物を抱えている。
「あ、あ、あんたがやったのか!?」
涼子は安全距離を保ち、叫んだ。赤石に不信感を抱く。
「私は米の精米に。今戻ったところです。何かあったのですか?」
「皆が死んでる。防音室でメイドが3人、書斎で父が。多分吸血鬼の仕業だ」
涼子は泣き声でシャクリをあげながら語った。
赤石は米をその場に置くと、涼子の抱きしめ慰める。
「私がお嬢様を守ります。もう大丈夫です。もう犯人は見ませんでしたか? 私が様子を拝見いたします」
「待ちな、あたしも行く」
そして家のなかを見て回った。涼子も一緒についていく。引きずった血の跡は防音室、足跡はリビングに続いている。リビングの窓が開けっ広げにされていた。カーテンが揺れている。
涼子と赤石の息遣いだけが聞こえる。
「これからどういたしましょう? 住む場所が……。シェルターにおいてくださるといいのですが」
赤石は次に警察に電話をした。警官が吸血鬼係に取り次いでくれたようで家の様子を伝えている。
「不幸中の幸いで、奥様はお仕事中のようです」
「あれは?」
浴室の壁に書かれていた。
”ブラッティーギャング"の文字のロゴマークは血で大きく書かれていた。片目が星のピエロの絵に見えた。しかし湯船の蒸気で消えてしまいそうだ。
涼子は書かれた筆を探すも見つからない。
(どうやって書いたのか?)
「一眼レフで撮っておきます」
赤石はスタスタと早く歩き、戻ってきた。
カシャ!
◇
10数分後。
「これは吸血鬼の仕業か?」
3人の背広を着た男性と白衣の女性2名が涼子の家までたどり着いた。防音室のメイドだった遺体を見ている。救急車も駐車場に止まっている。
「あなた達、吸血鬼ハンターですか?」
涼子はもう泣かなかった。背広の人たちに聞く。
「3人のうち2人はね」
「あたしも吸血鬼ハンターになりたいです。協議してください」
「楽器は?」
「ピアノを3歳から、いままで習っています」
「ふむ、協議ね。検討しておくね。私は川田というものだよ。これは名刺」
「ありがとうございます。……あのう、もう消えちゃったんですけど、さっき風呂場に血のメッセージが書かれていました。赤石、見せてやれ」
涼子は赤石の袖を掴んだ。
赤石は一眼レフカメラの画面を表示した。
「ブラッティーギャングか。最近多いんだ。このロゴのマークの組織的犯行」
役職の高そうな白髪の生えている男が言った。
「情報を公開するのはマスコミに売ってからじゃないですか?」と川田。
「この家は元警察官の家だからな、多少は大丈夫だよ」
「そういえば、ここは岬浦康介さんの家だ」
川田は手を叩いた。
「もう死んでます」
涼子の言葉に川田の面構えが変わった。
誰かが会話に割込もうと声を上げた。
「南山警部、2階の書斎に康介さんの遺体を発見しました」
「なんと! どのように殺されていたのか?」
「状況から見るに首を絞められたことによる絞殺です」
白衣の女性はすでに2階を見たようだ。
「1人のメイドの衣類に康介さんの唾液の反応がありました。ドアノブについていた指紋と照合しています」
そう喋った白衣の女性はどうやら科捜研のようだ。
「吸血鬼のフェロモンを当てられたか」
「フェロモン?」
「吸血鬼は体液を接種させることで好きなように操れる力があるんだ。処女と童貞に限るが」
「川田! またそういう事言う。期待させちゃうから」
「あたし、吸血鬼ハンターになって、絶対に犯人を捕まえてやります」
「危険です。吸血鬼ハンターになれるのは極僅かなんですよ。我々に任せて平和に暮らしてください。事件のことは事情聴取で話してください」
残りの警官が涼子を諭した。
「あの、私は執事の赤石と言います。ところで、私達の泊まれる所って用意してもらえますでしょうか?」
燕尾服を着た赤石が名乗り出る。
「ええ、宿泊施設はこちらで用意します。それにしてもあなたよく生きていましたね。あなたの匂いを嗅がせてもらいます。息を吐いてください」
南山は冷静に、赤石の匂いを嗅いだ。
「ふむ、血の匂いはしませんね」
「私はお嬢様の御祖父、つまりご主人様のご尊父様から頂いた御米を精米しに行って参りました」
「岬浦ご令嬢。彼の言うことは確かですか?」
「そうだと思います、でも一体なぜあたしの家に吸血鬼が? まさかさっき倒した吸血鬼と因縁があるのですか?」
「その辺りは事情聴取を行います。まだ雨が降っていますが直に止むでしょう。パトカーに乗ってください。お母様も仕事を終えたら来るそうです」
「わかりました」
警察共済組合のホテルに1か月半泊まることになった。
涼子は夜、仕事終わりの朝陽と話し合いをする。
「どうするの? お母さん! あの場所に住むの?」
「そうだね。ハウスクリーニング代は出してくれるんだし、良くない?」
「良くない!」
「うーん、考えとくわね」
「赤石は? どう思う?」
「私は奥様とお嬢様が決めた意見に従います」
「あと、あたし、吸血鬼ハンターになるから」
「うんうん、そうだよね、きゅうけ……え?」
朝陽は鳩が豆鉄砲を食らった顔をする。
「な、ななな、なんで?」
「これまで殺された人の敵をうつ。これは決意! 日の目を見れなくしてやるんだ」
涼子は絶対に曲げない態度で優陽に向かった。
「……そうか。わかったよ、頑張るのよ。無理だけはしないこと。これは約束!」
「おう!」
涼子はその夜、疲れていてぐっすりと眠った。
「でもなんで、あの場所がわかったんですか?」
「それは、その、甘い匂いがしたから」
ローカは目線が泳いでいる。
涼子はローカの手をとった。
「本当は?」
「自分の未来視で見つけました、すみません」
「何かさ、色々隠してることあるよな?」
「一般人には知れ渡っちゃいけないことなんだ。吸血鬼ハンターになるなら話は別だけど」
「それって簡単になれるのか?」
「とある組織があって、その組織の行う試験に合格しないとなれんよ。というか、自分の命をかけてやる試験だから生半端な覚悟じゃいけんよ」
「へい、ラーメンお待ち!」
店主がラーメンを作って3人の前においた。
「ありがとう、いただきます」
「わーい、いただきます」
「いただきます」
3人はラーメンをすする。
まろやかで濃厚なとんこつラーメンだ。
涼子は1番早く食べ終わった。
「ご馳走様でした。その試験の内容は?」
「んでね、その試験はまず何らかの楽器を吹けるもしくは弾ける事。大聖人からの契約もある。まぁ詳細はちゃんと周りに吸血鬼ハンターの志願者だということを言わないと話さない決まりなんだ。ご馳走様、涼子、ゴチです」
「大聖人?」
しありは目をパチクリしている。
「音楽の大陸、リコヨーテの女帝。女性君主」
「わりいけどあたしはそんな試験受けるつもりはないね。っていうことはローカって何か弾けるの?」
「昔からビオラを嗜んでいる」
「今度聴かせてよ?」
「いいよ。てか、今でも、いつでもいいよ?」
「今って? 持ってないだろ」
「いつでも出せる。ウォレット・ストリングス。これのもう一つの名は武楽器っていうんだ」
ローカは緊張した面持ちで下を向く。
涼子にはにわかに信じられないことが起きた。
ローカの手元にビオラが出現していた。黒ずんだ赤茶色のビオラだ。
「いい、いい、目立つような行動は避けて」
「消えろ」
ローカの持っているビオラが消えた。
「今度、時間があるときにでもな、それとも俺ん家くる?」
「今日はもう遅いから。しありちゃんも帰ろう」
「今度は血を飲んでくださいね」
「話が聞きたかったらまた言ってくれん?」
「そうする」
涼子はお勘定をすると、外に出た。
小雨が降り出してきている。
「さすが梅雨だな」
「妹たち大丈夫かな?」
しありは空を見上げて心配そうだった。
「妹いるんだ」
ローカの声を皮切りに思い思い口に出す。
「うちの家貧乏で、山菜とかコンビニの廃棄とか食べているんです」
「コンビニで働いているの?」
「今日はないのですが、土日働いてます。部活もあるのですが、今日は休みました」
「そうか、今度さ、皆であたしん家に晩ごはん食べにこいよ」
「なんて優しいんですか!」
「傘、折りたたみしかないけど、2人で入ろう。しありちゃん」
「実は俺、傘持ってるんだよね」
ローカは小声でいうと「パース」と唱えた。
箱の中から、2本の傘を取り出した。
「最初からあるなら、昨日も貸さなくてよかっただろうに!」
「昨日は相合い傘したくて。この箱の存在もバレたくなかったし。俺って策士だからね」
ローカは箱を消すと、愛想笑いをした。
3人は花を咲かせたかのように傘をさし、歩き出す。
涼子は今日は雷がなっていないので、2人と分かれ道で別れた。足取りは速い。
庭先までやってきて、奇妙な感じになった。
(光がついてない?)
「お父さん? お母さん?」
家の玄関はいつもあいている。今日は鍵がかかっていた。
涼子はキーケースをリュックから出し、ドアを開ける。
「え?」
家の床に引きずられた血の跡が正面の防音室まで続いていた。電気はつけていなく暗かったのでつけた。
飛び散った血がそこここに、壁にもついている。防音室に向かった。ピアノに付着した血。死臭がする。
積み上げられたメイドの死体がそこにあった。メイドの死体は血が抜き取られたかのように枯れてしぼんでいる。
2階にある書斎へ急いだ。点々と血痕が続いているからだ。
「なんで家が襲われてるんだ!? ひっ!」
涼子は開いているドアから室内をそっと覗き込んだ。
ミイラのような康介の死体が書斎にて倒れていた。
「お父さん!」
涼子は助け起こそうとするも死んでいた。口を開け、目が見開いている。
「お母さんは?」
涼子は頭の中がぐちゃぐちゃなまま、玄関の靴箱に向かった。
「まだ帰っていないか」
「お嬢様」
そう呼んだのは執事の時雨赤石だ。玄関のドアから入ってきて、荷物を抱えている。
「あ、あ、あんたがやったのか!?」
涼子は安全距離を保ち、叫んだ。赤石に不信感を抱く。
「私は米の精米に。今戻ったところです。何かあったのですか?」
「皆が死んでる。防音室でメイドが3人、書斎で父が。多分吸血鬼の仕業だ」
涼子は泣き声でシャクリをあげながら語った。
赤石は米をその場に置くと、涼子の抱きしめ慰める。
「私がお嬢様を守ります。もう大丈夫です。もう犯人は見ませんでしたか? 私が様子を拝見いたします」
「待ちな、あたしも行く」
そして家のなかを見て回った。涼子も一緒についていく。引きずった血の跡は防音室、足跡はリビングに続いている。リビングの窓が開けっ広げにされていた。カーテンが揺れている。
涼子と赤石の息遣いだけが聞こえる。
「これからどういたしましょう? 住む場所が……。シェルターにおいてくださるといいのですが」
赤石は次に警察に電話をした。警官が吸血鬼係に取り次いでくれたようで家の様子を伝えている。
「不幸中の幸いで、奥様はお仕事中のようです」
「あれは?」
浴室の壁に書かれていた。
”ブラッティーギャング"の文字のロゴマークは血で大きく書かれていた。片目が星のピエロの絵に見えた。しかし湯船の蒸気で消えてしまいそうだ。
涼子は書かれた筆を探すも見つからない。
(どうやって書いたのか?)
「一眼レフで撮っておきます」
赤石はスタスタと早く歩き、戻ってきた。
カシャ!
◇
10数分後。
「これは吸血鬼の仕業か?」
3人の背広を着た男性と白衣の女性2名が涼子の家までたどり着いた。防音室のメイドだった遺体を見ている。救急車も駐車場に止まっている。
「あなた達、吸血鬼ハンターですか?」
涼子はもう泣かなかった。背広の人たちに聞く。
「3人のうち2人はね」
「あたしも吸血鬼ハンターになりたいです。協議してください」
「楽器は?」
「ピアノを3歳から、いままで習っています」
「ふむ、協議ね。検討しておくね。私は川田というものだよ。これは名刺」
「ありがとうございます。……あのう、もう消えちゃったんですけど、さっき風呂場に血のメッセージが書かれていました。赤石、見せてやれ」
涼子は赤石の袖を掴んだ。
赤石は一眼レフカメラの画面を表示した。
「ブラッティーギャングか。最近多いんだ。このロゴのマークの組織的犯行」
役職の高そうな白髪の生えている男が言った。
「情報を公開するのはマスコミに売ってからじゃないですか?」と川田。
「この家は元警察官の家だからな、多少は大丈夫だよ」
「そういえば、ここは岬浦康介さんの家だ」
川田は手を叩いた。
「もう死んでます」
涼子の言葉に川田の面構えが変わった。
誰かが会話に割込もうと声を上げた。
「南山警部、2階の書斎に康介さんの遺体を発見しました」
「なんと! どのように殺されていたのか?」
「状況から見るに首を絞められたことによる絞殺です」
白衣の女性はすでに2階を見たようだ。
「1人のメイドの衣類に康介さんの唾液の反応がありました。ドアノブについていた指紋と照合しています」
そう喋った白衣の女性はどうやら科捜研のようだ。
「吸血鬼のフェロモンを当てられたか」
「フェロモン?」
「吸血鬼は体液を接種させることで好きなように操れる力があるんだ。処女と童貞に限るが」
「川田! またそういう事言う。期待させちゃうから」
「あたし、吸血鬼ハンターになって、絶対に犯人を捕まえてやります」
「危険です。吸血鬼ハンターになれるのは極僅かなんですよ。我々に任せて平和に暮らしてください。事件のことは事情聴取で話してください」
残りの警官が涼子を諭した。
「あの、私は執事の赤石と言います。ところで、私達の泊まれる所って用意してもらえますでしょうか?」
燕尾服を着た赤石が名乗り出る。
「ええ、宿泊施設はこちらで用意します。それにしてもあなたよく生きていましたね。あなたの匂いを嗅がせてもらいます。息を吐いてください」
南山は冷静に、赤石の匂いを嗅いだ。
「ふむ、血の匂いはしませんね」
「私はお嬢様の御祖父、つまりご主人様のご尊父様から頂いた御米を精米しに行って参りました」
「岬浦ご令嬢。彼の言うことは確かですか?」
「そうだと思います、でも一体なぜあたしの家に吸血鬼が? まさかさっき倒した吸血鬼と因縁があるのですか?」
「その辺りは事情聴取を行います。まだ雨が降っていますが直に止むでしょう。パトカーに乗ってください。お母様も仕事を終えたら来るそうです」
「わかりました」
警察共済組合のホテルに1か月半泊まることになった。
涼子は夜、仕事終わりの朝陽と話し合いをする。
「どうするの? お母さん! あの場所に住むの?」
「そうだね。ハウスクリーニング代は出してくれるんだし、良くない?」
「良くない!」
「うーん、考えとくわね」
「赤石は? どう思う?」
「私は奥様とお嬢様が決めた意見に従います」
「あと、あたし、吸血鬼ハンターになるから」
「うんうん、そうだよね、きゅうけ……え?」
朝陽は鳩が豆鉄砲を食らった顔をする。
「な、ななな、なんで?」
「これまで殺された人の敵をうつ。これは決意! 日の目を見れなくしてやるんだ」
涼子は絶対に曲げない態度で優陽に向かった。
「……そうか。わかったよ、頑張るのよ。無理だけはしないこと。これは約束!」
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