上 下
327 / 372
12章最終決戦

閑話 勇者君引き取り

しおりを挟む
「では我が国の勇者様をよろしくお願いします、テンサル殿」


「はいお任せください、私が責任をもってお世話をいたしますよ」


私テンサル、今セルフィルデイルの使者さまから勇者様を預かりました、もちろん国王様にも会っていただきましたよ、その際に私が預かることになったのです。


どうしてそうなったかと言いますと、師匠が国王様に進言したそうでそれが通りました。


「まったく師匠には困ったものです、事前に教えてほしかったですよ、心臓に悪いです」


セルフィルデイルの人たちが国王様に謁見中に、私に振って来るものだからみんなの注目が集まってしまったんです。


「ここが我が屋敷ですよ勇者様」


馬車で移動中に愚痴を言っていましたが勇者様は聞こえてないようでした、外の世界がとても珍しいようでずっと窓を眺めていましたね。


「広いお屋敷ですね、さすがこの国の参謀様です」


「参謀様なんてよしてください勇者様」


「じゃあ僕の事も勇者様はやめてください、僕はただ召喚されただけなんですから、力だってないんです」


すごく真剣に言ってきました、何か訳があるのでしょうねあの必死な感じは。


「分かりました、ではケイト殿とお呼びします」


「ありがとうございますテンサルさん、それで僕はここから学園に行くんですよね?」


「そうですね、馬車を使いますがそうなります、時間は20分位でしょうか」


そう言っておきました、馬車の移動は絶対ですからね、貴族なら当然です。


「そうなんですね、それとお話があるんです後でお時間をいただけますか?」


「良いですよ、では部屋に行きましょうか」


聞かれたくない話でしょうか?きっとそうですねあの顔は。


「ここが僕の部屋ですか、ほんとに広いですね」


「貴族としては狭い方ですよ、上級貴族のお子様はこの倍くらいあってもおかしくないんです、それでお話しというのは?」


私は紅茶を入れながら聞きました、まぁ予測は付いています、きっと師匠の話ですよ。


「まずですね、この子たちをこの部屋に置いてほしいんです」


ケイト殿がそう言って鞄からラットと鳥を出してきました。


「チュチュ」


「チュンチュン」


ラットと鳥が片方の手を挙げています、鳥は羽ですが・・・まぁ挨拶ですね。


「僕の友達なんです、お願いします」


「良いですよそれ位、他には?」


「マコッチという人を知っていますか?」


本題が来ましたね、ですが私との関係は知らないのですね。


「ええ知っていますよ、私の恩人でもあります」


「そ、そうなんですか・・・それでその人はどんな人ですか?」


「すごい方ですよ、優しくて博識です」


師匠はほんとにすごい人です、いつの間にか国王様の信頼も勝ち取っていましたし、この国の村がモンスターに襲われなくなったのも師匠が手をまわしてくれたからです。


「その人を信じていいんでしょうか?」


「もちろんです、ケイト殿が何を話したのかは知りませんが、あの方は信頼できますよ」


私はケイト殿の眼をじっと見て言いました、ほんとの事です、あの方がいなければこの国はここまで繁栄しなかったでしょう。


「そうなんですね、良かった・・・じゃあ僕も頑張らないと」


「そうですよ、明後日には学園に入学です、しっかり勉強しましょう」


「はい・・・でもその前に少しだけ」


ケイト殿が無限収納からリバーシとショウギ、それとトランプを出しました、遊ぶ気ですね。


「ダメですよケイト殿、まずはお勉強からです」


「少しだけ、お願いします」


潤んだ目で言ってきました、これは!?


「し、仕方ないですね、では私が相手です」


ケイト殿の眼はかなり危険です、あの目でお願いされたら抱きしめたくなります、私にはその気はないんですよ、そのはずです。


「えー僕が大人に勝てるわけないよぉ」


「いいじゃないですか、ではリバーシから」


こうして私は無理やりリバーシを始めました、ケイト殿の肩にラットと鳥が乗っていますが、それがまた可愛いです。


「そ、そんなバカな!?」


しばらくして私は負けました、信じられないです。


「手加減しなくても良いんですよテンサルさん、僕が弱いのは知ってるんですから、ねぇチュー助」


「チュッチュッチュ」


ラットと話をしています、それに自分が弱いと勘違いをしていますね、これでも私はリバーシは得意なんですよ。


「ちなみにケイト殿、いつもは誰とリバーシをやっているのですか?」


「え、それはチュー助とチュン太だよ、ね」


「チュチュー」


「チュン」


ラットと鳥が胸を張って頷いています、そうなんですか。


「信じられませんが、これは逸材ですね・・・ケイト殿魔法盤をしましょう、私が教えます」


ケイト殿はきっと戦うよりもこっちの方が合う気がします、もしかしたら師匠はそれを見越して私に預けたのかもしれません。


「えー!僕こっちの方が好きなんですけど」


「そう言わずやりましょう、これは学園でもやるので勉強にもなります、さぁやりましょう」


強引に始めました、最初は良く解っていませんでしたが、やはり見どころがあります、これはきっと良い参謀になりますよ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

死んだと思ったら異世界に

トワイライト
ファンタジー
18歳の時、世界初のVRMMOゲーム『ユグドラシルオンライン』を始めた事がきっかけで二つの世界を救った主人公、五十嵐祐也は一緒にゲームをプレイした仲間達と幸せな日々を過ごし…そして死んだ。 祐也は家族や親戚に看取られ、走馬灯の様に流れる人生を振り替える。 だが、死んだはず祐也は草原で目を覚ました。 そして自分の姿を確認するとソコにはユグドラシルオンラインでの装備をつけている自分の姿があった。 その後、なんと体は若返り、ゲーム時代のステータス、装備、アイテム等を引き継いだ状態で異世界に来たことが判明する。 20年間プレイし続けたゲームのステータスや道具などを持った状態で異世界に来てしまった祐也は異世界で何をするのか。 「取り敢えず、この世界を楽しもうか」 この作品は自分が以前に書いたユグドラシルオンラインの続編です。

異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!

東導 号
ファンタジー
雑魚モブキャラだって負けない! 俺は絶対!前世より1億倍!幸せになる! 俺、ケン・アキヤマ25歳は、某・ダークサイド企業に勤める貧乏リーマン。 絶対的支配者のようにふるまう超ワンマン社長、コバンザメのような超ごますり部長に、 あごでこきつかわれながら、いつか幸せになりたいと夢見ていた。 社長と部長は、100倍くらい盛りに盛った昔の自分自慢語りをさく裂させ、 1日働きづめで疲れ切った俺に対して、意味のない精神論に終始していた。 そして、ふたり揃って、具体的な施策も提示せず、最後には 「全社員、足で稼げ! 知恵を絞り、営業数字を上げろ!」 と言うばかり。 社員達の先頭を切って戦いへ挑む、重い責任を背負う役職者のはずなのに、 完全に口先だけ、自分の部屋へ閉じこもり『外部の評論家』と化していた。 そんな状況で、社長、部長とも「業務成績、V字回復だ!」 「営業売上の前年比プラス150%目標だ!」とか抜かすから、 何をか言わんや…… そんな過酷な状況に生きる俺は、転職活動をしながら、 超シビアでリアルな地獄の現実から逃避しようと、 ヴァーチャル世界へ癒しを求めていた。 中でも最近は、世界で最高峰とうたわれる恋愛ファンタジーアクションRPG、 『ステディ・リインカネーション』に、はまっていた。 日々の激務の疲れから、ある日、俺は寝落ちし、 ……『寝落ち』から目が覚め、気が付いたら、何と何と!! 16歳の、ど平民少年ロイク・アルシェとなり、 中世西洋風の異世界へ転生していた…… その異世界こそが、熱中していたアクションRPG、 『ステディ・リインカネーション』の世界だった。 もう元の世界には戻れそうもない。 覚悟を決めた俺は、数多のラノベ、アニメ、ゲームで積み重ねたおたく知識。 そして『ステディ・リインカネーション』をやり込んだプレイ経験、攻略知識を使って、 絶対! 前世より1億倍! 幸せになる!  と固く決意。 素晴らしきゲーム世界で、新生活を始めたのである。 カクヨム様でも連載中です!

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

レヴァイアタン国興亡記 ゲーム・オブ・セイクリッドソーズ 奴隷の勇者か、勇者の奴隷か

Ann Noraaile
ファンタジー
 レヴァイアタン国に散らばった7本の聖剣は誰の手に渡り、いかなる奇蹟を起こすのか? そして善と悪の竜の思惑は聖剣の行方にどうかかわって行くのか?  この物語は、脅威の先住知的生命体が住む惑星上で孤立するレヴァイアタン国に、ヒューマンスードとして生まれた一人の奴隷少年のある決断と冒険から始まった。剣と魔法と勇者の逆進化世界に繰り広げられる、一大サーガの幕開けである。 【世界設定】 遠い過去、経済・自然・政治・戦争危機と、あらゆる点で飽和点に達した人類は、Ωシャッフルと呼ばれる最大級のバイオハザードと大地殻変動を同時に向かえ破滅寸前だった。 この時、グレーテルと呼ばれる新知性が、偶然にも地球に破損漂着した宇宙特異点ゲートを修理することに成功し、数%の人間達を深宇宙のある惑星に転移させた。  しかしグレーテルは転移先惑星のテラホーミングに失敗し、辛うじて人間が生息できるスポットへ彼らを分散させる事になった。レヴァイアタンはそんな分散先に作られた国の一つだった。

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

前世は悪神でしたので今世は商人として慎ましく生きたいと思います

八神 凪
ファンタジー
 平凡な商人の息子として生まれたレオスは、無限収納できるカバンを持つという理由で、悪逆非道な大魔王を倒すべく旅をしている勇者パーティに半ば拉致されるように同行させられてしまう。  いよいよ大魔王との決戦。しかし大魔王の力は脅威で、勇者も苦戦しあわや全滅かというその時、レオスは前世が悪神であったことを思い出す――  そしてめでたく大魔王を倒したものの「商人が大魔王を倒したというのはちょっと……」という理由で、功績を与えられず、お金と骨董品をいくつか貰うことで決着する。だが、そのお金は勇者装備を押し付けられ巻き上げられる始末に……  「はあ……とりあえず家に帰ろう……この力がバレたらどうなるか分からないし、なるべく目立たず、ひっそりしないとね……」  悪神の力を取り戻した彼は無事、実家へ帰ることができるのか?  八神 凪、作家人生二周年記念作、始動!  ※表紙絵は「茜328」様からいただいたファンアートを使用させていただきました! 素敵なイラストをありがとうございます!

処理中です...